10月1日から、ついに消費税が10%になる。今回は「軽減税率」が導入されるため、日常生活に必要な飲食料品は8%のまま据え置かれる。

 そこで問題になるのが、飲食店の「お持ち帰り」だ。店内で飲食すれば消費税は10%だが、持ち帰りは軽減税率が適用されて8%のままになる。この対応をめぐって、価格の改定を行うチェーン店もある。そこで、各チェーン店の軽減税率の導入を調査。1円でもランチ代を浮かすために、増税で実質値下げになるメニューを探してみた。

牛丼チェーン

 すき家の牛丼並盛は税込み350円。10月1日以降も価格は据え置かれ、店内と持ち帰りも同じ税込み価格で統一となる。税率が変わるのに税込み価格が同じになるのは、以下のように店内と持ち帰りで本体価格に差をつけているからだ。

【現行】

店内:本体価格325円+消費税8%=税込み350円

持ち帰り:本体価格325円+消費税8%=税込み350円

【増税後】

店内:本体価格319円+消費税10%=税込み350円

持ち帰り:本体価格325円+消費税8%=税込350円

 店内で食べる場合に限ると、増税後は牛丼並盛の本体価格が325円から319円に値下がりすることになる。税込み価格は350円のままだが、増税分をすき家が吸収することで、消費者に優しい「実質値下げ」を敢行してくれるのだ。

 松屋の対応も同じだ。380円のプレミアム牛めし(主に1都3県で販売)、320円の牛めしの税込み価格を変えないことを発表している。

そのため、店内で食べればこちらも実質値下げとなる。

 ほかのメニューは、すき家と松屋ともに価格変更を検討中ということで、詳しくは10月1日に発表予定となっている。メニューによっては、店内と持ち帰りの価格統一が難しく、値上げになるものも出てくるかもしれない。

 牛丼大手3社のうち吉野家だけは税別価格を表示し、店内と持ち帰りで税込み価格を分ける決断をした。現行380円(本体価格352円)の「牛丼並盛」は以下のようになる。

【増税後】

店内:本体価格352円+消費税10%=税込み387円

持ち帰り:本体価格352円+消費税8%=税込み380円

 本体価格352円は変わらないが、店内で食べれば消費税10%が適用され、税込み価格387円と7円値上がりになる。仕方ない部分はあるが、吉野家では1円単位の会計が煩わしくなりそうだ。

 そのため、吉野家では9月10日からPayPay、LINE Pay、メルペイ、アリペイといったQRコード決済が使えるようになった。これまでQR決済にあまり積極的でなかった吉野家だが、増税後を見据えて方針転換したのだろう。

ファストフード

 ファストフード店も対応が分かれた。マクドナルドは増税後も7割の商品は価格を変えないと発表している。すでに価格据え置きが決まっているのは、ビッグマック(390円)、えびフィレオ(390円)、バリューセット各種(バーガー単品価格+300円)、プレミアムローストコーヒー(Sサイズ100円、Mサイズ150円)、ドリンク各種など。

店内と持ち帰りも同じ税込み価格のままだ。

 一方、すでに値上げが決まっている商品もある。100円で買えるハンバーガーとチキンクリスプは10円値上がりして110円になる。マックフライポテトMサイズも10円値上がりで280円に。そして、今年4月に値上がりしたばかりのてりやきマックバーガーも、さらに10円値上がりして340円になる。いずれも本体価格が増税前より上がるため、いわゆる「便乗値上げ」といってもいいだろう。

 ケンタッキーフライドチキンも、マクドナルドと同じように店内と持ち帰りで税込み価格を統一する。主力商品のオリジナルチキン(1ピース)の価格も現行の250円のまま据え置くことを、他社に先駆けて7月の段階で発表している。ケンタッキーは持ち帰り客が全体の約70%といわれ、増税の影響は少ないと見られるため、早期に発表できたのかもしれない。しかし、ほかの商品の価格については、まだ検討中とのこと。

 モスバーガーは、10月以降はメニューを税別価格で表示し、消費税は持ち帰り8%、店内10%となる。ファストフード店ではありがちだが、持ち帰ろうと思ったが気が変わり、店内で飲食するというケースも出てくるだろう。

この場合、差額の2%を払う必要はないが、ほかの客からのクレームなどが予想され、トラブルが起きないか多少の不安は残る。

コーヒーチェーン

 お昼はカフェで一休みしているという人も、10月以降は注意が必要だ。ベローチェはドリンク、サンドイッチ、デザートの一律10円値上げを発表している。コーヒー1杯200円と他社よりもお手頃な価格で提供していたが、この機会に全体の価格体系を見直すようだ。また、店内と持ち帰りで税込み価格は統一するという。

 ベローチェは値上げによる客離れを防ぐため、9月30日までの期間限定でドリンク10杯分の回数券を1500円で販売している。回数券は10月1日から来年1月31日までの4カ月間使え、対象ドリンクのコーヒーと紅茶が1杯あたり150円になるので、かなりおトクなキャンペーンといっていいだろう。ベローチェを頻繁に利用する人は、この機会に回数券を買っておくことをオススメしたい。

 大手2社のドトール、スターバックスは本体価格は据え置き、10月からは店内と持ち帰りで税込み価格を分ける。たとえば、ドトールの現行220円のブレンドコーヒーSサイズは本体価格の204円がメニューに表示され、店内では224円、持ち帰りでは220円に。こちらも1円単位の会計が増えるので、キャッシュレス決済がスムーズかもしれない。

 増税への対応はチェーン店によってさまざまだ。

現時点では、すき家、松屋、マクドナルド、ケンタッキーの店内飲食は、注文するメニューにもよるが、実質的に値下げになることがわかった。出費がかさむ年末年始に向けてランチ代をコツコツ節約するためには、10月1日以降に明らかになる各社のメニュー価格一覧にも注目してもらいたい。

(文=清談社)

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