【前回:「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット。“尊敬”を集め続ける理由】
「本当に大好きなことを一生懸命にやる」人生に成功するためにバフェットが大切にしていたのが「本当に大好きなことを一生懸命にやる」ということです。
出身校であるネブラスカ大学でビル・ゲイツとの公開対話に臨んだバフェットは、学生たちに、自分は投資という大好きなものを見つけることができてとても幸運だった、あなた方も、何でもいいから夢中になれるものを見つけて下さいとこう語りかけています。
「大事なのは、自分が好きなことをとびきり上手にやることです。お金はその副産物に過ぎません」
バフェットが生まれたのは1930年8月、つまり世界経済が大混乱に陥った大恐慌が始まって10カ月後のことです。バフェットの父親も大恐慌のあと、お金や仕事も失うという苦労をしていますが、そこから「極端に質素なやり方で、しかし着実に努力する」ことで生活を再建しています。
苦しい中で懸命に努力する両親を見て育ったバフェットは6歳の時から近所の人たちを相手にチューインガムなどを売る小さなビジネスを始め、11歳の時にそれまでに貯めた120ドルを投じて初めての株式投資を行っています。
「なぜそんなにお金が欲しいの?」という問いへのバフェット少年の答えは「お金が欲しいんじゃないんです。お金を稼いだり、それが殖えていくのを見るのが好きなんです」というものでした。
「お金」=「自立」だったバフェット少年にとって「お金」は「自立」を意味するものでした。お金があれば、人生で自分の本当にやりたいことができる、というのがバフェット少年の考え方でした。お金のためだけに快く思わない仕事をするとか、尊敬できない人の下で働くのではなく、自分が大好きなことを尊敬できる人たちとやりたいと考えていました。
バフェットによると何がビジネスの成功に関係するかというと、それは家柄でも学歴でもなく、ビジネスを始めた年齢が早いかどうかです。
バフェットは6歳から「小さな雪の玉」を転がし始め、11歳で「株式投資」に出会い、以来、大好きな株式投資だけを行うことで世界的大富豪となっています。
人は大好きなことのためにはいくらでも努力できるし、苦労を苦労とも感じないものです。そのために何が必要かについてバフェットはこう話しています。
「まず自分自身が顧客になり、次に他人のために働くべきだ。1日1時間を自分に充てるべきだ」
バフェットは子どもの頃から無類の読書家であり、株式投資成功の秘訣についても「手あたり次第、読むことです」と答えるほど、多くの時間を「読み、書き、考える」ことに費やしています。成功が偶然もたらされることはありません。バフェットの成功、それは幼い頃に株式投資という大好きなことに出会い、大好きなことをとびきり上手にやるために徹底した自己投資、自己研鑽に励んだことによってもたらされました。
「お金持ちになること」が目的ではいけない「仕事を好きだと心の底から思い込め。でなければやり遂げるかいがない」はアップルの創業者スティーブ・ジョブズの言葉です。すべての成功は「好きなこととの出会い」から生まれ、好きなことをとびきり上手にやるために夢中になって努力することによってもたらされます。
もしこの順番を間違えて「好きなこと」ではなく、「お金持ちになること」が目的になってしまうと厄介なことになるとバフェットはこう警告しています。
「どれほど金を持っているか、去年どれほど稼いだかということを尺度にして人生を歩んでいくなら、遅かれ早かれ厄介な問題に巻き込まれるでしょう」
バフェットは「お金を殖やす」ことには貪欲でも、「浪費する」ことには興味がありませんし、成功の度合いを測る尺度はお金以外の愛情などによって測られることをよく知っていました。