コカインを使用したとして、麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧。厚生労働省・麻薬取締部による事情聴取では、20代の頃からコカインや大麻を使用していたと話したという。

確かに、業界内でも薬物使用の噂は以前からあり、つまりピエール瀧はそういう意味において“危険人物”だったということになる。起用することのリスクを承知していた関係者も少なくなかったはずなのに、個性派俳優として数多くの作品に出演していたピエール瀧。一体どうして、そんな彼へのオファーが絶えなかったのだろうか?

「圧倒的な存在感で、俳優としての魅力があったということはもちろんですが、業界内に電気グルーヴのファンが多かったことも、俳優・ピエール瀧が多くの作品に出演していた理由でしょう」(音楽関係者)

 1991年のメジャーデビュー以降、テクノミュージックの最先鋒をひた走る電気グルーヴ。サブカルチャーの担い手として、多くの若者たちに影響を与えてきた。

「電気(グルーヴ)に影響を受けてクリエーターを目指し、実際に業界に入ったという人は少なくない。そして、『電気グルーヴのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を聴いて育ったようなサブカル少年・少女たちが、今30代後半から40代くらいになって、業界内でも決定権を持つ立場になっているんですよ。そういう人たちは『いつか電気グルーヴと仕事がしたい』と思っていたりもしたわけで、だからこそ、ピエール瀧へのオファーが絶えなかったという部分もあると思いますね」(メディア関係者)

 つまり、電気グルーヴファンの業界人にとっては、危険人物である瀧を起用するリスクより、ある意味“憧れ”のほうが勝っており、だからこそ瀧が活躍していた……という側面もないではないようだ。

●銀杏・峯田和伸やBJC中村達也も業界内ファン多し

 このように、制作サイドの業界関係者に影響を与えていたミュージシャンが、後に異なる形で売れっ子になるケースはいくつかある。

「最近は俳優としての活動が目立っている峯田和伸なども、世代こそ違いますがピエール瀧に近いものがあります。中高生の頃にGOING STEADYや銀杏BOYZに熱狂していた世代が、業界内である程度出世して、俳優として峯田を起用していることもあるようです。同様に、若い頃にブランキー・ジェット・シティを聴いていた世代が今、俳優としての中村達也にオファーするというケースも少なくないみたいですね」(前出・音楽関係者)

 同じように、“業界内ファン”が芸人のブレークを後押しすることもあるようだ。

「たとえばラーメンズの片桐仁なども、業界内のラーメンズファンが積極的に起用したことが売れっ子になったきっかけだともいわれています。
あとは、千原兄弟も業界内にファンが多かったですね。特に大阪時代の千原兄弟が好きだったという世代の人々が、バイク事故後に復帰した千原ジュニアを俳優も含めていろいろな場所で起用し、その後のブレークにつながったと見ることもできると思います」(前出・メディア関係者)

 個性派ミュージシャンや芸人が俳優として活躍する裏側には、業界人たちの“若かりし頃の思い出”があるということだ。今、カルトヒーロー的な扱いとなっているミュージシャンや芸人が、数年後に俳優としてブレークするという可能性もありそうだ。
(文=編集部)

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