ジャニーズ事務所が民放テレビ各局に対し、元SMAPの稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾を起用しないように“圧力”をかけたという疑惑をめぐって、公正取引委員会が同事務所に注意を与えていたことが明らかになり、衝撃が広がっている。そして、7月18日放送の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)でMCの加藤浩次が臆せずに持論を展開し、多くの称賛が集まった。

 今回、公取委が同事務所を注意したのは、テレビ局への圧力があったとすれば独占禁止法違反につながる恐れがあるからだ。同事務所は公取委の動きが報じられた17日に公式サイトを更新し、「弊社がテレビ局に圧力などをかけた事実はなく、公正取引委員会からも独占禁止法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません」と反論している。

 一方、18日の『スッキリ』で加藤は「大手の事務所を独立したタレントは何年かテレビに出れなくなるっていうのは、僕はテレビ見ている方も気づいている方はいると思う。僕らもこういう仕事をさせてもらってて、そういうのが暗黙にあるっていうことがわかってる」と明言。その上で「この業界全体がこれから新しく変わっていく、次に向かっていくんだっていうきっかけになればいいなと僕は思ってます」と語った。

 同日朝、『とくダネ!』(フジテレビ系)や『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でもこの問題が報じられたが、自身の見解を発したのは『スッキリ』の加藤のみだったという。はっきりと声を上げた加藤に対し、インターネット上では「ジャニーズ事務所への忖度がささやかれている状況でよくぞ言ってくれた!」「芸能界の第一線に身を置きながらこれだけ自分の意見を口にする姿勢は立派だと思う」「ジャニー社長が亡くなった直後というタイミングを考えると、いよいよジャニーズ帝国崩壊という感じがする」といった声が寄せられている。

 この問題に関しては、18日午後に『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)で宮根誠司アナウンサーも「これは僕の見解」とした上で「テレビ局の忖度です。完全に。今の時代、出さないでねとか、そういうことは聞かないです。これはテレビ局の異常な忖度です」とコメントした。さらに元KAT-TUNで2014年2月に同事務所を退所した赤西仁も言及。

ツイッターで「忖度沢山」「才能が育たない」というハッシュタグとともに、「こうゆうのが蔓延ってるから日本のエンタメがどんどんつまらなくなっていくの。日本TVの作品もずっと同じクオリティでぐるぐる」と苦言を呈している。

 加藤はこれまでにも『スッキリ』での発言が称賛を浴びており、昨年12月には主婦目線に立ったコメントが話題に。専業主婦と兼業主婦の対立を特集した際に、加藤は「それぞれの夫婦の形がありますから」「(専業主婦が)罪悪感を感じる必要はない」と中立的な立場を示している。また、今年3月に元NGT48・山口真帆の暴行事件を取り上げた際には、「メンバーの関与なし」との調査報告に疑問を感じた様子を見せ、メンバーと加害者男性の交際が取り沙汰されている点について「そこをクリアにしないことにはこの問題は明らかにならない」と指摘。「(ルールを破ったなら)やっぱり解雇されなきゃいけないと思う」と語って共感を集めていた。

 ジャニーズによる圧力疑惑をめぐっては、所属事務所からの独立騒動を経て露出が激減した女優・のんの名前を挙げる人も多い。のんは2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』でブレイクした後、レプロエンタテインメントとの間で独立騒動が勃発。芸能活動を続けるにあたって、本名でもある能年玲奈からの改名を余儀なくされた。

 ネット上では「独立したタレントを干すような行為は独禁法違反という意識が浸透してほしい」「のんの改名も闇が深すぎるし、ちゃんと公取委が調査すべきでは」との声が上がっている。映画評論家の清水節氏は、ツイッターでジャニーズ事務所による圧力疑惑の記事を引用しながら「これを機に、全くの同ケースと思われる、のん(能年玲奈)の件も公取委に動いて頂き、解決を望む!」と訴えている。

 今後、芸能界の構造はどのように変化していくのだろうか。

(文=編集部)

編集部おすすめ