元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”(『女子鉄ひとりたび』著・木村裕子より)。西九州のドラマチックな旅を終え、裕子の新たな旅行先は沖縄本島。
■那覇までの航空券が1980円? こりゃ~行かなきゃ負けっしょ!?
飛行機もバスもフェリーも、私にとって敵ではない。鉄道だけじゃなく、動く乗り物すべてが好きだ。
幼少期のころは三輪車にハマっていた。
そして、動く乗り物の宝庫である公園は、私にとってパラダイスだった。特にブランコが好きで、小さな体に受ける体感速度は時速300キロの新幹線のように思えた。
そのころの楽しさが大人になった今も忘れられず、人目の少ない深夜に、しばしばブランコを漕ぎに行くこともある。それで職務質問に2回も遭ったけど……(笑)。
父親が長距離トラックの運転手をしていたことから、助手席にはよく乗せてもらっていた。そのときの流れる景色が好きだったのも、乗り物好きになった要因かもしれない。
そのためLCC(格安航空)も夜行バスも、乗り鉄の旅では積極的に取り入れている。
特にLCCを乗り鉄の行程に取り入れると、ものすごい武器となる。
青春18きっぷシーズンは、都内の自宅から羽田空港(浜松町・品川)・成田空港までJRで行って、飛行機で地方へ飛び、そのまま現地でもこのきっぷを使うと、最大限の有効活用ができて勝ち組になったような達成感がある。
あるとき何気なくLCCのウェブサイトを見ていると、セールで平日の成田~那覇は間が片道たったの1980円だった。
これは「行かないと負け」のような気がして、即、往復購入。新幹線も大特価セールがあったらいいのにな、と思う。
平日旅ができるのは、自由業の特権だ。衝動買いができたのもスケジュール調整がしやすいタレントならでは。
「乗り鉄へ行きたいから、1週間お休みをください」と言っても、
「いいね! ネタ仕入れも兼ねて行ってらっしゃい」
と、一般的にはありえない申請なのにむしろ歓迎されて通ってしまう。
そのおかげで、ついに未乗区間だった沖縄都市(おきなわとし)モノレール・愛称ゆいレール乗りに行けることになった。
沖縄の観光雑誌を読みあさり、出発の日を指折り数えていた。
(27番線へ続く)