30日から韓国・機張市で始まる野球U18ワールドカップ(W杯)で、日本高等学校野球連盟(高野連)が高校日本代表チームに、日の丸のロゴが入ったポロシャツを着用させずに現地入りさせる方針を示したことが物議をかもしている。日韓関係の悪化を考慮した措置だったが、ネット上では反論が噴出している。

「日本代表」という誇りをもって国際大会でプレーするのは重要なことだが、時期が時期だけに先日韓国内で発生した日本人女性暴行事件のような不測の事態を心配する声もある。

 Twitter上では、「日の丸付けて日本代表としてプレーできることは、選手やこれまで支えた親御さんたちにとっても誇り。選手達より韓国の心情優先か⁉️」「韓国になぜ配慮する必要がある?日本は悪くない。日の丸を隠して参加するなど恥だ」などと、高野連の対応を批判するツイートがあふれている。

 たとえば登山家の野口健氏(46)は28日、「『日の丸を隠さないと日本代表選手を守れない』というのならばそんな危険なところに行くべきではない。日本代表が日の丸を隠してまで日韓関係に配慮って意味わからん。

ならば韓国代表は韓国国旗をユニフォームから外す?片方だけが外すという事が果たして未来志向なのか」とツイートし、騒動は拡大する一方だ。

リスク管理というより政治問題

 実際にこの状況下で日の丸を付けて現地入りすることにどれだけリスクがあるのか。NPO法人「海外安全・危機管理の会」(東京都港区)の長谷川善郎専務理事は「難しい問題だ。純粋な安全管理というより政治問題だと思う」と指摘し次のように話す。

「仮に2国間の大会で、(紛争や暴動など)現地が明らかに危険な情勢だという情報があるのなら、リスク管理の視点から余計な刺激を与えないほうが良い。だが今回は日韓2国間で開催される大会ではなく国際大会。

日本代表に選ばれた選手たちの気持ちもあるし、日の丸を付けても良いと思う」

 一方で、選手を送り出す母校の保護者などからは不安の声も聞かれる。最速163キロの直球で注目を集める大船渡高(岩手)の佐々木朗希投手も日本代表のメンバーだが、同校の保護者は「韓国は観光客女性暴行事件があったばかり。彼は地元のヒーローだし、大事な体です。もし無用な刺激を与えて、石でも投げられなければいいと心配。何かあった場合、誰が責任を取るんだろう」と高野連の判断を批判する声に疑問を投げかけた。

 高野連にも今回の措置や批判の声が上がっていることに関して見解を聞こうとしたが、代表電話番号は朝から通話中でつながらなかった。

 日の丸を付けてもつけなくても、日韓関係は緊迫している。外野や大人たちの騒音に煩わされず、球児たちには安全に伸び伸びとプレーができる環境が求められている。

(文=編集部)