エイチームライフデザインは、引越し業界における「2024年問題」について、引越し業者に調査を行った結果を3月25日に発表した。

「物流の2024年問題」により、引越し業界においても、料金の高騰や引越し業者の手配が困難になるなどの影響が見込まれているという。
現時点で、実際に影響があると答えた業者は約4割程度で、過半数以上は「影響がない」回答。

「影響がない」背景には、「まだ対応していない」「既に適用後の基準で業務を行っていて、今はもう影響がない形で運営できている」「近距離の引っ越しが中心だったり、長時間労働をしていなかったりなど、そもそも今回の働き方改革法案の適用による影響を受けない」などの理由があげられた。

一方で、現在起きている主な影響としては、「1日あたりの対応件数の減少」が最も多い結果となった。人員減少や、対応エリアの減少、経費の高騰、長距離引っ越しが難しくなったなどがあげられた。

2024年4月以降は、約8割の業者が「2024年問題」による影響を危惧しているという結果に。今回の労働時間の上限規制では、年間の労働時間の規制しか明記されておらず、この「年間」の基準も業者によって異なるため、上限に達するタイミングは業者によって異なるという。
よって、約2割の業者は「影響がないのではないか」と推測していると説明した。

予測される具体的な影響、最多回答は「1日あたりの対応件数の減少」、次いで「人員の減少」と続いた。そのほか、「経費の増加」という回答も。

「2024年問題」に関して、2024年4月以降に「影響がある」と約8割が回答し、そのうちの約7割が対策を行っているとした。

一方、約3割の業者では、「2024年問題」による影響を危惧していながら対策をとっていないという。理由として「対策のしようがない」「どう対策したらいいかわからない」などのほか、「労働時間の規制を守らないとどうなるのかよくわかっていない」という意見があがった。


具体的な対策で最も多かったのは「社内の効率化」。引っ越し業界では、見積もり金額からの値下げが常態化しているため料金を上げることが難しく、社内の効率化でやりくりをするというのが最もやりやすい対策だ、と同社は推察している。

一方で、料金の値上げをしている業者も多く、実際にここ数年の引っ越し料金は上がっており、2024年は過去最高の平均料金となった。

引越し料金については、「変わらない」と予測した業者が最も多く、次いで「100~110%ほど値上がりする」と続いた。2024年2月の平均料金は、単身で約7万円、家族で約12万円。110%に値上げすると仮定すると、単身で約7.6万円、家族で約13.8万円まで相場が上がると予測される。


引っ越し枠(引越し業者が対応できる引越し件数の数)についても、「変わらない」と考えている業者が最も多く、次点で「少し減少する」が続いた。ただし、「かなり減少する」「まぁまぁ減少する」といった回答を含めると44%で、程度の差はあれど「減少する」と考えている業者が多かった。

実際にこれまでの調査結果でも、「1日の対応件数を減らす」としている業者も多くあったため、引越し枠が減るのは妥当といえる。