5月19日、ジャニーズ事務所が、Hey!Say!JUMPの2019年のアリーナ会場でのコンサートを見送ることを発表した。理由は「ツアー移動時に一般のお客様に対して多大なご迷惑をお掛けする状況が改善にいたらなかった」としており、ファンの間で衝撃が走っている。
ジャニーズ事務所はこれまでも再三にわたり、公式ホームページにおいて「大切なお願い」として、ファンの迷惑行為に対して注意・警告を行ってきた。迷惑行為とは具体的には……
・タレントが利用することを予想し、駅でタレントを待ち受ける
・タレントと同じ新幹線に乗車し、タレントを見るために車両のデッキや通路に留まる
(2018年10月17日)
・タレントの写真、動画を撮影し続ける行為
・タレントに故意にぶつかったり、抱きついたりする行為
・スタッフに向けてエアガンを発砲する行為
(2017年9月13日)
などである。
事務所だけではない。タレント自身も声を上げている。
2018年10月、Hey!Say!JUMPメンバーの八乙女光はジャニーズ公式携帯サイト「Johnny's web」内のブログでファンのマナーの悪さについて言及し、「僕はHey! Say! JUMPのライブの開催自体を考え直した方がいいように思います」と注意を促した。八乙女は2017年8月にも同ブログでファンのマナーについて言及。2018年11月には同メンバーの薮宏太がコンサート中に「一般の人に迷惑をかけないで」と直接ファンに訴えた。
ジャニーズファンによるこうした一連の行為に対し、ジャニーズに詳しいある雑誌ライターは次のように語る。
「実は他のグループに対しても同様の行為が多々あることはジャニーズファンの動向に詳しい者なら周知の事実。にもかかわらず今回、Hey! Say! JUMPのツアーだけが中止になったことについては、『ここ数年、Hey! Say! JUMPの人気が落ちてきていたので、“ファンへの脅し”として、ツアーを中止しても損害が少なくて済むHey! Say! JUMPを選んだのではないか……』などと冗談気味に語る他グループのファンもいます。でも実際、他グループの迷惑行為もひどいものなんですよ」
2018年9月、King & Princeのファンが仙台駅に殺到し、新幹線の発車が7分間遅れるトラブルが発生。2017年11月には、Kis-My-Ft2の玉森裕太がブログで新大阪駅を利用した時の状況を「昨日 行き帰りも たくさんの方に踏まれながら歩いてました。
●オリキをトップが統率するという文化の消滅
しかし、こうした過激なストーカー行為は、今に始まったことではないという。「ずいぶん昔から続いてきたものではあるんです」と、前出のライターは指摘する。
「今回は公共交通機関での迷惑行為が問題となっていますが、自宅までついていったという話も昔からよく聞きます。自宅の前にテントを張って泊まっていたとか、郵便物を盗んだとか。ジャニーズタレントの自宅ポストは、郵便物が盗まれないよう、Jr.メンバーに至るまで軒並みガムテープが貼ってあったといいます」(同・雑誌ライター)
しかし、かつてと今とでは、決定的に違う点があるのだという。
「昔は、“オリキ”と呼ばれる熱心なおっかけには、必ず“トップ”という統率役がいたんです。このトップはジャニーズ事務所サイドと非公式にではあれどつながっており、出待ちが可能な場所などの情報はトップからしかもらえなかった。
しかし今では、このようなオリキの“文化”はほぼ消滅してしまった。その大きな理由は、ネットの発達です。一部のヤラカシや業界関係者から漏れた情報、一般人による目撃情報などは、今はSNSによってあっという間に拡散してしまいます。そうやって情報を得られるから、以前のようなトップによる統率などもはや意味を成さない。たまにマナー違反を注意する真面目なファンもいますが、そうしたファンは“純オタ”などと呼ばれ、『純オタとはかかわりたくない』と揶揄の対象にすらなっている始末」(同・雑誌ライター)
さらに、迷惑行為の“質”も、より陰湿になってきているという。
「2018年にKing & Princeがデビューを記念して行ったハイタッチ会で、『好きなタレントにファンを近づけさせないためにナイフを持ってくる』と一部のファンが宣言し、その情報が拡散するという騒動がありました。実際にナイフを持参したかどうかは不明ですが……。
こうした異様なファンも以前からいるにはいましたが、SNSのせいで近年は悪目立ちするようになってきています。一部のYouTuberが過激化するのと同じ理屈で、行為をあおる者もなかにはいるし、そうやって注目されることが快感となってしまうと歯止めが利かないですからね。コンサートで特定のメンバーの名前を挙げて『死ね』などと書いたうちわを掲げているファンの存在などもよく聞きますし、そうした行為の広がりに身の危険を感じてしまうメンバーが増えてきていても不思議ではないと思いますね」(同・雑誌ライター)
手軽に情報を得ることが可能となってしまった現在。過激な言動はあっという間に広がり、そのことで優越感を得てしまう者もいれば、そうした歪んだファン感情を持つ“仲間”を見つけることもかつてより容易だ。
こうしたSNS時代において暴走するファンを止めるには、ツアーの中止、さらには活動停止といった“最後の手段”しか残されていないのかもしれない。
(文=編集部)