末代まで語り継がれる「愚策」と呼んでいいでしょう。
安倍政権が7月22日にスタートさせた観光需要喚起策「GoToトラベルキャンペーン」のことです。
一般紙の政治担当記者は内幕をこう語ります。
「GoToに破格の予算をつけたのは観光業界に大きな影響力を有する菅官房長官と、自民党の二階幹事長です。本来なら感染拡大を防ぐために血税を投入しなきゃいけないのに、大物二人の利権のために莫大な税金が無駄遣いされている。『今じゃないでしょ』との声は与党議員からも聞こえてきます」
首都圏ほど医療体制が整っていない地方へと、都会から人が移動しまくり、感染が拡大してしまえば、そのエリアは経済的に壊滅的なダメージを食らいます。
そんな中、「GoTo」強行に怒りの声を挙げる人々がいます。高校野球マニアの面々です。昨年まで、夏の甲子園観戦は「皆勤賞」だった都内在住の40代男性はこのように異議を唱えます。
「今年の夏の甲子園は中止となり、代わりに『夏の選抜大会』として、3月の選抜大会に出場予定だった高校が甲子園に集い、ワンマッチの特別試合を戦います。しかし、これは『負けたら終わり』という本来の甲子園大会ではありません。
そして、憤りながら続けてこう言うのです。
「高野連は『甲子園大会は全国から人が集まり、移動することで感染拡大のリスクがある』と説明していたじゃないですか。僕らも『それじゃ仕方ない』と一度は納得しましたよ。それが何ですか。同じ時期に、安倍政権が『どんどん移動しましょう』というキャンペーンを多額の予算をかけて行っているのです。夢をあきらめた高校球児にどう説明するつもりですか」
確かに6月19日にはプロ野球も開幕し、感染予防へと細心の注意を払いながら、上限5000人の観客を入れて連日、熱戦を展開しています。
連日、各球場へと取材に訪れるスポーツ紙の高校野球担当記者は、こう証言するのです。
「夏の甲子園、まあ正直、やればできましたよね。政府が堂々と移動を奨励しているわけですから。実際、各地方の『代替大会』では、甲子園切符が懸からないので勝利至上主義に陥ることなく、選手がのびのびプレーで好勝負を展開している。大会前も酷使や猛練習とは無縁だったから、球速や飛距離が伸びたという選手も続出しています(笑)。
「それよりも今夏は梅雨が長引き、代替大会の雨天中止が続出しています。もし地方大会を強行したとしても、日程不足で優勝校が決まらなかったかもしれません(笑)。そういう意味では、この夏はちょうど良かったともいえるのではないでしょうか」
球児の夏の夢だった「GoTo甲子園」が失われた一方で、「GoTOトラベル」には感染者が過去最多を更新したとしても、ジャブジャブと税金が投入されていきます。この事実から若者たちは何を考え、何を学ぶのか-。
彼らが大人になった頃の日本では、そんな理不尽な政策が行われないことを願うばかりです。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。