『君の名は。』や『天気の子』といったヒットアニメ映画を生み出してきた新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』が11月11日より全国で公開。
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■『すずめの戸締まり』 岩戸鈴芽(すずめ)役・原菜乃華
九州の静かな町で、叔母と暮らす女子高校生・すずめ。彼女はとある出会いをきっかけに、災いの元となる“扉”を閉める冒険へと出ることになる。
そんなヒロインの声優に抜擢(てき)されたのは、1700人を超える応募があったオーディションで新海監督が見つけたという19歳の原石・原菜乃華。公開されている予告編では、まっすぐな芝居で一生懸命にすずめを表現。声優初挑戦という今だからこそ表現できる真っ白な芝居が、見たこともない風景や困難に立ち向かい、さまざまな人々と出会うことで成長するすずめとリンクしている。
■『すずめの戸締まり』 宗像草太役・松村北斗(SixTONES)
“災い”をもたらす扉を閉める「閉じ師」の青年・宗像草太は、扉を探す旅の途中ですずめと出会う。しかし、突如現れた猫により“3本足の子ども椅子”に姿を変えられてしまう。
そんな難役を務めるのは、内面の豊かさなどが草太に重なったことから起用が決まったという松村北斗。アイドルグループ・SixTONESとしての活躍に加えて、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の雉真稔役など役者としても輝く彼は、新海監督が「神と人間の融合体みたいなイメージ」と語る草太を、ふだんより少し低い声で演じている。
新海監督が「彼の声の芝居は鮮烈です」と言葉にするように、松村の芝居が物語のアクセントとなるだろう。
■『夏へのトンネル、さよならの出口』 塔野カオル役・鈴鹿央士
9月から公開がスタートした映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の主人公・塔野カオル役を担当したのは、俳優の鈴鹿央士。本作は、2人の男女が、ある事を引き換えに欲しいものがなんでも手に入る“ウラシマトンネル”を調査するため、協力関係を結ぶひと夏の物語。
『silent』(フジテレビ系/毎週木曜22時)の戸川湊斗役や、実写版『ホリミヤ』の宮村伊澄役など、ドラマや映画で印象に残る芝居をする鈴鹿は、幼少期のある出来事がきっかけで心に葛藤を抱えているカオルの“見え隠れする闇”を表現。田口智久監督も「とにかく声がすごくよかったんです。ずっと聞いていられる」と鈴鹿の“声の芝居”を称賛している。
■『かがみの孤城』 こころ役・當真あみ
辻村深月のベストセラー小説『かがみの孤城』が劇場アニメ化し、12月23日に全国で公開。メインキャラクターのこころ役を務めたのは、14代目「カルピスウォーター(R)」CMキャラクターでも注目を集める當真あみだ。
原恵一監督に「彼女しかいない」と絶賛された彼女は、部屋に閉じこもっていた中学生・こころの少し臆病な性格を具現化。當真の、予告映像から聞こえる声からは「こころちゃんのことを応援したいと思いながら原作を読んでいた」という気持ちが込められているように感じる。
学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていたこころ。ある日、部屋の鏡が突然光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこには、城と見ず知らずの中学生6人の姿が。
アイドルからも続々と声優デビュー!
■『カメの甲羅はあばら骨』 フラミンゴ塚フラ美役・上國料萌衣(アンジュルム)
動物たちの体のしくみを人間の体を変形させて伝える動物図鑑『カメの甲羅はあばら骨』が劇場アニメ化。10月28日より公開中の本作で、フラミンゴ人間のフラ美役を担当するのは、アイドルグループ・アンジェルムの上國料萌衣。恵まれた足を武器に読者モデルとして活動するフラ美を初挑戦とは思えないほど堂々とした芝居で演じていて、高飛車な性格のフラ美らしさの表現にもつながっていると感じる。
カメ田カメ郎は、さえない学園生活を送るごく普通の高校2年生。ある日、親友のカエル川エル隆が人助けをしたニュースが瞬く間に拡散し、生徒会長を目指す学園のスーパースター、ライオン寺ライ王たち上位グループの目に留まる。突然彼らの仲間入りをしたカエル川、そして、嫉妬と劣等感に苛まれるカメ田。2人の友情の行方は果たして…。
■劇場版『DEEMO サクラノオト あなたの奏でた音が、今も響く』 仮面の少女役・丹生明里(日向坂46)
人気ゲームが原作の劇場版アニメで、物語の重要なポジションを担う仮面の少女役を務めたのは、丹生明里。アイドルグループ・日向坂46として活躍する彼女にとって長編アニメでの声の芝居は初めてのことだったが、共演した声優の竹達彩奈が絶賛するほどの表現力で魅せた。今年1月にはブログで、2022年の目標として「声優さんのお仕事をする」と夢を挙げていた彼女が、この経験を今後どう生かしていくのかにも注目だ。
本作は、ゲーム「DEEMO」が原作。ピアノの旋律と幻想的な世界観の謎めいたストーリーが支持を受けている。
空から落ちてきた1人の幼い女の子は、記憶を失くしていたが、黒の紳士が「Deemo」ということはなぜか知っていた。Deemoがピアノを弾くと、少女は「アリス」という自分の名前を思い出す。ピアノの音色で成長する木が天窓まで届けば元の世界に帰れるのではと考えたアリスは、城に隠された楽譜集めを始める。過去・現在・未来に大きな波紋を広げる音色が、次第にアリスの記憶の扉を開いて…。
■過去に長編アニメで声優を務めたZ世代も活躍!
ここまで紹介した、2022年デビュー組のほか、『夏へのトンネル、さよならの出口』で花城あんず役を担当した飯豊まりえや、『カメの甲羅はあばら骨』のカメ田カメ郎役の清水尋也、10月公開の映画『ぼくらのよあけ』で沢渡悠真役を演じた杉咲花、11月25日公開の『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』でトワ役を担当する福本莉子なども、声優初挑戦ではないものの、その芝居と声で作品を彩っている。
ドラマや映画にとどまらず、声優業などさまざまな形で“演じ”活躍しているZ世代の俳優・アイドルたち。彼らがこれからエンタメ業界にどんな影響をもたらしていくのか。新しい才能がエンタメ作品を昇華させる瞬間が、今から楽しみだ。(文:M.TOKU)