三井不動産と三井ホームは、江戸時代後期に建築された築250年以上の古民家「旧用賀名主邸」(東京都世田谷区)の耐震改修工事を完了し、7月31日に竣工した。

今回の工事は三井不動産レッツ資産活用部が総合計画し、三井ホームが設計・施工した。
オーナーからの「所有する古民家を最大限残しながら、安全な状態で次代へ残す」という要望を受け、一般的な耐震工事と比べ解体する箇所を極力減らし、建物の伝統的な意匠を残したまま耐震性能を向上させ安全性の高い物件に再生した。

工事には、伝統的構法の建物にも適用できる制震工法「Hiダイナミック制震工法」を採用した。建物の壁に複数の制震オイルダンパーを取り付けることで、大地震時の建物の変形を吸収し、柱や梁、壁等への負担を軽減できる工法で、床や天井の仕上げ材を極力壊さず、耐震性を満たすことが可能となった。

また、屋根材を重い日本瓦から軽い金属素材へ葺き替えることで、屋根の総重量を約1/16に抑え、建物全体の軽量化も実現した。

日本建築防災協会による一般耐震診断では、0.7未満は倒壊する可能性が高いとされ、1.0以上を目指すことが推奨されている。今回の工事により、評点が0.3程度から評点1.0相当以上となった。
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