情報を整理・活用するためのオールインワンツール「Notion」に、ユーザー待望のオフライン機能が導入された。デスクトップアプリおよびモバイルアプリで利用可能であり、すでに展開が始まっている。


Notionはクラウドベースのツールであり、すべての機能を円滑に利用するにはインターネット接続が必要であった。これまでもオフライン環境下で一定の作業は可能であったが、閲覧できるのは事前に開いていたページに限られ、新規ページの作成やデータベースの操作などは大きく制限されていた。一方で、オフライン時でも作業を継続したいというニーズは強く、Notion CEOのアイバン・ザオ氏によると、オフライン機能はこれまでユーザーからの追加リクエストのトップであり続けていた。

オフライン機能の使い方は簡単である。オフラインで利用したいページを開き、右上の三点ボタンからメニューを開いて、「オフラインで利用可能」のトグルをオンにする。すぐにページのダウンロードが始まり、完了すると、オフライン時でもそのページの閲覧や編集が可能となる。

オフラインモードを有効にしたページは、「設定」の「オフライン」セクションで確認できる。インターネット接続がない場合、ダウンロード済みのページは「ホーム」画面に表示される「オフラインページ」からアクセスできる。さらに「ホーム」からは、オフライン時に新規ページの作成も行える。

このオフライン機能により、飛行機での移動中などインターネットに接続できない環境下や、接続が不安定な状況でも作業を継続できるようになる。重要なページを事前にダウンロードしておくことで、接続障害に備えるセーフティネットとしても活用できる。また、オフラインで学習や仕事に集中する環境づくりにも役立つ。


オフライン中に行った変更はローカルに保存され、デバイスが次回インターネットに接続された際に自動的に同期される。

注意点として、同期はWi-Fi接続時にのみ行われ、モバイルデータ通信では同期されない。また、すべてのページが自動的にダウンロードされるわけではなく、データベースの場合は最初のビューに表示される50件のエントリのみがオフライン保存の対象となる。さらに、共有メニューなど一部の機能はオフライン時には使用できない。

これまでNotionが正式なオフライン機能を導入してこなかった背景には、同ツールが単なるデジタルノートではなく、複数人による同時編集を可能とするコラボレーションツールであったことがある。複数のユーザーがオフラインで同一のコンテンツを編集した場合、変更の衝突をどのように解決するかが大きな課題であった。ザオ氏によれば、開発チームは最大規模の一つに数えられるCRDT (Conflict-free Replicated Data Types)システムを構築してオフラインモードを実現した。
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