消費税が10%に引き上げられました。2%の引き上げではありますが、金額の大きいものでは増税額も大きくなります。
まず、金券や商品券の購入には消費税はかかりません。これは、金券や商品券を使うときに消費税がかかるからです。商品券は「1,000円券」「5,000円券」などとなっており、商品を購入する際に消費税も含めた金額を商品券で支払うようになっています。商品券はあくまで“現金の代わり”だからです。図書カードやQUOカードなども同様です。ビットコインなどの仮想通貨も“現金の代わり”という扱いで、消費税はかかりません。
では、ビール券はどうでしょうか? こちらは「缶350ml 2本」のように、交換される商品が記載されています。実は、ビール券も494円などと交換できる金額が決まっています。消費税増税などで値上げがあれば、差額を支払うようになります。増税前に“買い溜め”しても意味はありません。
政策的に、あえて消費税を非課税にしているものもあります。その代表は医療費です。軽減税率の対象が食品と新聞だけと聞いて、「医療費は軽減税率の対象にならないのか」と思ったものですが、そもそも消費税がかかっていないのです。ただし、健康保険の対象となっていない自由診療の医療費や差額ベッド代などには消費税がかかります。
教育費では、入学金、授業料などは課税されません。しかし、給食費には消費税がかかります。軽減税率の8%とはなっていますが。
住宅の家賃も非課税です。一方、事務所や店舗の場合は消費税がかかります。
金額の大きい不動産や金融商品では消費税は、その名のとおり、消費される物やサービスを購入する際にかかります。よって、“消費がされないもの”についてはかかりません。代表的なものが土地です。
中古住宅や中古マンションで、売却する人が個人の場合は消費税がかかりません。消費税が10%となり、特に不動産のように金額が大きいものでは消費税の金額も大きくなります。今後は中古不動産の人気が増すかもしれません。株式、債券、投資信託などの有価証券にも消費税はかかりません。取引報告書に消費税の記載がありますが、これは金融機関が受け取る売買の手数料にかかるものです。
一方、貴金属の購入には消費税がかかります。こちらも資産運用の手段として利用する人が少なくありませんが、売却の際に売却価格に消費税を上乗せした金額を受け取れます。消費税の値上がり分を得ようと、8%である9月のうちに金やプラチナを購入した人もいましたが、価格の変動が大きいので、利益を得られるかは価格次第です。
生命保険や損害保険の保険料、共済の掛け金も消費税はかかりません。国民健康保険料や国民年金保険料、介護保険料などの社会保険料も同様です。住宅ローンを組んだ際に必要となる保証料にもかかりません。保険料などは、保険金の支払いに充当されている、という考え方から、サービスへの対価とみなされていないようです。
キャンセル料や違約金なども消費税はかかりません。ただし、キャンセルすることによる「事務手数料」となってくると、消費税がかかります。サービスへの対価となると、消費税の対象になります。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)