「やんごとなき一族」の現実離れしすぎた最終回に「ちむどんどんも見習え!」の声

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 どうせならここまで振り切ってくれ。朝ドラファンもそう思っていたのではないだろうか。


 土屋太鳳が日本有数の富豪な一族に嫁ぎ、奮闘する姿を描いたドラマやんごとなき一族」(フジテレビ系)が6月30日に最終回を迎えた。そこで描かれた様々なとんでもシーンに「面白すぎる!」と評価の声が寄せられているという。


 前回、夫の深山健太(松下洸平)が記憶喪失になってしまい、別居を決意した佐都(土屋太鳳)。深山家では相変わらず当主の圭一(石橋凌)が強権を振るい、女は客をもてなすくらいしか能がないと妻の久美(木村多江)を罵っていた。


「その久美はついに家を飛び出し、佐都の実家である大衆食堂・まんぷく屋を訪れることに。そこに現れた常連客(ダチョウ倶楽部肥後克広寺門ジモン)の二人は、なぜか久美を食堂のスタッフと勘違いし、次々と食事を注文します。その久美が店を後にすると、今度は深山家長男の妻である美保子(松本若菜)が来店。次男の嫁である佐都にさんざん嫌がらせをしてきた彼女はなぜか急にしおらしくなり、『ありがとお、そして、ごめんなさい』と謝罪の言葉を口に。いきなり素直になった美保子ですが、大仰な口調と変顔は健在で、“松本若菜劇場ここにあり”を再確認させてくれました」(テレビ誌ライター)


 こんな調子で、セレブな家を舞台にしたドロドロな愛憎劇のなか、なぜかネジの外れたキャラばかりが登場する喜劇路線を最終回まで貫いてきた「やんごとなき一族」。その面白さは中盤から終盤に向けて、さらなる爆発を見せていた。


 ライバル企業の画策により、巨額の損失を抱えることになった深山家。一発逆転を狙う当主の圭一はドバイの大富豪で投資家のサイードから出資を受けようともくろむ。

久美が出て行ったなか、佐都がもてなし役を引き受け、大人数の取り巻きを引き連れたサイードが深山家を訪れた。


 そのサイードを演じるのは竹財輝之助。どこからどう見ても日本人の彼がドバイの富豪を演じる時点で無理がありまくりだが、親日家で日本語に流暢という役柄に叶う俳優が見つからなかったのか。ともあれ竹財が白いカンドゥーラ(中東の民族衣装)に身を包む姿が妙に似合っているところからして、まるで演劇の舞台を観ているかのようだ。


「やんごとなき一族」の現実離れしすぎた最終回に「ちむどんどんも見習え!」の声
日本人にしか見えない竹財がドバイの大富豪を演じても、素直に受け入れるのが本作のファンの務めだろう。トップ画像ともに「やんごとなき一族」公式ツイッター(@yangoto_fuji)より。



 その投資ミーティングで圭一は、深山側はトラブルなど抱えていないと大嘘を付くが、次男の健太は深山家に巨額の負債があると暴露。商談相手の面前でいきなり親子喧嘩が始まってしまった。さらには久美や美保子など深山家の女性たちがアベンジャーズかのごとく集結し、ヒーロー立ちしながら圭一への不満をぶちまけたのだった。


「この間、当然サイードたちは置いてけぼりに。というか深山家側では圭一も女性たちも、いまが商談中だということをすっかり忘れているのでしょう。そしてひとしきり圭一が責め立てられたところで、サイードはなぜか契約書にサインすることに。一連のやり取りを聞いたうえで、次男の健太が深山側の代表になるのであればサインするという条件でした。部外者の彼が深山家の内情に介入するというトンデモ展開ながら、これほど大真面目にドタバタ劇を繰り広げたあとなら、視聴者も納得したことでしょう」(前出・テレビ誌ライター)


 しまいには、当主の座を自ら降りた圭一はなぜか無一文となり、ホームレスへと身をやつすことに。

個人名義の財産などいくらでもあるはずだが、その転落ぶりはいったい何を象徴しているのか。


 しかも公園で暮らしているところを妻の久美に見つけられると、何を改心したのかあっという間に普通の生活に戻っていた圭一。佐都と健太がやっと正式に結婚式を挙げることになり、そこでは二人の子供を「ばーっ」あやす幸せいっぱいのじいじになっていたのである。


「やんごとなき一族」の現実離れしすぎた最終回に「ちむどんどんも見習え!」の声
コミカルな集合写真からは、現場の雰囲気が良かった様子が伝わってくる。「やんごとなき一族」公式ツイッター(@yangoto_fuji)より。



「そんな“なんでもあり”の展開を、視聴者も大いに楽しんでいたはず。そもそも深山家の設定自体が突拍子もないわけですから、登場キャラや物語がこれほど突拍子なくらいで、ちょうどいいバランスになるのでしょう。そんな『やんごとなき一族』を見てしまうと、放送中のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の中途半端さが気になってしょうがなくなってしまうのです」(前出・テレビ誌ライター)


 その「ちむどんどん」では周りを明るくする魅力をもちながら、非常識さが目立つヒロインの暢子(黒島結菜)を筆頭に、同情できる点が何一つも見当たらないクズ男の長男・賢秀(竜星涼)など、ろくでもないキャストが勢ぞろい。それでいてストーリーは偶然の出会いが続くなどご都合主義ばかりで、多くの朝ドラファンを呆れさせている。


 視聴者からはさんざん≪つじつまが合わない≫≪料理を軽んじている≫≪誰にも感情移入できない≫といった不評が立つばかり。時おりコミカルな演出が入るものの、物語のスパイスとはなっていないのが実情だ。


「どうせなら『やんごとなき一族』くらい振り切ってしまったほうが、視聴者も面白がってくれるはず。せっかく“とんでもドラマ”のいいお手本が同じ時期に放送されていたのですから、少しは見習ってほしいものです」(前出・テレビ誌ライター)


 ただ、朝ドラの収録は放送の3カ月前には終わっているらしく、6月30日放送の路上キスシーンも、主演・黒島の誕生日である3月15日に収録されていたことが明かされていた。どうやら今から軌道修正することは、ほとんど無理なのかもしれない。


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