2005年に日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞し、『NHK紅白歌合戦』に7年連続出場した経験を持つ、男女6人組グループ「AAA」(トリプルエー)に激震が走った。

 リーダーの浦田直也氏が泥酔状態で早朝のコンビニエンスストアで女性に声をかけ、断られたことに腹を立てて暴行を加えたとして、逮捕されたのだ。

その後の謝罪会見では「泥酔していて記憶がない」を繰り返し、どこか他人事のような態度に「本当に反省しているのか」と非難が集まっている。

 当記事では、スーツ着こなし指南本『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。』(CCCメディアハウス)の著者という立場から、浦田氏の会見において、すでに多く指摘されている「受け答えの内容や態度」以外の問題点を読み解いていきたい。

●浦田氏がやたらキョロキョロしていた理由

 まず、浦田氏の謝罪会見でまずかったのは、立った状態での囲み取材にした点だ。最初にお辞儀をする際は立ったままで、その後は座る、謝罪会見によくあるスタイルにすべきだっただろう。これは浦田氏に限らず、すべての謝罪会見に共通する。

 なぜかというと、囲み取材では追及する記者たちと謝罪する側の距離が近くなりすぎるからだ。不祥事を起こしたから謝罪する必要があるわけで、ただでさえプレッシャーのかかるなか、記者との距離が近すぎれば緊張はさらに増してしまう。緊張から不要かつ不適切な言動を取ってしまえば謝罪会見の意味がなくなるどころか、逆効果にもなる。

 浦田氏も、記者からの質問に答えるとき、質問した記者を見た後で目線をほかの記者に移すシーンが何度もあった。「近い距離感でずっとその人を見つめ続ける」ことはなかなか難しく、ほかに視線を移したくなるのだが、それは「キョロキョロしている」ようにも映る。ただでさえ、浦田氏の会見はその内容や態度に対して「深刻さが足りない」という非難が多いが、その上キョロキョロしていたら、さらにそう思われてしまうだろう。


 また、浦田氏は後半から額が汗だくになっていたが、近すぎる距離感で緊張したこと、スーツを着ていたこと、また記者が目の前にいるので実際に暑かったというのもあるだろう。緊張しているときに汗が出たのを感じると、「汗をかくほど緊張しているのか」と、ますます体は緊張する。これも「距離」を取ることで、もう少し状況は良くなったように思える。

●黒髪と眼鏡が“謝罪会見のコスプレ”感を助長

 次に、浦田氏の服装に着目したい。やはり、まずかったのは「普段は髪の色を明るくしているのに、あえて黒髪にしたこと」と「フレームの大きい眼鏡をかけていたこと」だ。記者からの「なぜ髪を黒くしたのか」という質問に対し、「黒いほうがいいかと」と答えており、「とりあえず謝罪っぽい雰囲気をつくろうとした」ことが露呈してしまっていた。浦田氏の会見は謝罪会見でなく“謝罪会見のコスプレ”のように見えたが、その大きな要因がこれだ。

 さらに、眼鏡もまずかった。ネットで浦田氏の画像を検索すると、眼鏡姿もたまにあるが、出てくるのは眼鏡をかけていない画像がほとんどだ。オフィシャルホームページのトップ画像でも、眼鏡をかけていない。普段「眼鏡の人」という印象を持たれていない人が謝罪会見のときだけ眼鏡をかけるのは不自然で違和感が残り、そこから「眼鏡をかけておけば真面目っぽく見えると思ったんだろうな」という“意図”まで読み取られてしまう。これは謝罪会見として非常にまずい。
話す前に印象を下げてしまっているのだ。

 謝罪会見においてスーツを着ることは常識であり、記者は「浦田さんは普段カジュアルな服装なのに、なんで今日はスーツなんですか?」とは聞かない。一方で、黒髪&眼鏡はやりすぎだ。この違いがわからず「黒髪と眼鏡にしておけば、いいように取ってくれるだろう」というのはかなり甘い見通しであり、所属事務所のエイベックスも止めなかったのかと不思議だ。

 眼鏡をかけたこと自体が悪手だと思うが、さらに浦田氏の眼鏡はフレームが大きくファッション性の高い、今時のオシャレ眼鏡なのがさらによくなかった。「チャラい」は謝罪会見をする側としては一番持たれてはまずい印象だ。「浮ついてる」「反省してるのか」につながり、現に浦田氏の会見ではそういった批判が多くある。

 また、フレームの大きい眼鏡は重いためずれやすい。浦田氏はうなずいたりするたびに眼鏡をずり上げていたが、先ほどの「汗」と同じように、普段はしない動作が加わると、人はより緊張していく。また、何度も眼鏡を直すしぐさは見ている側に「落ち着きがない」印象を与える。あえて加えた眼鏡という要素で、かえって全体の印象を落としているのだ。

●ワイシャツの襟先はスーツに隠れるのが正解

 最後に、浦田氏のスーツについて触れたい。
ダークトーンのスーツとネクタイであることは問題ないが、スーツの下のワイシャツの襟先の尖りが見えてしまっていた。この先端は「スーツの下に隠れるようにする」のが正解だ。レギュラーカラー(ワイドカラー、セミワイドカラーよりも襟の角度が狭い)のワイシャツを着た際は、浦田氏のように襟先が見えてしまうことが多い。レギュラーカラーのワイシャツを購入する際は、自分が着ているジャケットを持参し、襟先が出ないか、ぜひ確認してほしい。

 また、浦田氏のワイシャツは首回りが少々ゆるいように見えた。ワイシャツは首回り+1.5センチ、もしくは2センチで選びたい。
(文=石徹白未亜/ライター)

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