今回、桐ヶ谷紗都子役のLynnと、後藤進平役の内山昂輝にインタビューを実施。作品への出演が決まった際の心境から、キャラクターの魅力、2人の関係性、印象に残っているシーンまで、たっぷりと語ってもらった。
[取材・文=米田果織 撮影=藤田亜弓]
■「理想の紗都子」「理想の進平」のために、役作りで大切にしたこと
――本作は、累計発行部数500万部を突破するなど、多数の読者から支持を集める人気作です。そんな作品に出演されることになったときの率直な気持ちを教えてください。
Lynn:やはりプレッシャーはありました。多くの方に楽しんで読まれている作品ですし、皆さんの中にもそれぞれ「理想の紗都子」「理想の進平」があると思うんです。そういうキャラクターをアニメーションでひとつの形にするというのは、かなりチャレンジングなことなのではないかなと思いました。できるだけ皆さんに受け入れていただける紗都子を演じたいなと思っています。
内山:たくさんのファンの方がいらっしゃる作品なので、原作ファンの方々の期待を裏切らないようなアニメ化になればいいなと思いました。いろいろな反応があるのは当然のことですし、「やるしかない」という感じでした。
――原作を読まれて感じた、橘オレコ先生の作風についての印象を聞かせてください。
Lynn:繊細なタッチですごく綺麗なのですが、目の描き方が印象的に感じました。色気があるというか、目に力があるんですよね。とくに進平は、目に光が入っていないことが多いのですが、逆に感情が動いた瞬間には光が入っていたりして。「今、感情が動いたんだな」というのが目から伝わってくる描き方がすごく素敵だなと思って。私はまず、その描写にすごく惹かれました。
内山:僕も絵はすごく印象的でした。人間のドロドロとした感情も描かれていますが、絵のタッチはとても綺麗で繊細なんです。進平に注目してみると、表情がコロコロ変わっていて。怖さを感じさせる表情もあれば、にこやかな表情、丸いデザインになってつぶらな目で描かれるときもある。そういうふうにキャラクターの印象がガラッと変わるところも含めて、いろいろな引き出しがある作品だなと、読んでいて感じました。
――キャラクターを演じるうえでどのように心情を読み解き、どんなことを意識して演じられたのでしょうか?
Lynn:紗都子は自分の余命が長くないことを理解したうえで、家やお父様のために何ができるのかを小さい頃から考えてきた人です。なので、すごく覚悟が決まっているというか、芯の強さがあるキャラクターだなと思いました。
内山:進平は、さまざまな要素を表現として必要とするキャラクターだなと思いました。まず目につくのは、やっぱり狂気的な部分や怖さ。恐ろしいキャラクターだと感じさせるシーンが多いですし、一方で「何を考えているのかわからない」というミステリアスな部分も残しておくことを意識しました。
そこからまたガラッと変わり、かわいらしさや幼さ、ちょっとピュアなところを見せるシーンもあります。そういうバリエーション豊かな部分を、それぞれのシーンで魅力的に表現できたら、原作で描かれている進平の人物像に近づいていくのかなと思って演じました。
――お互いの演技をご覧になったときの印象はいかがでしょう? 紗都子や進平の表現で、特に印象に残っているところはありますか?
Lynn:進平はまっすぐだったり、狂気的だったり、かわいらしかったりと、いろいろな面があるキャラクターです。すごく非現実的な存在ではあるのですが、内山さんの声が入ることによって「実際にこういう人がいるかもしれない」と感じさせてくれるというか、キャラクターがよりリアルに感じられると思いました。とくに、進平が「好きだよ」とか「そばにいるよ」とか、そういう言葉をまっすぐぶつけてくれるところは、スッと自分の心にも入ってくるような感じがあって。演じていて掛け合いがすごく楽しいなと感じています。
内山:2人の関係性が、出会いから少しずつ変化していくのがすごく面白いです。
それに加えて、紗都子は良家のお嬢様らしい品のよさを感じさせながら、どこか泥臭い強さも持っているキャラクターです。その両方が本当に見事に伝わってきて。一緒にアフレコをしていて、毎話その強さを体感していました。
■紗都子と進平の2人の“恋”と“バトル”に大注目!
――紗都子と進平の関係性について、お2人はどのように感じていますか?
Lynn:紗都子がこれまで生きてきた環境を考えると、進平は今まで出会ったことのないタイプの人なんですよね。しかも突然誘拐されて、知らない場所で過ごすことになる。その中で進平はすごく優しくて、ある意味では紗都子を守ってくれる存在でもある。もちろん戸惑いもたくさんありますが、進平の優しさには素直に心を動かされるところがあるんじゃないかなと思います。
紗都子がいろいろな気持ちの中で逡巡するシーンがあるのですが、持ち前の強さや打開力で「今の自分の恋ではなく、家を存続させるための“結婚という夢”が大事」と、自分の気持ちをなんとか抑え込もうとしているんですよね。
でも、進平のまっすぐさに触れることで、少しずつ心が動いていく。そんなふうに契約の関係から“恋物語”に進んでいくところが、私は個人的にめちゃくちゃ好きです。
原作を読んでいても「もっと早くくっついてくれてもいいのに!」と思ったりするんですけど(笑)。その焦らしというか、2人の駆け引きが丁寧に、ゆっくり進んでいくところも、オレコ先生の描き方の素敵なところかなと思います。
内山:先ほどもお話ししましたが、2人とも“強者”なんですよね。ラブストーリーですが、なんだかバトル作品のようにも見えるというか。紗都子は過酷な運命の中でも立ち上がって、壁に立ち向かっていくキャラクターなので、ラブストーリーの行方はもちろん、2人の“バトル”という見方でも楽しんでもらえたらいいなと思っています。さまざまな角度の見方ができる関係性ですし、恋もバトルも楽しめてギャップがある物語展開なのかなと思いますね。
――おっしゃる通り。ラブストーリーでありながら、ひと言ではジャンルを括れない作品ですよね。お2人は本作をどんな作品だと捉えていますか?
内山:本当に、これってなんていうジャンルなんですかね? いろいろな要素が入ったジャンルミックスの作品なので、それぞれの要素をしっかり引き立ててあげたいなと思って演じています。ラブストーリーとして、見ている方がときめくような愛の物語としても盛り上げたいですし、個性豊かなキャラクターが次々と登場する作品でもあるので、その中で進平もしっかり際立たせてあげたいなと思います。
本当にシーンごとに狙いどころが変わっていくタイプの作品なんです。
Lynn:意外とアクションシーンも多いですし、サスペンス展開もありますよね。
内山:本当にびっくりしますよね、展開が。
Lynn:絶対誰か裏切るだろうな、とか(笑)。
内山:誰を信じていいかわからないです。
Lynn:(笑)。その中で、唯一紗都子だけがブレずに強く生きているんです。いろいろなことが起こる中でも、そこだけは変わらない。だからこそ、紗都子の強さがより引き立つのかなと思います。
――Lynnさんから見た進平の魅力、内山さんから見た紗都子の魅力をそれぞれ教えてください。
Lynn:私は進平がすごく好きなんです。
内山:紗都子もギャップが魅力だと思います。か弱いのかと思ったら、実はすごく強いキャラクターですし、包容力みたいなものも感じさせる。進平にはミステリアスで、何を考えているのかわからない部分がありますが、紗都子も「この先、どんなポテンシャルを発揮するんだろう」と思わせるところがあります。
良家のお嬢様、箱入り娘としてここまで生きてきたのに、そこからまったく違う環境に放り込まれてしまう。それでも「ここでやっていこう」と思えるメンタリティがあるのは、やっぱり強いなと思います。
――続いて、印象に残ったシーンやセリフはありますか?
Lynn:紗都子が進平の生い立ちを聞き、“自由がない”という共通点を見つけたことで「私と一緒にここを出て、自由になりましょう」と言うセリフはとても印象的でした。そこで「一緒に出ましょう」と言える紗都子の強さが、すごくかっこいいなと思いました。「俺についてこい!」みたいな(笑)。
内山:第1話で、紗都子が進平に「結婚しましょう!」と言うシーンもインパクトがすごかったですよね。目の前でたくさんの人を手にかけている進平を見て、紗都子は怖がりつつも生きるのを諦めず、殺されない方法として“自分の価値”を模索する。そこにも紗都子の強さが現れていて、とても印象に残りました。
Lynn:あと、進平のお歌も素敵なんですよ。
内山:歌うシーンはちゃんと曲が指定されていました。アニメの鼻歌って、なんとなく鼻歌みたいな感じになることが多いですが、今回は「この曲のこの部分」というところまでしっかり演出されていて。スタッフの皆さんが、細かいところまでこだわっているんだ、というのが伝わってきました。
――最後に、放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
Lynn:原作の良さを、アニメーションだからこそできる形で、皆さんに素敵にお届けできたらいいなと思いながら一生懸命役に向き合ってアフレコしています。長い物語ではありますが、丁寧に、かつテンポ感よく描かれていますし、映像の美しさや穏やかさのようなところも楽しんでいただけたらうれしいです。
内山:原作ファンの方々にも満足していただけるようなアニメになっていればいいなと思いますし、原作をまだご存じない方にも届いたらうれしいです。アフレコでは、進平という底知れないキャラクターをどう声で表現するのが正解なのか、毎回一生懸命考えながら演じています。ぜひたくさんの方に楽しんでいただきたいです。
■放送情報
全国フジテレビ系“ノイタミナ”にて
2026年10月9日より毎週金曜23時30分放送!
10月9日より毎週金曜24時~各プラットフォームにて順次配信開始!
AT-Xにて10月16日より毎週金曜23時放送(リピート放送 毎週火曜11時~/毎週木曜17時~)
■ストーリー
愛が重すぎる殺し屋×余命わずかな令嬢の狂愛ストーリー
女は家の財産とされた時代――
名家に生まれ美貌に恵まれるも、余命わずかと言われている伯爵家の令嬢・桐ヶ谷紗都子。
そんな彼女の夢は名家に嫁ぎ、父の誇りになること。
しかしある夜、何者かの企てによって連れ去られてしまう。
絶体絶命の場面に居合わせた殺し屋・後藤進平に
「私たち結婚しましょう。私と一緒になれば全てが手に入ります。」
と咄嗟の嘘をつく紗都子。
「運命の相手だ」と紗都子を狂愛する進平と
自らの使命と進平への想いの間で揺れる紗都子の
一途で許されぬ愛のかたち。
■キャスト
桐ヶ谷紗都子:Lynn
後藤進平:内山昂輝
小川康太郎:伊東健人
三枝:津田健次郎
■スタッフ
監督:亀井隆広(「うる星やつら」「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」)
シリーズ構成・脚本:柿原優子(「薬屋のひとりごと」「うる星やつら」)
キャラクターデザイン:愛敬由紀子(「サイダーのように言葉が湧き上がる」「四月は君の嘘」)
コンセプトアート:ソエジマヤスフミ
サブキャラクターデザイン:みき尾
プロップデザイン:ヒラタリョウ 鼓山キョウヒコ 荒木裕 鷲尾直広
美術監督:本田こうへい
美術設定:谷内優穂 須江信人 伊良波理沙 渡邉紳 小野賢輝
色彩設計:中村絢郁
ビジュアルプランナー:峰岸健太郎
編集:髙橋歩
音響監督:山口貴之
音響効果:安藤由衣
音楽:KAY(NOGRID)、佐藤浩一(NOGRID)、Nic Gitter(NOGRID)
アニメーション制作:david production(「ジョジョの奇妙な冒険」「はたらく細胞」)
■主題歌
オープニング・テーマ:iri「Period」
エンディング・テーマ:TOOBOE「夢心地」
(C)橘オレコ/小学館/アニメ「ホタルの嫁入り」製作委員会
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