米Microsoft(マイクロソフト)は4月9日(現地時間)、今後2年間で29億ドル(約4400億円)を投じ、日本でデータセンターを拡充すると発表した。 AI(人工知能)およびクラウド基盤の強化につなげる。
また、今後3年間で非正規雇用を含む300万人を対象にAI関連のリスキリングの機会を提供し、日本初となる研究拠点も新設する。さらに、サイバーセキュリティ分野において日本政府との連携を強化することも発表した。

マイクロソフトの日本への投資額としては過去最大となる。同社は今回の新規投資を日本のデジタルトランスメーション (DX) とAIの活用を加速させるために必要不可欠な要素と位置付ける。日本経済のデフレ脱却と活性化を支援する考えだ。

今回の投資により、マイクロソフトの基盤の処理能力を向上させ、AIの情報処理の高速化や高精度化に不可欠な最先端の画像処理半導体 (GPU) を含む、高度な計算資源を日本に提供する。


リスキリングに関する取り組みは、開発者や学生、さまざまな規模の企業や団体に属する人々を対象とし、同社が提供するリスキリングプログラムや既存の研修プログラムを通じて実施する。AIスキルを活用した職務への雇用を希望する女性への支援も強化する。

また、マイクロソフトの研究部門であるマイクロソフト・リサーチ・アジアが日本に新設する研究拠点では、日本が強みを持つロボット分野にAIを組み合わせた技術の研究を行う。今後5年間で東京大学や慶應義塾大学、カーネギーメロン大学のAI研究に対し、それぞれ1000万ドル (約15億円) 分のリソースを提供する考えだ。

加えて、サイバー攻撃などからの日本の政府や企業、国民生活の保護の強化につなげるため、サイバーセキュリティ分野において内閣官房との連携を強化する。情報共有の強化や人材育成、技術的解決策の提供に重点的に取り組む。


米国に公式訪問している岸田文雄首相は本発表を受け、「マイクロソフトのようなデジタルインフラを持つグローバル企業との連携は、日本産業全体にとって重要だ。日本への新規投資の表明に感謝する。さまざまな取組を通じて、我が国における生成AIの社会実装への協力に期待する」とコメントしている。