宝塚歌劇団OGの七海ひろき、瀬戸かずや如月蓮が初めてドラマ出演を果たす『合コンに行ったら女がいなかった話』(カンテレ、TOKYO MX)。宝塚の元男役が“男装女子”のキャラクターを演じることも注目を集めている本作だが、初のドラマ撮影に緊張と新鮮さを感じたという3人に話を聞くと、宝塚音学学校で“予科本科”(学年1学年違いの先輩後輩関係)ならではの爆笑エピソードが飛び出した。



【写真】七海ひろき&瀬戸かずや&如月蓮、宝塚を卒業しても変わらず“イケメン”

■一期違いの3人での共演は「心強かった」

 原作は、4巻目にして早くも累計部数60万部(電子含む)を突破した蒼川ななの同名漫画。女の子と縁のない男子大学生3人組が合コンに出かけた先に待っていたのは、超絶イケメンの“男装女子”だった…という“男6人、女0人”の合コンから始まるラブコメディーだ。七海は王子様系男装イケメン女子・蘇芳を、瀬戸は男装BARのオーナーでクール系男装イケメン女子・藤を、如月は俺様系男装イケメン女子・琥珀役と、それぞれ個性の異なるキャラクターを演じる。相手役に顔をそろえる井上想良、小西詠斗、増子敦貴(GENIC)という次世代イケメン注目株との競演も話題だ。

――今回皆さんドラマ初出演とのことですが、オファーを聞かれて原作や台本をお読みになった時の感想はいかがでしたか?

七海:今までなかった設定だと思います。夢中になってどんどん読み進めました。
設定やキャラクターに“キュン”がすごく多いんです。キュンの形はいろいろなんですけど、それが一番の魅力かなと思いました。そして、原作を少しでも具現化できたらいいなって思っています。

瀬戸:題名を聞いたときに「どういうことなんだろう?」と思ったのですが、読み進めていったら、「なるほど、そういうことか!」って。今までにないシチュエーションというか、関係性が描かれているのが面白くて、夢中になって読ませていただきました。これが生身の人間として動いたり映像になったりするんだって想像しただけで、面白そうなことになるんじゃないかなと感じました。


如月:私は漫画が大好きなんです。原作はギリギリを攻めてるんだけど、そのギリギリ感がすごく品があるなって(笑)。この作品を、宝塚で男役を長いことやっていらした方々と一緒にできるというのもうれしいなぁとも思いましたし、この作品が映像になるということに携われるとは思ってなかったので、原作を大事にする者としてはなかなか重要な任務だなと思い、髪も切って金髪にして臨みました(笑)。

――今回この3人でトリオ結成とお聞きになったときはいかがでしたか?

七海:心強かったです! 星組で一緒に舞台に立っていたれんくん(如月)はもちろん、あきら(瀬戸)は、あまり一緒に舞台に立ったことがないんですけど、初めて会ったときに、とても安心感を感じました。何より、とてもうれしかったです。

瀬戸:私もうれしかったです。
七海さんとは現役時代に舞台をご一緒しておらず、一方的に観ているだけだったので、卒業してからこんなご縁があるなんて思ってもいなかったですし…。七海さんの“キュンキラ”オーラを日々浴びることができてうれしいですね。如月とはこうして一緒に作品を作ることも初舞台以来なので、こういう機会って組が違うとなかなかないので感慨深かったです。

如月:七海さん、瀬戸さんってすごいスターさんなので、そこに私が入っていいのでしょうかって思ってたんです。足を引っ張るんじゃないかって心配の方が大きくって。でも勇気をもって飛び込んでみたら、本当に楽しくてありがたい限りです(笑)。


■井上想良&小西詠斗&増子敦貴の印象は?

――井上さん、小西さん、増子さんとの撮影の印象はいかがでしたか?

七海:一番初めはカラオケでの合コンシーンだったんですけど、初めてのテレビドラマ収録だったので、とにかく何も分からなかったんです。でも、3人が、こういう風に撮影していくんだよみたいに、お芝居をしてくれたので、「自分も頑張ろう!」って思いました。

瀬戸:右に同じくなんですけども、いろいろセリフだったり段取りだったりを、カメラが回った瞬間に120%の力で出すという経験がなかったので戸惑ったりもしたんですけども、(相手役の)小西くんがドンとそこにいてくれるのですごく心強くて。その姿にたくさん救われました。

如月:私はファン時代から宝塚の美しい男役をずっと見てきて、「こんなにすてきな世界はほかにない!」と思ってきたんですけど、彼らにお会いして初めて、「美しい男性っているんだ!」って思いました(笑)。俳優さんのオーラもあって、カッコイイ方々だなって。


七海:撮影中はずっと楽しくて! みんなで動物園に行くシーンがあって、そこで仲が深まったかな。動物に癒やされながら、たくさんのキュンシーンがあって楽しかったです。

瀬戸:純粋にキュンキュンしている浅葱くん(小西)に、あんなことやこんなことをさせるので、最初は「大丈夫かな、自分」って思ってたんですけど、回を重ねるごとに楽しんでる自分がいて(笑)。至近距離で観られて楽しかったです。

如月:撮影しているときは必死で、楽しいという感じはなかったんですけど、最近になってやっと役として楽しめるところが出てきたりしています。あるシーンの撮影で、琥珀は萩(増子)のふとしたこんな優しさに惹(ひ)かれているのかな?と思ったことがあって、瞬発力が必要な撮影の中で、自然とそういう感情が生まれたのは楽しかったですね。


■男役と“男装女子”の役作りの違い

――今回の役どころは、“男装女子”ということで、宝塚で男役をやられるのとは、似ているようでちょっと違った部分もあるかと思いますが、役作りはどのようにされましたか?

七海:普段からずっと男装をしているわけではなく、BARで働いているから男装をしているという設定なので、そこを大切にしようと思い役作りをしました。宝塚では“男性”を演じていたので、そこが一番の違いだと思います。また、舞台でやるのとは違いテレビなので、動きや芝居がオーバーになりすぎているのではないかという点は気を付けつつやっています。

瀬戸:男役時代は男の人だったらこう考えるんだろうなと、男性脳・女性脳のような考えをすることがあったんですけど、今回は、女性が男装するということなので、わりと私だなって…。これまで考えてきたことをしない役作りでいいのかなと思いました。自分が常にやってきたものが、女性だから男性だからとかじゃなくて、藤らしさにつながったらいいなと。すごく作り込もうとか、男を演じよう女を演じようとかじゃなく、やってきたことをシンプルに表現した時に、それが藤に重なったら面白いかなって思ってます。

如月:私も最初同じように思ってたんですけど、いざ撮影が始まって、監督に「琥珀ちゃんは、男装した時に違うキャラクターになろうと頑張る感じが出る、本来の自分と男装の時のギャップが生まれるタイプだよね」って言われた時に、「あ、そうか」と思って。必要以上に声が高くなってしまったり、舞台のようなオーバーな動きになっちゃったりしたんですけど、見守ってくれるスタッフさんがもうちょっとナチュラルな声の出し方でいいんだよとか、アドバイスをしてくださったことで、琥珀ちゃんがどんどん自分と歩み寄った感じがして、そういうところが今までの役作りと大きな違いだなと感じています。

■出会いから20年 七海ひろきが語る音楽入学時の瀬戸かずや&如月蓮

――七海さんは宝塚歌劇団の89期生、瀬戸さんと如月さんは90期生ということで、予科本科の間柄です。90期さんの音楽学校入学が2002年なので、今年で出会いから20年となります。

七海&瀬戸&如月:うわぁぁ。ほんとだ。20年だ(笑)。

――七海さんは入学当初のお2人について覚えてますか?

七海:覚えてます、覚えてます! (瀬戸は)やっぱり最初からすごくこう、声が低くて(笑)。

瀬戸&如月:ワハハハハハ!!

七海:「おはようございます」っていう声がもうすでにカッコよくて、顔がキリっとしてたから、私たちの中でも「瀬戸さんはすごくカッコいい男役になるだろうね」っていう話をしてたくらいだったんで、よく覚えてます。

如月さんは、最初の合格発表のことを鮮明に覚えていて(笑)。(如月に向かい)言ったことあるっけ? 合格発表の後に、私たちが列を作って合格者に「おめでとう!」と声をかけるんですけど、そこで(如月は)すごく潔く「ありがとうございます! がんばります!!」って、私たちの列のセンターで心の内を発言したんです。なんてカッコいいんだろうと(笑)。

――とのことですが、七海さんの印象はいかがでしたか?

如月:いいですか? もうネタになってるんですけど、本科生に七海ひろきさんはいなかった説があって(笑)。音楽学校のときは男役もまだ身についていないころでしたので、(七海が)のちに組替えで星組にいらしたときに、あまりにもすてき過ぎて、1個上さんだけど音楽学校の時に七海さんはいなかったぞって(一同爆笑)。あと覚えているのは、みかんが好きな人(笑)。優しかったですね、昔から。

瀬戸:いつも穏やかで、ふわぁ~って講堂に入ってくる。(七海爆笑)

如月:ギラギラしてなかったよね? 

瀬戸:そう! あ、あとアザラシが好きでしたよね。アザラシの方っていう印象(笑)。

七海:人間、根本はまったく変わらないんですよね(笑)。

――星組では、“ひろきのお兄様”と呼ばれるくらいのカッコよさとオーラで娘役さんはもちろん、後輩の男役さんも魅了されていましたが…。

如月:そうです、そうです、お兄様になっててびっくりしました(笑)。

――今回演じられる蘇芳役は、“ひろきのお兄様”にぴったりの役だと感じました。

七海:そう思ってもらえたらうれしいです。でも、似ているようで本質的には全然違うんだなと思うところもいっぱいあって、蘇芳の鋭さだったり観察力だったりとか、自分にはあんまりないんですよね。その違いをお芝居で出していけたらいいなって思ってます。

――では最後に本作の見どころのアピールをお願いします。

七海:ハッピーになれるし、とても笑顔になれる作品だと思います。たくさん“キュン”として、ときめいてもらえたらいいなと思ってます。

瀬戸:1話から最後までさまざまな“キュン”が用意されています。映像となって流れるのが私自身も楽しみですし、それぞれのキャラクターを何度も見て、いろんな形の恋愛や生きざまを楽しんで観ていただきたいです。

如月:気持ちが明るくなれるドラマだと思うので、気軽に、そして、いろんな見方で楽しんでいただけたらうれしいです!

(取材・文:編集部 写真:高野広美)

 ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』は、10月20日より、カンテレにて毎週木曜24時25分、TOKYO MXにて同25時放送(全10話)。