最新作『スオミの話をしよう』の公開を控える三谷監督。
第28回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭(BIFAN)は、7月4日から7月14日の11日間にわたって、ソウル郊外の京畿道富川市(キョンギ道プチョン市)で開催される映画祭。ホラー、SF、ファンタジー、アクション、サスペンス、スリラーなどエンタメ性の高い話題作が世界中から集まり、スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭や、ベルギーのブリュッセル国際ファンタスティック映画祭、ポルトガルのポルト国際映画祭などの世界のファンタスティック映画祭と並ぶアジア最大級のファンタスティック映画祭となる。
韓国ではこれまでに『ラヂオの時間』(97年)、『ザ・マジックアワー』(08年)、『ステキな金縛り』(11年)が劇場公開されており、また、昨年日本でも25年ぶりに再演された三谷幸喜作・演出の伝説的舞台『笑の大学』が韓国版として上演され、高い評価を得て何度も再演されている。韓国の映画・舞台好きの間でも人気が高いことから、今回映画祭からラブコールを受け、登壇することが決定した。
三谷監督が登壇するマスタークラスは、これまで『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』などの鬼才、アリ・アスター監督や俳優・監督としても活躍するチョン・ウソンなども参加。映画祭にとっても未来の映画人を育てるための非常に重要な位置づけとなっている。映画祭期間中には、三谷幸喜が脚本・監督を務めた『記憶にございません!』(19年)、『ステキな金縛り』(11年)、『ギャラクシー街道』(15年)も上映。『記憶にございません!』『ギャラクシー街道』(15)が韓国で上映されるのは、今回が初となる。7日は『記憶にございません!』上映後に、三谷監督が登壇するマスタークラスとあって、350名キャパの会場チケットは発売開始直後にほぼ埋まっていたという。
○三谷幸喜監督 国際ファンタスティック映画祭 マスタークラス オフィシャルレポート
マスタークラス前、富川(プチョン)は初めて訪れたという三谷監督は「以前、自分の舞台を韓国で上演していただいた際に、すごくお客さんが喜んでくれ、日本と同じくらい笑ってくれていたので、映画も同じくらい喜んでくれるといいなと思っています」と語っていたが、上映中には各シーンで笑いが起こり、終了時には盛大な拍手が巻き起こった。
上映後、三谷監督が登壇。「アンニョンハセヨ! ミタニコウキ イムミダ……(意味:こんにちは。三谷幸喜です。みなさん、私の韓国語がわかりますか? ごめんなさい。私は私の韓国語が分かりません)」と韓国語で挨拶すると、会場からは笑いと大きな拍手が起きました。「この挨拶は、ベルリン・ロシア・ニューヨークでも挨拶しましたが、ここの場が1番ウケました」と答え、さらに、上映前に監督が「韓国でも公開していただけると嬉しいので、韓国のお客さんの反応も楽しみです」と語っていた新作『スオミの話をしよう』の特報映像も上映。「今までで1番、長澤さんが魅力的な映画ができました!」と自信を覗かせ、一足早く鑑賞した韓国人MCからも“三谷幸喜の集大成的な映画だと思いました!”と絶賛の声。MCの“楽しみですよね!?”の客席に質問を投げると、観客からは大きな拍手で“観たい”と応え、三谷監督も「韓国でも是非上映してほしいです」と応えました。
ティーチインでは、ドラマ『王様のレストラン』でファンになったという女性から「作品を作るインスピレーションやアイデアはどういったところから湧きますか?」という質問には、「僕は俳優さんが大好きです。俳優さんからインスピレーションをもらうことが多いですし、モチベーションに繋がります」と答えました。
さらにイベントの終盤には、明日、三谷監督が63歳の誕生日を迎えるということで、ケーキと観客からバースデーソングのプレゼントが! 三谷監督は「サランヘヨ~!」と感謝を述べつつ、「こんな風に誕生日をお祝いしてもらったのは初めてです。真剣に話も聞いていただき、皆さんの熱意が伝わりました。感激です! この想いを一つの言葉に集約するならば、この言葉になると思います……“ペコパ~!(意味:おなかすいた~!)”(会場笑)」と先程の質問の回答にかけ、最後まで場内を沸かせました。ファンの要望に応える形で急遽実施されたマスタークラス後のサイン会には70人以上の長蛇の列ができ、最後までファンとの交流を楽しみました。
○三谷幸喜監督 コメント
・最新作の『スオミの話をしよう』誕生のきっかけ
自分の体験談ですが、僕は家族といるときと仕事仲間と一緒にいる時、全然違う顔を見せていると思います。皆さんもそうだと思いますが、それぞれの関係性によって、いろんな顔を持っているのが人間だと思います。僕が家族といた時に仕事仲間と会った時、どっちの顔をすれば良いのか、とても困りました。その際に、このシチュエーションは映画になるなと思いました。
・マスタークラス&サイン会を終えて
あまり日本でもこういうイベントを経験したことがなかったので、すごく新鮮ですし、嬉しかったです。皆さん舞台挨拶の話も真剣に聞いてくれ、サイン会の時にはどうやって手に入れたんだというような昔の『ラヂオの時間』のパンフレットを持参してくれた方もいました。ちょうど先程、『記憶にございません!』の上映終了直後にトイレに行ったら、隣にいた上映を観たおじさんが「面白かったな~」と呟かれていて……とても嬉しかったです。(誕生日のプレゼントについて)日本は英語が入りますが、バースデーソングがすべて韓国語で歌われていたことに驚きました。
(C)2024「スオミの話をしよう」製作委員会