11月に入って第1週は113%と好調だったテレビ市場だが、第2週、第3週と2週連続で前年を下回ったことで消費増税の駆け込みの反動減からの回復にブレーキがかかっていた。第4週でようやく前年を上回ったことで、このまま年末商戦に突入していきたいところだ。
しかし、BCN総研の木下智裕部長は「12月第1週は、昨年の同時期にPayPayが大型キャンペーンを実施していたこともあり、前年割れするのではないか」と予想する。
2018年12月4日に、PayPayはスマートフォン(スマホ)決済による支払額の20%を必ず還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施してキャッシュレス決済の火付け役になった。現在のように還元ポイントの上限を設けていなかったこともあり、高額商品の多い家電量販店に顧客が殺到。わずか10日で還元するポイント原資の100億円分が尽きるという異例の事態となった。
今年の12月第1週はその影響をもろに受ける形となり、前年割れを覚悟する必要がある。ただしこれは、昨年のデータがある意味で特殊だったため、それほど重く受け止めることはないだろう。ここで役立つ指標となるのが、前回増税時と比較した下の棒グラフだ。
前回の13年12月第1週を100とした販売台数の指数推移を示すグラフで、11月第1週から4週連続で前回の規模を上回って推移していることが分かる。
そのため12月第1週が仮に前年割れになったとしても、前回増税時と比較して上回っていれば市場は落ち込んではいないと判断できるのではないだろうか。PayPayの影響は覚悟の上で年末商戦に挑みたい。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPOSデータを通じてスマートフォンやデジタルカメラ、4Kテレビなどの販売台数・金額データを毎日収集・集計しているデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
【関連記事】
テレビの販売台数、2週連続前年割れも、前回増税時より上向く
4K8K推進キャラクターの深田恭子さん卒業、普及に貢献で感謝状
テレビの販売動向、増税後は重い足どり、11月第2週は三度目の前年割れに
テレビ市場が乱高下、11月第1週は休日1日多く前年同週比113%
テレビ、10月最終週は再び前年比二桁割れ、やはり増税後は消費冷え込みか