中古車市場では、流通量1000台以上の人気モデルもあれば、流通量が少なく希少度が高いモデルも存在する。そして、マーケットの端っこに位置するクルマのなかには、安くて人とかぶらない意外な掘り出し物があるという。

 中古車情報メディア「カーセンサー」(企画制作:リクルートマーケティングパートナーズ)では、そのようなクルマを「端っこモデル」と呼び、28モデルを厳選している。端っこモデルにはどんなクルマがラインナップされ、その魅力は何か。カーセンサー編集長の西村泰宏氏に聞いた。

安くて人とかぶらない28モデルを厳選

――端っこモデルとは、どういうクルマでしょうか。

西村泰宏氏(以下、西村) 中古車市場について改めて説明すると、新車で売れたモデルは中古車でも人気モデルになることが多いです。一方で、新車で売れなかったモデルは流通量も少なく、いわばマーケットの端っこに位置することになります。なかには、一世を風靡したけれど、諸事情により今は端っこに位置することを余儀なくされていたり、今の時代だからこそ再評価されたりするモデルもあります。このようなモデルは価格がこなれていることが多く、定番車とは違って人とかぶらない点も魅力です。

 そんな端っこモデルのなかでも状態が良く、定番車にはない魅力を備えたお買い得なクルマをカーセンサーで厳選しました。以下の28モデルです。

ホンダ「エレメント」(初代/中古車価格帯50万~180万円台)

日産「スカイライン クロスオーバー」(初代/同60万~280万円台)

マツダ「CX-7」(初代/同50万~130万円)

フォルクスワーゲン「トゥアレグ」(初代/同50万~230万円)

いすゞ「ビッグホーン」(2代目/同40万~280万円)

ダイハツ「ビーゴ」(初代/同50万~170万円)

三菱「パジェロ ショートモデル」(現行型/同70万~330万円)

スズキ「ジムニーシエラ」(2代目/同90万~200万円)

プジョー「508 SW」(初代/同70万~420万円)

日産「ステージア」(2代目/同 30万~130万円)

トヨタ「クラウンエステート」(初代/同30万~170万円)

フォルクスワーゲン「パサートヴァリアント」(3代目/同60万~300万円)

スズキ「スプラッシュ」(初代/同20万~60万円)

ダイハツ「オプティ」(2代目/同20万~40万円)

フォルクスワーゲン「ルポ」(初代/同20万~90万円)

三菱「コルトラリアートバージョンR」(初代/同20万~140万円)

トヨタ「ブレイド」(初代/同30万~120万円)

三菱「ギャランフォルティス スポーツバック」(初代/同30万~160万円)

プジョー「1007」(初代/同30万~90万円)

クライスラー「PTクルーザー」(初代/同30万~110万円)

トヨタ「プログレ」(初代/同30万~90万円)

トヨタ「アベンシス」(初代/同30万~60万円)

ジャガー「Xタイプ」(初代/同30万~180万円)

ホンダ「レジェンド」(3代目/同30万~230万円)

マツダ「ボンゴフレンディ」(初代/同20万~250万円)

メルセデス・ベンツ「Rクラス」(初代/同70万~400万円)

トヨタ「イプサム」(2代目/同30万~100万円)

ホンダ「ステップワゴン」(2代目/同20万~150万円)

――この28モデルの中からベスト5を選ぶとすれば、どれになるでしょうか。

西村 まず、エレメントがオススメです。

北米ホンダで開発・デザインされたことから、1980~90年代のアメリカ西海岸の影響を受けているアメリカンなクルマです。カラーバリエーションも豊富ですが、モデル流通量が41台と圧倒的に少ないので探すのは大変です。状態の良いモデルを購入するには、120万~150万円ぐらいは用意する必要があるでしょう。

 2台目はクラウンエステートで、当時の国産車としてはトップクラスの上質なモデルであり、クラウン最後のワゴンという希少性も持ち合わせています。価格が安く、内装の質感や搭載しているエンジンも良質です。

 3台目のPTクルーザーは昔ながらのレトロな外観が魅力です。2010年に生産が終了し、後続モデルが出ていないため、かなり希少です。

 4台目は、Xタイプです。壊れにくく、100万円以下でもジャガーを購入できる点が魅力です。クルマ好きの人からは「フォードとジャガーが合併したときのモンデオがベースになっているから、ジャガーではなくフォードだよ」と言われることもありますが、内装など特にジャガーらしさがあります。

 最後はステップワゴンですね。新しい世代の車種はもちろん大人気ですが、あえてこの世代のものを選ぶと独特の雰囲気があります。

ミニバンの使い勝手を保ちつつ、乗っていると通のような感じを出せます。

 この5台は、私自身も本気で購入を検討したことがあるクルマです。ただ、いずれも流通量が少ないため、もう少し探しやすい“先取りモデル”も選出しました。これらは、数年後には端っこモデル入りするであろう予備軍のクルマです。

――その先取りモデルは、どのようなクルマでしょうか。

西村 以下の10車種です。いずれも価格が安く、流通量も比較的多い半面、人とかぶりにくい点が魅力です。

ホンダ「クロスロード」(2代目/同30万~180万円)

日産「ムラーノ」(初代/同50万~250万円)

日産「ラシーン」(初代/同30万~150万円)

日産「ウイングロード」(3代目/同20万~130万円)

マツダ「ベリーサ」(初代/同20万~160万円)

ダイハツ「ミラジーノ」(2代目/同20万~80万円)

トヨタ「IQ」(初代/同30万~350万円)

トヨタ「セルシオ」(3代目/同30万~300万円)

日産「シーマ」(4代目/同30万~230万円)

トヨタ「マークXジオ」(初代/同30万~160万円)

端っこモデルに乗るのはどんな人?

――どういう人が端っこモデルを好むのでしょうか。

西村 自分の選択にこだわりを持ち、また喜びを見いだせる人でしょう。逆説的な話ですが、人とかぶらないクルマを選んだにもかかわらず、もし街中で自分と同じクルマとすれ違うとテンションが上がってしまうのも、端っこモデルに乗っている人ならではの感覚ではないでしょうか。つまり、自分と同じような価値観の人にシンパシーを抱くわけです。

 世の中には「勝ち組」という言葉があり、たとえば成功の証として高級車を購入するという価値観もあるでしょう。

一方で、自分なりの幸せを大切にする「幸組」という価値観もあり、端っこモデルを選択する人は、そうした価値観で生きているのではないでしょうか。正解がひとつではない時代に生きている今の若者のほうが、このような価値観にマッチしているのかもしれません。

(構成=長井雄一朗/ライター)

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