欧州産の洗練された家具や、便利な日用品などを低価格で販売している世界有数の家具メーカー「IKEA」。日本だと関東に4店舗、関西に2店舗あるほかは東北・中部・九州に1店舗ずつしかない割には、国民にかなり認知されているのではないだろうか。



 日本法人であるイケア・ジャパンは、2018年8月期の決算によると、売上高840億9100万円(前年同期比13.5%増)という成績。ただ、営業損失9億6200万円、経常損失8億2400万円と、マイナスが目立つのもまた事実だ。前期は営業損失14億4600万円、経常損失12億7900万円だったので持ち直しつつあるが、意外と苦戦を強いられているのかもしれない。

 そもそもIKEAとはヨーロッパのスウェーデンが発祥であり、「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンを掲げ、大勢のファンを獲得してきた。

 しかし、IKEAの数ある商品のなかにはイマイチ使い勝手が悪かったり、簡単に壊れてしまったりと、低価格ゆえの問題もしばしば指摘されている。そこで今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」ではジャンルを日用品に絞り、“買ってはいけない”アイテムを5つセレクト。もちろん、業績不振の原因がそこにあると主張するつもりはないし、あくまで独断で選定したものだということだけは頭に入れておいていただきたい。

【この春、買ってはいけないIKEAの日用品5選】

●KNALLA(傘)/599円~(税込、以下同)

 まず紹介したいのが、IKEAで売られている「KNALLA(クナラ)」シリーズの「傘」だ。通常タイプが599円、折り畳み式が999円と、コンビニ傘とさほど変わらない値段で購入できるのだが、あまりおすすめはできない。

 というのも、実際に手に持ってみればわかるのだが、非常に安っぽい印象を受ける。黒1色のもの、白と黒の網目模様になったものと2種類のデザインがあり、コンビニ傘よりデザイン性が高いとはいえ、すぐに壊れてしまうのではないかと心配になる人が少なくなさそうだ。「買うべき・買ってはいけない調査班」の周りでも、「2本購入したのに、すぐに同じ箇所が壊れてしまった」という感想を耳にした。


 雨の日はIKEA店頭で傘が半額セールになるという話もあるので、急な雨の際に間に合わせで買う分にはいいかもしれないが、少しでも長持ちする傘が欲しい人は、購入を控えたほうが無難だろう。

●クッションカバー/499円~

 IKEA店頭には素材や柄の異なる「クッションカバー」が数多く並んでおり、どれを買おうか悩む時間も楽しい。しかし、値段を最終的な決め手にするのは賢明ではないように思われる。

 もっとも安いクッションカバーだと499円とワンコインを切るが、生地がかなり薄く、耐久性に欠けるようだ。ほこりが付着しやすいという声もあり、無地のデザインを選んでいた場合は悪目立ちしてしまうだろう。

 もちろん、同じIKEAの商品でも、もう少し奮発すれば高品質なクッションカバーが手に入るし、なかには綿ではなく麻100%にこだわった商品もある。より長く、清潔に使い続けたいという人は、しっかりと吟味してほしい。

●まな板/99円

 小さめながらも1枚99円という、100円ショップさえも凌ぐ驚愕の安さで売られているIKEAの「まな板」だが、やはりこちらにも、そう簡単にはおすすめできない理由がある。

 このまな板はポリエチレンプラスチック製で、熱に強いのがアピールポイント。しかし、食材の匂い移りがしやすいとの不満も散見されるので、たまにしか自炊しない人ならともかく、頻繁に料理をする人にとっては向かない商品だろう。

 とはいうものの、コンパクトで軽い使用感、そして99円という低価格が支持されているのも確か。たとえば「このまな板は野菜を切る用」などと用途を最初に決めるならば、アリだろう。


●たこ足配線電源プラグ3個口/599円

 続いては、スマホやパソコンが生活に欠かせなくなっているこの時代、オフィスや自宅で利用している人が多いであろう「たこ足配線電源プラグ」だ。

 IKEAの商品は、599円という値段で3口付いているうえに1.5メートルという長さを持ち、いかにもな優れものに見える。ただ、プラグやコンセントのつくりが硬く、抜き差しするのには想像以上の力を求められてしまう。

 裏を返せば、それだけ外れにくくて安心という捉え方もできるものの、せっかく買ったのに、あまりの硬さに使うのをあきらめてしまった人もいるようだ。ちょっとした日常動作でストレスを感じたくなければ、購入を見送るべきといえそうである。

●KOMPLEMENT マルチユースハンガー/499円

 ラストに取り上げるのは、「KOMPLEMENT(コムプレメント)」というシリーズの「マルチユースハンガー」。縦に6つ×横に3つで合計18の輪が連なっており、一見するとオシャレな商品だが、肝心の使い勝手はイマイチらしい。

 なぜなら、ネクタイの整理に使うのが一般的なハンガーであるのにもかかわらず、ネクタイをかける輪の部分がツルツルしているからだ。ちゃんと結んでおかないと、あっという間に滑り落ちてしまう。

 また、ハンガーのフックが回らないという仕様も、人によってはデメリットかもしれない。購入する際は、「もしものときは部屋のインテリアに成り下がっても構わない」と覚悟しておいたほうがよさそうだ。

 日常生活をより豊かにしてくれる便利グッズや、アイデア商品に定評のあるIKEAだが、こうしてピックアップしてきたように、一部には難アリの商品も混ざっている。
もっとも、用途を変えたり使い道を工夫したりすれば解決できる問題もあるはずなので、今回の記事も参考にしながら、IKEAでの買い物を満喫してほしい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

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