●2人旅で縮まった距離感「体の出汁を出し合った」
元純烈・小田井涼平の旅番組『小田井涼平のあい旅』(BSJapanext、毎週木曜20:00~)では、18日・25日の放送に、坂本昌行(20th Century)がゲスト出演。1泊2日で山梨と静岡を巡り、ローカル線や絶景温泉、湧き水、地元グルメなど、富士山周辺を満喫する。


2023年にミュージカル『ザ・ミュージック・マン』で共演してから意気投合した同い年の2人。今回のロケの合間に取材に応じ、旅の見どころや互いの印象、個人活動への向き合い方などを語ってくれた――。

○第一印象は「几帳面な方」「心優しいクマさん」

――おふたりが出会ったときのお互いの最初の印象はいかがでしたか?

小田井:自分が芸能界に入る前からテレビで見てる人で、アイドルですから、「(共演できて)めっちゃ光栄です! うれしいです!」っていうところから始まりました。僕はミュージカルの現場が初めてで、演者一人ひとりに台本じゃなくて、ファイリングされたものすごい量の楽譜が渡されるんです。地方のタウンページくらい(笑)。それを見て練習してるとすぐ穴の部分が破れちゃうんですけど、稽古場で斜め前に座ってた坂本くんが、穴を補修するための丸いシールを取り出して、「几帳面な方なんやろな」っていうのが第一印象です。
その日の稽古の帰りに、シール買いました(笑)

坂本:そんな細かいところまで見られてると思わなかった(笑)。彼は初めてのミュージカルで緊張されてるんだろうなと思ってたんですけど、全然そんなことなかったんですよ。物怖じせず、自分のキャパシティの中で自由に動いてる人という印象で、こっちが心配するというより、逆に小田井くんの動きに合わせて僕がお芝居をするみたいなシーンも多々ありましたから。稽古が終わるとみんなに話しかけて、子役の子たちからの人気もすごくて、その人柄が舞台の上でも出ている感じでした。“心優しいクマさん”という印象ですね(笑)

小田井:最初に挨拶するときの第一声が一番緊張したんですけど、「ミュージカル初めてで、勝手が分からないんでよろしくお願いします」って言ったら、坂本くんが「もうそれがいいんですよ! 初めての感じがいいんで、好きなようにやってください」って言ってくれて、それでホッとしたんです。座長がそんなこと言うてくれたら楽になるわ~と思って、そっからだいぶ助かりました。

○実は人見知りも感じさせない2人

――今回のロケで一緒に旅をして、印象の変化はありますか?

小田井:何も変わってないですね。その時のままの坂本くんが今も横にいていただいているので、不思議な感じです。そんなに何回も会ってたわけじゃないんですけど、ずーっと一緒にいたような感じになるんです。年が一緒というのもあるんですけど、こんなに気をつかわなくてええんやって感じで、ありがたいですね。ちょっとは気つかえやってことなんでしょうけど(笑)

坂本:初めましてから会う回数を重ねるたびにこういうスタンスになっていったんですけど、特に今回はより気をつかわないですね。カメラが回ってなくても話していたし、今日のロケも朝の集合時間が早かったんですけど、スタートしてから1時間ぐらいずっと会話してました(笑)

小田井:「坂本くん、このペースでいくともたないから、ゆっくりしてください」って言いましたよ(笑)

坂本:しゃべりたい時にお互いしゃべるみたいな感じが、ありがたいですね。


――距離はより縮まった感じですか?

小田井:言うても同じ湯船でお風呂入りましたからね。お互いの体の出汁を出し合ったというのは、盃交わしたのと一緒ですから(笑)。こんなに長時間ずっと2人でしゃべりながら過ごすっていうのは初めてなんですけど、「どうしよう? 何しゃべろう?」っていうのがないから、そこがすごくありがたいです。

坂本:小田井くんの人柄に尽きると思います。小田井くんに会った人は、皆さん嫌な印象を持たれないと思うんですよね。まず優しいが第一印象にきたんですけど、僕が会った人の中でそういないなと思っていて。
僕はどちらかと言うと人見知りのほうなんで。

小田井:そんなふうに全然見えてなかったです。

坂本:「人見知り」というワードが僕から浮かばなかったのは、たぶん小田井くんのおかげなんですよ。間口を広げてくれたから。

小田井:俺もめっちゃ人見知りなんですよ。本当は。


坂本:違うよ(笑)。教えてあげる。違うよ。

小田井:ボケてるわけじゃなくて(笑)

――坂本さんは、小田井さんの番組らしさというのを感じましたか?

坂本:そうですね。小田井くんとスタッフさんが、仕事仲間というより純粋な仲間みたいな感じでやられてるので、そこにポンと入れさせてもらえて、すごく温かいです。

「富士山って本当は5個くらいある?」

――ロケを振り返って、特に印象的なものは何でしょうか?

小田井:今回はとにかく富士山です。
道中いろんな場所に行ってるんですけど、常にそこに富士山があるんです。大体同じ大きさ、輪郭もはっきり確認できるぐらいで、「富士山って本当は5個くらいある?」って思うくらい、どこに行っても目の前にある。天気にも恵まれたので、ものすごくきれいな状態の富士山が見られているというのが、印象的ですね。

坂本:改めて富士山を目の前にしたときに、ものすごい場所に生まれたんだなと感じました。僕は水を見るのが好きだったんですけど、富士山の湧水を体に入れた時に「こんなにも優しくて力強い水には、なかなか出会えないな」という気持ちになりました。おいしいお水って言葉にすると簡単に伝わるようで、実際に飲まないと分からないというのを、今回の旅で感じました。

――今回のロケで、お互いのここを見てほしいという部分はありますか?

坂本:皆さんご存じの通り、冗舌でおしゃべりが大好きな人なんですけど、一瞬「俺に話しかけかけてるのかな?」と思いきや、全然関係ない一般の方と話してるシーンが多々あるんですよ(笑)。それぐらい、いる人みんなを共演者にしてしまう力を小田井くんは持っていて。その柔軟さ、ニュートラルさというのも魅力だと思うので、見ていただきたいですね。

小田井:坂本くんは、自分のスタンスをものすごくもってはる人だと思うんですけど、めちゃくちゃ合わせていただけるんですよ。僕がおばさんに話しかけたりすると、ちゃんと乗っかってきておばさんと会話してくれるんです。柔軟さという意味は俺以上なので、たぶん骨ないんじゃないですかね(笑)。やわやわなんですよ。そのあたりを見ていただけると、坂本くんがこれまでリーダーとしてやってきた部分というのも見られると思います。

○脳みそと体のアンバランスをどう解決するか

――今回の旅やこれまでの中で、お互いのいたグループについてもお話はされましたか?

小田井:今回カメラ回ってるときも話しましたけど、お互いのグループ内で仲が悪いという印象がないんですよね。よくよく聞くと、メンバー同士に変な意味じゃなくて、ちゃんと距離があるんですよ。だからグループの長続きのコツは、あんまり活動中にベッタリしないということなんだと思いました。うちなんて、プライベートで飲みに行ったこと1回もないんで。そんな話を聞いてると楽しいですね。

――そこから個人活動を行う際の心境は、いかがでしたか?

小田井:もちろん「仕事ほんまにあんのかな」っていう不安はありましたけど、自分で決めたことやし、もし何もなかったらなかったで一から頑張ろうって腹くくってたんで。この番組は卒業してすぐ決まったので、心の支えになりましたね。

坂本:小田井くんが「ソロになってひな壇に座って芸人さんと戦うっていうのは、自分のフィールドとしては難しいな」ってボソッと言ってるのを聞いたんだけど、「芸人さんと勝負しようと思ってたんだ! すげえなこの人」と思ったよ(笑)

小田井:純烈の時も、クイズ番組とかロケのVTR見てスタジオでトークするみたいな番組にゲストで何回か呼ばれたことあるんですけど、MCの方が振った時に、芸人さんはすぐ面白いことを言って返す能力がすごいなと思うことがめちゃくちゃあって。「俺はあそこで勝負できへんわ」と思って、自分に向いてて、らしさが生かせて、楽しくやれる仕事って何やろって、グループ辞める前はすごく考えてました。その結果、純烈であちこち地方を回る仕事をしてて、マダムのみなさんとお話ししたりするのが楽しかったんで、それを仕事にしようって思ったら、「ロケか!」ってなったんですよ。

坂本:なるほど。ロケ芸人(笑)

小田井:だから芸人じゃないって(笑)

坂本:僕はグループを組む前からミュージカルに携わっていたので、自分の求める場所をしっかり見つめようと思いましたね。その分、責任はより大きくなるなと感じていました。

小田井:同い年だけど歩んでる道が全然違う感じがしてて、こうやってお話ししてると同じ感覚なんですけど、「ミュージカルで座長やれ」なんて言われたら、ごっついハードル高いですよね。そこをあえて主戦場に選ぶなんて、僕からすると「大変なことやってるなあ」って印象がめっちゃあります。

坂本:うん、大変だね(笑)

――その中でも、共感する部分はどんなところでしょうか?

小田井:やっぱり年が近いから、自分の体の限界という点で、程度の差はあるにしろ、「若い頃はああいうこともっとできてたのに」みたいなことはありますよね。「もういけいけー!!」って言うてる年代とは違うんで、自分の残りの人生と仕事を、少しずつ天秤にかけながら仕事していくやり方はありますよね。

坂本:今までできていたことが脳みそではできてるんだけど、体ができなくなってるっていう、自分の中のアンバランスさは出てきますよね。そうなってくると、「ここをやらなきゃ」「ここを伸ばそう」という感じで自然と自分の中でチョイスできて、それを求めてより勉強していくという感じですね。無理くりそうしようと思ってないし、苦でもないんです。