8月18日の『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の視聴率にホッと胸をなでおろした関係者もいたことだろう。14.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、久々に高視聴率をマークしたからだ。
「日曜夜7時台の視聴率を独占してきた『DASH』ですが、最近はジリ貧が続いています。11日の視聴率は『DASH』の12.7%に対し、『ナニコレ』は12.3%。4日は『DASH』13.6%に対し、『ナニコレ』11.8%。7月28日は『DASH』が12%に対して『ナニコレ』が12.8%と、ほぼ互角の戦いをしているのです。
思えば2016年秋、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)が『日曜もアメトーーク!』として日曜のゴールデンタイムに進出し、古舘伊知郎の2時間レギュラー『フルタチさん』(フジテレビ系)が始まるなど、『DASH』の裏番組に新興勢力が揃いました。当時、メディアは『DASH包囲網』などと書き立て、その危機を煽ったのですが、他局の番組がいずれも撃沈。すると、日テレ関係者がネットのインタビュー記事で『DASH包囲網なんて言われてましたけど、むしろ盤石です』などと余裕のコメントをしていましたが、今となっては逆に笑えますね」(テレビ局関係者)
気になるのが、『DASH』の不振の原因だ。一時は盤石だったはずの『DASH』は、なぜ数字を落としているのだろうか。
「ここまで急落した原因は『F3』の離脱にあります。業界でいう50歳以上の女性の視聴者層のことです。山口達也の騒動以降、彼女たちが『DASH』を見なくなってしまったのです。
ただし、裏を返せば、それ以外の層は山口騒動が起きてからも流出していないということだ。『DASH』から離れていない層は、日本テレビが注力する「コア・ターゲット層(13~49歳)」とも合致しており、実は『DASH』はそこまで深い傷を負っているわけではないともいえる。
しかし、『DASH』には別の深刻な問題もあるという。山口が抜けたことで、日本古来の「技」が見られることで人気だった番組の根幹が総崩れし、方向性が定まらなくなっているのだ。
「『DASH海岸』も、本来は横浜の工場地帯のヘドロにまみれた海岸を蘇らせるという企画でした。山口がいた頃も時々、生態系を学ぶために多摩川に行ったりしていましたが、今や本拠地でロケをすることはほとんどなく、全国の干潟を見学したりしています。さらに、『大都会に人と生き物たちが一緒に暮らせる未来の街をつくる』というコンセプトの『新宿DASH』も、最近は『東京23区でカブトムシ探せるか』という内容がオンエアされていました」(同)
ひたひたと押し寄せる『DASH』崩壊の兆し。もはや、制作スタッフも何をやっていいのかわからなくなっているのかもしれない。また、日テレはほかの名物番組にも暗い影が忍び寄っているという。それが『踊る!さんま御殿!!』だ。
「『御殿』も全盛時より2~3%は視聴率が落ちています。むしろ、それでもすごいという評価のほうが正しいのかもしれませんが、7月16日の『3時間SP』は13.5%でした。
視聴率の微減は、明石家さんまの人気下落の影響もあるのかもしれない。昨年、さんまは「日経エンタテインメント!」(日経BP社)の「一番好きな芸人」ランキングで初めて首位から陥落した。代わりにトップに立ったのはサンドウィッチマンだったが、さんまとの差はわずかに1票という結果だった(サンド104票、さんま103票)。しかし、今年もサンドにV2を奪われたばかりか、サンドが130票と大躍進したのとは対照的に、さんまは79票と大幅に下げたのである。
11年の島田紳助氏の引退を除けば、ここ20年のお笑い界はほぼ無風状態だった。しかし、世代交代の波が徐々に押し寄せているのかもしれない。
日テレの“動脈硬化”が不安要素に日テレでは、ほかの人気長寿番組も潮時を迎えているという。
「8月3日の『天才!志村どうぶつ園』は10%、『世界一受けたい授業』は10.5%でした。10日の『志村どうぶつ園』は10.2%、『授業』は10.1%と、10%付近をウロウロしています。04年4月に始まった『志村どうぶつ園』は天才チンパンジー・パンくんの活躍もあり、11年11月19日放送の2時間SPでは最高視聴率19.7%を記録しました。また、04年10月開始の『授業』も、米村でんじろうや茂木健一郎などの名物講師を輩出し、一躍人気番組に躍り出ました。10年4月24日放送回では番組史上最高となる19.3%を記録していますが、今や見る影もありません」(同)
ここ数年、日テレは“ほぼ無改編”を売りにしてきており、最低でも10年以上の長寿番組が多い。
しかし、日テレでは若いディレクターを総合演出に抜擢するなどしてリブランディングを図っているが、その人物の演出が続けば、結局は“動脈硬化”が避けられない。思えばフジテレビの転落の原因は、ヒットを連発した結果守りに入ってしまい、チャレンジしなくなったことにあると言われている。その前例を知っているだけに、日テレが同じ轍を踏むことはないだろうが、不安はつきまとうばかりだ。
(文=編集部)