一般財団法人山本美香記念財団は、2024年5月4日に行われた第11回「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」の選考会の結果、下記の受賞者に贈呈することといたしました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/394596/LL_img_394596_1.jpg
受賞者の酒井聡平氏

<本年度の受賞者および対象作品>
〇北海道新聞記者でルポライターの酒井聡平氏(47)による著書、「硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ」(講談社)

選考委員 : 岡村隆(編集者、探検家)、河合香織(ノンフィクション作家)、高山文彦(作家)、吉田敏浩(ジャーナリスト)
※高山文彦さんの「高」は、「はしごだか」です。



<選考委員講評>
硫黄島の戦史と、日本兵戦死者の遺骨をめぐる戦後史が丁寧に描かれ、現地での遺骨収集作業、多くの取材場面、文献調査の結果など、著者の多面的な活動の実際が詳述され、硫黄島の戦後の実情が全体像として臨場感を伴って浮き上がってくる。とくに、「1万人の帰らない遺骨」の背景に米軍の核配備の問題や日米間の密約の存在があることを、遺骨発掘現場の歴史や現状とともに分かりやすく伝えている点などは、全体の構成とともに優れていると思われた。
また、取材動機の根底に、自分の祖父が父島通信隊にいて硫黄島玉砕直前の電文を受け取ったという個人的背景があり、その個人の思いの深さが硫黄島の戦後史や遺骨収集に関わる人々へのさまざまな思いとも重なって行間から伝わってくることも評価された。


<授賞式>
日時:2月24日(金) 18時より
場所:日本記者クラブ
※入場は報道および関係者のみ。取材希望のメディアは当日、会場にて受付けを行います。


<山本美香記念国際ジャーナリスト賞>
2012年8月20日、シリア取材中に凶弾に倒れたジャパンプレス所属のジャーナリスト・山本美香の遺志を継ぐべく創設。
世界中で起こっている様々な紛争や抑圧、災害や貧困などの下で暮らす様々な人々の生きる姿を伝える優れた国際報道を担うジャーナリストの支援、育成を目的とする。
世界の不正義や不条理に対して何がどのように不正義で不条理であるのか、伝聞ではなく自分自身の目と耳でとらえ、世界中に発信しようとするタフな行動力。また、それらの国々や地域において、生死のはざまをそれでも懸命に生きていこうとする人びとの姿を深い共感をもって世界中に伝えようとするヒューマニスティックな視座。本賞はその二つを併せ持つ国際報道をおこなったジャーナリストを選考の対象とし懸賞を行う。


【山本美香について】
ジャーナリスト。1967年生まれ。
朝日ニュースターの報道記者、ディレクターを経て1996年から独立系通信社「ジャパンプレス」に所属。アフガニスタンやイラク、コソボ、ウガンダ、チェチェン、インドネシアなど世界の紛争地を取材。イラク戦争報道でボーン・上田記念国際記者賞特別賞を受賞。2012年8月20日、シリア内戦の取材中にアレッポにて銃撃を受け、殉職。

山本美香記念財団ウェブサイト: https://www.mymf.or.jp