ビートたけし(北野武)が73歳で再婚していた! というニュースがスポーツニッポンにより報じられておりました。
「何してんだよ」と思います。
ビートたけし、本格的にボケてるんじゃないの。
ビートたけしの出ている「情報7days」とか、他人の不倫、事故、不幸ネタとかさんざん面白おかしく伝えておいて、肝心のビートたけし本人の7年越しの不倫略奪愛とかどう報じるつもりなんですかね?
基本的に、大の大人が不倫した、離婚した、結婚したというのは、本当にどうでもいいことなんですよね。自分は不倫しない、家族を悲しませたくないという気持ちを持っていても、ゆきずりの恋に落ちたり、魔が差したり、抑えきれない性欲がほとばしった! というのは人間の性(さが)である以上は、男女間のトラブルは世界中のあちこちであります。当たり前だ。
たけし再婚、お相手A子さんは著書に登場18歳年下「オネーチャン」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
最近になって、その再婚相手である後妻さんがビートたけしの「東京スポーツ映画大賞」の中止を通告したとかいうニュースが出ていました。
記事の内容が正しければ、ビートたけしのマネジメントに乗り出したこの再婚相手の後妻さんが「ビートたけしに100万円の手渡しギャラでは少ない」って通告したことになってます。東京スポーツはもっと怒っていいでしょ。ジジイ、いい加減目を覚ませって。
ただ、芸能ニュースというのは世間の注目をおおいに集めることを仕事にしている等身大の人間が、吹っ飛んだ理性に垂れ流す下半身と、動き出すおカネの大きさを一般人に見せつけながら激しくやらかすからこそ話題になる。ニュースになるわけですよ。
ニュースになるのはみんな気になるからですよね。見に行くからニュースになるし、媒体さんも読者さんが見に来るだろうからニュースにする。
東出昌大の不倫ニュースなんかは典型で、父・渡辺謙の奔放な性に辟易した娘・杏が、父子間の確執をこじらせ、家を飛び出す。何という伏線。そこへ、東出昌大との出会いと結婚、誰もがうらやむ環境で、芸能人夫妻として東出昌大も杏も成功して、おおいに露出し、夫婦として、役者として地位を築くのです。
しかし、東出昌大はヤバい下半身だった。双子に恵まれ、さらに第三子を懐妊した杏を家に置き、3年以上にわたる若手女優の唐田えりかとの不倫を続行。そして、壮大にバレて大スキャンダルへと発展していきます。
これほど読み手の感情を掻き立てるものは何か。知名度抜群の成功した芸能人夫婦、渡辺謙のような大物が家族にあり、杏は子育てと妊娠で身動きが取れず、そこへ東出昌大が悶絶するほどクズな不倫をする。つまりは、築き上げてきた金ぴかの巨塔が、制御不能のちんぽこ一本で基礎工事のコンクリからすべて大崩壊するプロセスを見て、みなが怒り、悲しみ、同情し、この不倫から導き出される臨場感たっぷりのニュースの一挙手一投足を見守っているんですよ。
そして、これは見る者すべての人生において、最高にどうでもいい物件です。
超どうでもいい。
でも、みんな自分の人生に置き換え、もしも俺だったら、私だったら、と考える。まるで、良質の連続ドラマにのめり込むように。誰にとってもどうでもいい不倫ニュースが最高のコンテンツになって、みんな夢中になるのは「不倫」「芸能人」「成功者」「不倫した大物芸能人の娘」「三人の子ども」「妊婦」といったキーワードが深いからですね。
さらに、東出昌大の次は鈴木杏樹の不倫まで出てきました。ようやく不倫ニュースがひと段落したところで。こっちはこっちで実にゲスい。そして、本当にどうでもいい。いつまでもニュースを見ていると怒りや半笑いの感情が渦巻くけど、消費されるニュース自体がどうでもいいことに変わりはありません。
そこへ、「芸能界の大御所・ビートたけしの不倫」問題がやってきました。コンテクストとしては、コンテンツとして確立した漫才の世界の立役者であり、長らくやってきたオフィス北野とたけし軍団の騒動があり、長年連れ添った夫人あり、映画監督として世界の評判をさらった「世界の北野」というでかい勲章を下げたビートたけし。間違いなく、80年代以降の日本のテレビを支えた功労者であることは間違いないんですよね。偉大な人ですよ。
ところが、一連のビートたけし報道は「忖度」一色です。
何をそんなにみんな怖れているの。
明らかに耄碌してるでしょ、ビートたけし。きっと「俺の好きにさせろよ」としか思ってないだろうけど、理性があって面白かった頃のビートたけしが、いまの老境ビートたけしをみたら猛烈に馬鹿にしてるような状況だと思いますよ。ゲスすぎるもの。カネもある成功者で業界の大御所となったビートたけしが、誰からも批判されることなく好きなことをやり続けた結果、周囲を全部切って、老醜を晒して歳の差再婚て。
何してんだよ。
これ、やしきたかじんの末期に後妻業がやってきたとかいうレベルと一緒でしょ。
百田尚樹に不思議な本を出されて騒動になる的な。まわりも止めろよと思うけど、止められる人はみんな後妻さんがビートたけしをそそのかして言いがかりでもつけて切っちゃったってことなんでしょ、たぶん。もはや守ってくれる人のいない「裸の殿」状態で、一時代を築いた大物が横から出てきた不思議なのに名声もカネも奪われていくプロセスを芸能ニュースとして見ていることになるんです。
思い返せば、事務所であったオフィス北野の騒動だって、あるいはビートたけしが出ていた昔のテレビ出演の2次使用料すらも請求し始めるかもしれない。
しかも、みんな「あれ、ビートたけし惚(ほう)けてるよね?」「歳とって脳みそヤバくない?」ってのは分かってるでしょ。いくら「殿の言うことだから」と言ったって、明らかに痴呆症のような後妻さん入れ込み具合でおかしいと気づいてるでしょ。
なのに、メディアではほとんど「ビートたけし、ボケてんじゃねえよ」とは書かない。
世が世なら、跡取りや番頭衆が「ご迷惑をおかけしました」と奥に連れてっちゃうべきところ、みんな大御所に気を遣って、どこも「おかしいだろ」とは書かない。いや、正確にはビートたけし本人の精神状態や人生を思って忖度しているのではなくて、ビートたけしの実績に対して敬意を払ってて、うっかり批判して傷をつけたくないと思ってるのかもしれない。
たかじん末期もそうでしたが、うっかり本人が芸達者で面白いと「すったもんだも芸のうちなんじゃないか」と思ってしまう。でもこれもう介護問題ですよ。はがいじめにして総合病院の物忘れ外来に連れていくべき状況の。「要支援」ぐらい認定されるかもですよ。
それなのに、芸能ニュースとしてフリーに叩いて読者が読みに来てページビューが取れる東出昌大や鈴木杏樹ネタは壮大に扱う。ビートたけしも似たような不倫からの後妻さん現場介入で大混乱の話であるのに、こっちはなぜか18歳年下のお嫁さん来てよかったねぐらいの美談になっとるという。
これでうっかり「過去のビートたけし出演番組も再放送するのに二次利用要求されるぐらいなら、もう使わないでおくか」とかなってしまえば、「俺たちひょうきん族」以降の日本のお笑いを楽しんだ私たちの、ある種の共有体験や文化資産も一緒にお蔵入りになってしまうことだって考えられなくはないんでしょうけどね。
そりゃ基本的には芸能人の不倫話なんてどうでもいいことなんですよ、本来は。
ビートたけしがおかしくなって、訳の分からんことをしだしたのは本人の人生だから仕方ないんです。まわりも止めようがないのだろうし。
いま直面しているのは、一時期の日本の大衆文化を支えた大物の終わりというコンテンツってことなんですか。
たかじんの銭ゲバ後妻業と批判する話と並んで、やっぱこう、誰であれ「終活」って大変なんですねえ。