グループの“新世代センター”として期待される、乃木坂46の4期生・賀喜遥香。ドラマ『最初はパー』(テレビ朝日系/毎週金曜23時15分)で地上波の連ドラ初レギュラーを射止めた彼女は、日に日に頼もしさを増している。

2度の表題曲センターを経験して「変われてる、自分。ちょっと成長できてる」と実感する今、自身の成長に何を思うのか。

【写真】かわいい“かっきー” 賀喜遥香撮り下ろしカット(7枚)

■自身が演じるすみれは「違う世界線の自分」

 お笑い養成所が舞台のドラマ『最初はパー』は、お笑い芸人を目指す生徒たちが奮闘する姿をコミカルに描く物語。賀喜は、アイドル並みのルックスを持ちながらもコミュ障の一面を持つ、ピン芸人を目指す女子生徒・雨宮すみれを演じる。

――本作のオファーを受けて、どんな感想を持ちましたか?

賀喜:以前、4期生でドラマ(dTVオリジナルドラマ『猿に会う』)へ出演して、単発で連続ドラマにゲスト出演させていただく機会もありましたけど、レギュラーは初めて。メンバーがいろいろなドラマの現場で活躍しているのをグループ内から見ていることも多かったので単純にうれしかったです。でも、どんな役かと聞いたら「ピン芸人です」と言われて「ピン芸人!?」とビックリしちゃいました。メンバーから「何役なの?」と聞かれたときに「芸人さんなんだ」と言ったら「かっきー(賀喜の愛称)芸人になるの!?」とみんなもビックリして(笑)。「かっきーなら大丈夫だよ」と背中を押してくれたので、うれしかったです。

――大阪出身の賀喜さんにとって、作品のテーマ「お笑い」は幼い頃から身近だったのかなと。

賀喜:小さい頃からいろんな番組を見ていたし、吉本新喜劇が好きなお友達の家へ遊びに行ったときは、私も一緒に見ていました。ほかにも『エンタの神様』(日本テレビ系)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)も見ていましたし、ピン芸人の方もよく出ていらっしゃったじゃないですか。
お笑い芸人を目指す女の子を演じる上で、当時の思い出が撮影現場でも生きています。

――「お笑い」がテーマとあり、実際の撮影ではアドリブも求められそうです。

賀喜:私はまだ、あんまりできないんですけど、いつかやってみたいとは思います。講師役の小籔(千豊)さんが「アドリブはあんまり入れないタイプなんやけど」と言いつつ、アドリブを入れて面白くしてくださるので「カッコいいな」と憧れています。撮影現場の雰囲気も良く、1話の生徒1人1人が水を掛けられるシーンでは、水を掛けられるたびに出演者同士で拍手が起きて、「最高!」「いいよ!」と声を掛け合っていました。温かい雰囲気だから安心して頑張れるというか、自分をさらけ出せるし、みんなが笑顔でいられる明るい現場です。

――そんな現場で演じるすみれの役柄は「内面的に似ている」と、番組公式インスタグラムで述べていました。どこでそう感じたのでしょう?

賀喜:コミュ障ですけど、お笑いの世界で頑張ろうとしているところです。私は乃木坂46へ入るときに、すみれちゃんと同じように、自分が嫌で変わりたくて、先輩方に憧れてオーディションを受けたんです。だから、志が似ている部分があるなと思いました。違う世界線の自分というか。今生きている私は、乃木坂46や坂道グループを見てアイドルに憧れましたけど、もし、お笑い番組で芸人さんに憧れていたら、その道に進んでいたかもと思います。


■2度の表題曲センターを経て「変われてる、自分。ちょっと成長できてる」

――「生まれ変わりたかった」という思いから芸人を目指したすみれの生きざまは、かつて「何もない毎日を変えたかった」として、乃木坂46のオーディションを受けた賀喜さんの人生と重なります。賀喜さんは、グループ加入で何が変わりましたか?

賀喜:最近、それを考えることが多いんですけど、あんまり変わってないかなとも思うんです。いい意味で。乃木坂46に入ってから、今までに会ったことのない優しさを持っているメンバーやスタッフさんと出会えて、こうした場でも、仕事への熱量をたくさん持ったプロの方と会って、自分の世界が広がったというか。初めは、自分を変えたくて入ったけど、そうした方々から「無理に変わらなくていいんだよ」「いいところを伸ばしていこう」と、新しい考え方を頂きましたし、変化の実感がなくても、その途中なんだろうという感覚があるんです。今回演じるすみれちゃんも、似たような気持ちで「芸人さんになっていくのかな」と考えています。

――昨年9月リリースの28thシングル「君に叱られた」と8月リリースの30thシングル「好きというのはロックだぜ!」で2度、表題曲のセンターを務めたのも転機だったのかと。

賀喜:最初にセンターを任せていただいたときは、自分のことを考えるしかなく「もうできない、無理だ。どうしたら上手にできるんだろう」とばかり考えていたんです。でも、2度目のセンター経験では、前回の教訓を生かせたし、周りのみんなのことも見えるようになりました。周囲からもアドバイスを受けながら、自分で考えて、生かせるようになった気がして。
「変われてる、自分。ちょっと成長できてる」と思えることもたくさんありました。

――東京・明治神宮野球場で開催した8月末の「乃木坂46 真夏の全国ツアー2022」最終公演。「君に叱られた」の披露直前に、4期生かつセンターとして決意表明のスピーチをしていた姿からも、賀喜さんの成長が感じられました。

賀喜:ステージでグループを代表してしゃべらなきゃいけないとなったときに、昨年までは「もうできない、やりたくない。私なんかがしゃべれない」と、マイナスなことばかり考えていました。でも、今年からはそんなことよりも「グループとして、ファンの皆さんに伝えたいことは何だろう」とか「私が言えることは何だろう」とか、ファンの皆さんに楽しんで帰ってもらいたいけど「どうすればそれが伝わるんだろう」と考えられるようになったし、ネガティブな気持ちをプラスに変えられるようになったと思います。成長を感じられたし、あんまり泣かなくもなりました。

――舞台裏では、後押ししてくれたメンバーもいたのでしょうか?

賀喜:今年の神宮公演の2日目、3期生の(岩本)蓮加さんから「かっきーが乃木坂46に来てくれて本当によかった」とステージ下でおっしゃっていただき、うれしかったです。先輩方にもファンの皆さんにもそう思っていただけるくらい立派な人になりたいと思い活動していたので、蓮加さんの言葉を受けて自信が湧いたし、「ここにいていいんだ」という気持ちになれて、一気に変わったと思います。

■憧れの人 女優として先輩の山下美月への印象は?

――現在、連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)に出演している3期生の山下美月さんは、加入前から憧れの存在だったそうですね。『最初はパー』で地上波連ドラ初レギュラーを射止めた賀喜さんは、女優としての山下さんの活躍をどう見ていますか?

賀喜:乃木坂46の活動で美月さんの演技をそばで拝見する機会もありますけど、本当にすごいなって。
美月さん自身は「そんなに自信はないんだよ」とおっしゃっていますが、堂々とされているのがカッコいいです。そんな姿に憧れていましたし、「目指すべきはここだ」と思いながらいつも見ています。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 ドラマ『最初はパー』はテレビ朝日系にて毎週金曜23時15分放送。第2話は11月4日オンエア。

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