歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが9月3日更新のツイッターで、「Amazon Echo」のCMについて「苦手」と表現。同CMに対する疑問の声は以前からネット上で見られ、きゃりーのツイートにも2.6万以上の「いいね」がつくなど、多くの賛同が集まっている。

 Amazon EchoはAmazon.comのスマートスピーカーで、AIアシスタントの「Alexa(アレクサ)」を搭載している。きゃりーが言及したCM「肉じゃがが母さんの味にならないよ」篇では、自宅で肉じゃがづくりに苦戦する男性がテレビ電話で母親に助言を求め、指示通りに仕上げたところ、カレーが完成する。そして、母親から「で、今度はどんな子なの?」と探りを入れられた男性は「アレクサ、通話を切って」と指示。呼び鈴が鳴り、男性は「アレクサ、デートのプレイリストかけて」と言いながら、恋人と思われる来客を出迎えるという内容だ。

 同CMについて、きゃりーは、「アレクサのCMの息子みたいな男苦手だな~」とツイート。ネット上でも「母親の味を彼女に押し付けてそうで怖い」「単純にお母さんに頼るだけ頼ってガチャ切りってひどい」「『今度はどんな子?』って息子の元カノを全員知ってるのもなんか……」「フィクションなのはわかってるけど、あの男、絶対結婚したくないタイプ」「最初から最後までマザコン感ハンパない」「あのCM嫌い、みんな不快に思ってたんだね」といった声が相次いでいる。ちなみにきゃりーは、ファンからのリプライに返信するかたちで「マザコ、、、」ともつぶやいていた。

 そもそも、「家デートのために男が肉じゃがをつくり、そのつくり方を母親に聞くっていうシチュエーションが何ひとつ共感できなくて、むしろアレクサいらないって思った」「なんかストーリーが気持ち悪いし見ててイラッとする」と設定自体に疑問を抱く声も多く、なかには「母親の味を彼女に食べさせようとするのも無理だし、勝手にカレーに変更する母も無理、デートのプレイリストつくってるのも無理で、すべて無理」という声も。

 これまでにもCM内の描写や人物像が批判された例は多く、2016年には資生堂「インテグレート」のCMが批判を浴びた。女小松菜奈が演じる女性社員がパンをくわえてパソコンに向かっていると、男性上司が「今日もがんばってるね」「それが顔に出ているうちはプロじゃない」と声をかける内容で、視聴者からは「女性は疲れてても顔に出すなってことですか?」「女性を脅すセクハラかつパワハラな発言で不快」などの声が相次いだ。

 17年には、ロハス製薬「オルフェス」のCMが批判の対象に。同CMにはチャンス篇とピンチ篇があり、チャンス篇には“イケメン男性”が登場。

男性が足元に転がってきたリンゴを拾い上げると、そばに寄ってきた女性が笑顔を見せる。一方、ピンチ篇はストーリーこそ同じだが、男性がイケメンから低身長・ぽっちゃりタイプに代わっている。そして、リンゴを手にした笑顔の男性に対して女性が顔をひきつらせるという内容で、視聴者からは「男性に対する容姿差別だ」との指摘が上がった。

 物議を醸したという意味では、今年1月に日清食品のCMが炎上した件も記憶に新しい。人気漫画『テニスの王子様』とコラボレーションしたPRアニメで、プロテニス選手・大坂なおみの肌の色が実際とは異なり、「違和感がある」「“ホワイトウォッシュ”(非白人を白人のように描くこと)では」との批判を招いた。騒動になった後、大坂選手は記者会見で「企業側と話をした。今回の騒動について謝罪があった」「明らかに私の肌は褐色だ。かなりはっきりしている」とコメントした。

 受け取り方は人それぞれだが、結果的に商品やサービスの訴求につながらないCMは逆効果といえそうだ。

(文=編集部)

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