スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めた80年代を代表するSFホラーコメディー映画『グレムリン』が今夜の金曜ロードショーにお目見えする。本作でヒロインを務めたのは、当時アイドル的な人気を誇り、日本でも映画誌の表紙を飾ったフィービー・ケイツ。

今見てもキュートすぎる彼女に注目したい。

【写真】フィービー・ケイツ、一世を風靡した美貌を振り返り!

■芸能一家の出身

 本作は、『ホーム・アローン』のクリス・コロンバスが無名時代に書いた脚本を、スピルバーグが気に入って権利を購入し、製作総指揮まで務めた作品。発明家の父がクリスマスプレゼントに持ち帰ったナゾの動物「モグワイ」を、息子のビリーは“ギズモ”と名付けかわいがるが、飼うには絶対に守らないといけない3つのルールがあった! このルールを無視してしまったため、凶暴化した「グレムリン」がどんどん増えてしまい、街中が大パニックに! キモカワイイ(怖カワイイ?)グレムリンは、今もキャラクターアイテムが作られるなど、衰えない人気を誇る。

 本作で、ビリーが思いを寄せる同僚のケイトを演じたのがフィービー・ケイツ。1963年にニューヨークで生まれたフィービーは、父はブロードウェイのプロデューサー、叔父も映画監督・プロデューサーという芸能一家の出身。エキゾチックな雰囲気が魅力だが、中国系の血も流れているそう。


■伝説のディスコ「54」でスカウト

 若い頃からモデルとして活躍し、セブンティーン誌やElle、英版Vogueなどの表紙を飾った後、映画にもなった伝説のディスコ「54」でパーティーをしていたところをスカウトされ、演技の道へ。19歳だった1982年に『パラダイス』でいきなり主演デビューを果たし、同年、学園コメディ『初体験/リッジモント・ハイ』にも出演。同作で見せたプールから上がってビキニトップを脱ぐシーンはポップカルチャーとなり、主役ではなかったもののこの役で世界的な人気を獲得した。翌年には『プライベイトスクール』に出演し、アイドル的人気を不動のものにしている。

■出世作のせいで落とされそうに…

 この翌年に出演したのが、本作『グレムリン』。すでに人気女優だったものの、『パラダイス』と『初体験/リッジモント・ハイ』でヌードを披露していたことから、家族向け映画にはふさわしくないと当時スタジオは敬遠したそう。
しかし、オーディションで見せたビリー役ザック・ギャリガンとのケミストリーをスピルバーグが気に入り、無事役を獲得したそうだ。

 本作の後も数々の作品に出演し、1990年に公開された『グレムリン2 新・種・誕・生』ではケイト役を再演。『フィービー・ケイツの私の彼は問題児(ドドンパ)』(1991)など、邦題にフィービーの名前を冠した作品も多数ある。

■16歳年上実力派俳優と電撃結婚

 プライベートでは、『再会の時』(1983)のオーディションで知り合った16歳年上の実力派俳優ケヴィン・クラインと1989年に25歳で電撃結婚。知り合ってからしばらくは交際に発展しなかったそうで、当時のことをケヴィンは、「彼女は僕と付き合うにはハッピーすぎる。人生をものすごく楽しんでいる…何を話せばいいんだ」と思ったと明かしている。
この後フィービーは出産を機に女優業から引退。しかし、『初体験/リッジモント・ハイ』で共演して以来の親友、ジェニファー・ジェイソン・リーが『アニバーサリーの夜に』(2001)でメガホンをとった際は、一肌脱いで家族で出演。引退後のフィービーの姿を見られるだけでなく、リアル夫ケヴィンとの夫婦役も観ることができる。

■セレクトショップのオーナーに

 ハリウッドの結婚事情は諸行無常ながら、2人は末永く幸せに暮らしているようで、近年も舞台や映画のイベントに揃って参加しているほか、NBAのニックスの試合でも仲むつまじい様子をキャッチされている。長男オーウェン・クラインは現在映画監督として活動し、長女グレタはシンガーソングライター、フランキー・コスモスとして活躍。フィービーも女優業からは離れたものの、2005年にマンハッタンの自宅近くでセレクトショップBlue Treeをオープン。
以来同店を経営しており、ジュエリー、洋服から、アンティーク、キャンドル、書籍など、ユニークなアイテムを取り扱っているそうだ。

 人気を極めながらも、早期にハリウッドの表舞台から身を引いたフィービー・ケイツ。今夜放送の『グレムリン』で、スクリーンに刻まれた彼女の輝きを目撃しよう。(文・寺井多恵)

 映画『グレムリン』は、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて今夜12月16日21時放送。