4月のビックカメラとコジマを合わせたグループ売上高は、前年同月比76.9%だった。
4月の商品別売上高では、音響映像商品が51.0%とほぼ半減、白物家電や季節商品を扱う家庭電化商品が56.3%、その他商品が45.8%と厳しい内容。外出自粛によるテレワーク需要から、PCなどの情報通信機器商品は91.6%だった。
ビックカメラでは、3月下旬から週末に限って実施していた都内を中心とする旗艦店舗の休業が4月7日の緊急事態宣言の発令に合わせて平日にも広げた。その後、宣言が7都府県から全国に拡大したことから、対象店舗も全国に拡大。4月30日時点でビックカメラの全45店舗の4割に相当する18店舗が休業している。
また、営業している店舗でも通常より最大5時間の短縮を余儀なくされており、これらの対応が実店舗の売り上げの低迷に直結している。
5月12日時点でビックカメラに確認すると、「休業は14店舗になっている。5月11日から営業時間も18時から19時に後ろ倒しするなど、状況を見ながら柔軟に対応していく」と語る。
一方で、ネット通販の売り上げは外出自粛や新規顧客の増加によって前年同月比で倍増したという。また、PC本体や周辺機器、SIMロックフリーのiPhoneがけん引したスマートフォン、ゲームの販売が前年を上回ったものの、このほかの商品の売り上げの低迷分を補うほどではない。
家電量販店は東京都が発表した休業要請の対象業種ではないものの、外出自粛要請による休業や営業時間の短縮の自主的な判断が迫られていることが、急速な経営の悪化につながっている。
ビックカメラの場合、例えば、都内で池袋や新宿、渋谷などの一部店舗で休業しているが、仮に営業を再開したとしても商圏自体に客足が戻っていない中で効果が見込めないという事情もあるという。
家電量販では新型コロナの影響でケーズホールディングスが5月7日に予定していた2020年3月期の連結決算の発表を14日に延期したり、5月7日と8日に決算を発表したヤマダ電機や上新電機でも、感染の収束時期が見通せないことや、今後の影響を予期することが極めて困難として、2021年3月期の業績予想を未定とするなど、経営へのダメージが深刻化している。(BCN・細田 立圭志)
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