東芝ライフスタイルは新開発のパルセーターで洗浄力を高め、衣類が取り出しやすいロー&ビッグ投入口を新たに採用した全自動洗濯機「ZABOON」の洗剤自動投入機能付き2機種と洗剤自動投入機能非搭載1機種の計3機種を25年8月に発売した。

●洗濯機の出荷台数ではインバーター搭載縦型全自動洗濯機が1/3を占める
 東芝ライフスタイルの全自動洗濯機ZABOONの新製品は、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能付きで洗濯容量12kgのAW-12DPB5(以下、AW-は割愛)と10kgの10DPB5。
この2機種に加えて洗濯容量10kgで洗剤・柔軟剤自動投入機能非搭載の10DHB5も同時に発売した。
 洗濯機は5年連続で出荷台数がダウンしている。ただし、ドラム式洗濯機は右肩上がりで伸長しており、総出荷台数に占めるドラム式洗濯機の割合は24年で24.2%。出荷台数の約1/4がドラム式洗濯機だった。
 媒体の新製品ニュースなどでは、ドラム式洗濯機が取り上げられるケースが多い。しかし、出荷台数が最も多い洗濯機のタイプは、乾燥機能を搭載していないインバーター搭載の全自動洗濯機。24年の総出荷台数に占める割合は38.3%とドラム式洗濯機より10ポイント以上も高いのが実態だ。
 このインバーター搭載タイプでは洗濯容量10kgの大容量モデルが伸長している。東芝ライフスタイルが今回発売した全自動洗濯機は、まさにこのインバーター搭載の大容量モデルだ。
 実は今回の新製品は6年ぶりのフルモデルチェンジで、外観から使い勝手、洗浄力まですべてを一から見直した。同社では特にユーザーの声を重視し、アンケートやインタビュー、さらにはユーザー宅への訪問も行い、ユーザーの声を製品づくりに反映させたという。
●新開発の大型パルセーターで洗浄力がアップし洗濯時間が30分に
 すべての改善・変更部分を紹介することはできないが、大きく変わった部分を紹介していこう。
まずは、パルセーターだ。パルセーターとは洗濯機の底面にあって回転する円形のパーツのこと。パルセーターが回転することによって水流が発生し、その水流が衣類を撹拌して汚れを落とす。つまり、洗濯にとって非常に重要なパーツなのだ。
 新製品では撹拌研究の権威である名古屋工業大学の加藤禎人教授と共同で、24年モデルと比べて直径が約30mm大きい430mmの新大型パルセーターを開発した。
 従来よりも大きなパルセーターが回転することで、衣類を上に押し上げる力や下に引き込む力は強くなる。その力は洗濯槽の中で衣類を上下左右に入れ替える撹拌力をアップすることにつながると同社では説明する。
 ただ単に大型化しただけではない。従来は表面の小さい羽根が中心部まで続いていたが、新開発のパルセーターは小さい羽根が中心部まで続かずに途中でカットされている。これはパルセーターが回転してできる渦を中央に向かって引き込ませるための工夫だ。
 パルセーターに開いている小さな穴も見直し、穴の配置や数を変え、さらに従来は羽根にもあった穴を排し、水がより中央に集まるようになった。
 また、パルセーターの裏側にも羽根が付いているが、この羽根は回転時に遠心力で水を外側に押し出すためのもの。
洗濯槽上部から注がれるシャワーは、この押し出された水が洗濯槽を駆け上って吐出口から噴出されて衣類に降り注ぐというわけだ。
 整理しよう。新開発の大型パルセーターが回転すると、大型化によって従来以上の押し上げと引き込みの2つの強い水流で衣類を撹拌する。同時に水はパルセーター表面の穴から裏側に抜け、回転時の遠心力で外側に押し出される。押し出された水は、その勢いで側面に設けられた取水口を通って駆け上がり、上部の吐出口からシャワーとなって噴出される。
 新開発の大型パルセーターによって、シャワーの水量は2024年モデルと比べて約37%アップした。
 また、水に溶けだして抗菌作用を発揮するAg+(銀イオン)ユニットの取り付け位置もパルセーターの中央に変更されている。従来モデルのユニットの位置は洗濯槽の側面に配置されており、シャワーの流れを阻害していた面があったが、この位置変更によってシャワーの流れがよりスムーズになったという。
 縦型洗濯機におけるパルセーターは約70年前からの技術で、これまで各社によってさまざまな改良が加えられてきた。それゆえ大きく進化することはないだろうと思っていたが、この考えは全く違っていた。フルモデルチェンジも奏効して、より洗浄力が強化され、大きな進化を遂げたという印象だ。
 また、蛇口からの給水経路も従来は3つの弁を通していたが、これを4つに増やして給水にかかる時間を短縮。
パルセーターの改良とシャワーの水量アップなど、さまざまな改良によって標準コースの運転時間は従来モデルよりも約5分短縮し、12DPB5で約38分、10DPB5で約30分となった。●フルモデルチェンジで操作性が大きく向上
 フルモデルチェンジで大きく変わったのは、パルセーターだけではない。衣類の投入口がロー&ビッグになったのだ。操作パネルを手前ではなく奥に配置し、投入口の周囲を覆う形で内部に配置されているバランスリングの形状も見直した。
 その結果、投入口は奥行き357mm、幅441mmで毛布などの大物の出し入れがしやすくなった。また、投入口手前の高さは24年モデルより29mm低い826mmで、投入口から槽の底までの深さは約489mmと浅くなったため、衣類が取り出しやすく、小さな衣類の取り忘れもないという。
 同社では身長150~180cmの誰もが取り出しやすいように設計したと説明する。実機の前に立つと投入口の手前が非常に低く、投入口には緩やかな傾斜が付けられており、一見して衣類の出し入れがしやすいことが分かる。
 本体奥の操作パネルには約35度の角度が付けられており、視認性は良好だ。ふたを開けた状態でも操作でき、さらにふたには槽内が見えるクリアウィンドウを採用し、洗剤・柔軟剤自動投入機能付きの12DPB5と10DPB5はふたを開けずに自動投入タンクの残量が確認できる。
 また、洗濯時に糸くずをキャッチする糸くずフィルターも形状を改良した。フィルターのサイズが大きくなり、ケースをスライドするとケース内のリブが糸くずを掻き出して糸くずに触れず手入れができるようになった。

●ナノサイズの泡が繊維の奥の汚れを落とす
 同社が2017年モデルから採用しているウルトラファインバブル洗浄は、洗浄とすすぎにもウルトラファインバブルを使ったウルトラファインバブル洗浄Wに進化し、さらに前述の銀イオンで水道水を抗菌水に変える抗菌ウルトラファインバブル洗浄Wと変わってきた。今回の新製品でもこの抗菌ウルトラファインバブル洗浄Wを継続搭載している。
 ウルトラファインバブルはナノサイズの泡が洗剤の成分である界面活性剤を繊維の奥まで運んで、皮脂汚れをしっかり落として黄ばみを抑制する。すすぎでは逆にウルトラファインバブルが繊維に残った洗剤の成分を吸着して取り除くため、柔軟剤の成分が繊維の奥まで浸透するという効果がある。
 油汚れが同程度付いた布を、それぞれ水道水とウルトラファインバブル水に入れて同じ回転数で回すと、ウルトラファインバブル水では水道水よりも短い時間で油が分離。ウルトラファインバブルがしっかりと汚れを引き剥がすことが確認できた。
 12DPB5と10DPB5はWi-Fiでスマートフォンとも連携する。事前に本体を設定しておけば、外出先からでも運転をスタートすることが可能。同社によると、スマートフォン連携機種では夜のうちに洗濯物を入れておき、起床時にベッドの中からスマートフォンでスタートさせる使い方をしているユーザーもいるとのことだ。
 特にユーザーから評価されているのは、洗濯終了時にスマートフォンに通知が来る機能。乳幼児がいる家庭では子どもの睡眠を妨げないよう終了ブザーをオフにしても洗濯終了の通知が届くため、非常に便利という。
 ちなみに同社のインバーター式全自動洗濯機は駆動ベルトがなく、モーターと槽が直結した低振動・低騒音のDDモーターを採用。
運転音は洗濯時が約31dB、脱水時は約37dB。ささやき声が約30dB、図書館の中が約40dBという目安と比べると、非常に静かだ。
 なお、同社では現在、新商品の発売を記念してキャッシュバックキャンペーンを実施中。選べるe-GIFT5000円分が購入者全員にもれなく当たる。購入期間は9月30日までで、応募期間は10月31日まで。詳しくは同社のホームページを参照されたい。
 6年ぶりのフルモデルチェンジで洗浄力と使い勝手が大きく向上した東芝ライフスタイルの全自動洗濯機。特に大型の洗濯機では家電量販店などで実機を見てから購入するケースが多いと思われるので、実際に店頭で投入口や操作パネルに触れて、衣類の出し入れや操作性などを確認してみよう。
【注目の記事】
サイズはそのままで収納量がグーンとアップ! 東芝が冷蔵庫のフラグシップモデル3機種を発売
東芝、1400Wハイパワーのプレミアムオーブントースターを12月中旬に発売
ゴミ捨ても手入れも約70日に1回! 東芝ライフスタイルが自動ゴミ収集機能付きコードレススティック掃除機を発売
編集部おすすめ