メンバーの卒業が相次ぐ一方、二期生・松田里奈の新キャプテン就任、三期生の新加入と、グループの形が変わりつつある櫻坂46。同期の卒業を見送ってきた一期生・土生瑞穗、5thシングル「桜月」の活動をもっての卒業を決めた二期生・関有美子の2人は、それぞれの視点から卒業への思いを吐露する。

見送る側、卒業する側の発言をたどると、今まさにある「櫻坂46の空気感」が見えてきた。

【写真】卒業への思いを語った土生瑞穂、関有美子 撮り下ろしカット

■卒業を見送る土生の本音「信じたくない気持ちもあった」

――2022年は、渡邉理佐さん、原田葵さん、尾関梨香さん、菅井友香さんと、一期生の卒業が続きました。同期の卒業に対する土生さんの思いは?

土生:本人も相当な覚悟がないと決断できないと思いますし、それぞれの人生もあるので、未来に向かって進んでいく姿を応援したい気持ちが大きかったです。寂しいけれど、ありがとう…というか。卒業後を見守りたい気持ちでした。

――ブログでは「正直、お別ればかりで寂しい」と本音も明かしていました。

土生:欅坂46の加入から7年以上、一期生は毎日のように一緒に過ごしてきたので、卒業を信じたくない気持ちもあったんです。卒業の日が近づくにつれて、リハーサルなどで「このパフォーマンスで最後か」と、一緒にいられる時間が少なくなるのも実感していました。メンバーの卒業では毎回、卒業する瞬間まで「信じられない」という気持ちもあります。

――特に絆の強かった印象もある初代キャプテン・菅井友香さんの卒業から3ヵ月強。寂しさもありますか?

土生:あるんですけど、メンバーとしての区切りは付いているというか。友香の卒業とともにキャプテンが二期生の松田里奈へと受け渡されましたし、引きずらず、未来に向かって頑張ろうという姿勢で取り組んでいます。


――2015年8月の欅坂46結成当時、22人だった一期生は今や5人となりました。

土生:最近、オフショット撮影のときに集合が早くなったんです(笑)。そこで変化を実感するし、同期で「頑張ろうね」みたいな空気感です。でも、今は頼れる二期生がたくさんいるので、グループとしては先輩後輩関係なく、一緒に手を取り合い頑張りたいです。新たに加入した三期生もいますし、みんなでよい櫻坂46を作っていければと思います。

――変化の続くグループの中で、自身の卒業に対する思いは?

土生:その決断をする瞬間がいつ来てもいいように「時間を大事に」とは思っています。活動の中では、何をするにも「誰かがやってくれる」と甘えず、自分だけでもやっていける視点を常に持っているんです。いつか、1人になっても恥ずかしくない姿勢を、日頃から作っていかなければと思っています。

■夢のために卒業を決断した関「今やらないと後悔する」

――二期生の関さんは、5thシングル「桜月」の活動をもっての卒業を発表しました。大きな決断の経緯は?

関:明確に「いつ」というわけではなく、自分の中でパッと浮かんできた瞬間があったんです。卒業のきっかけは、グループ加入前からやりたかったことでした。櫻坂46でもっとやれるし、メンバーと一緒にいる時間も楽しいという気持ちもあったんですけど、自分の中で留めていた気持ちがふくらんでいって。
心の中で「グループにいたい。でも、こっちもやりたい…」と戦いながら、いろいろなことに挑戦できるのは「いつか?」と考えて、「失敗してもいいから、今やらないと後悔するんじゃないか」と思ったので卒業を決めました。

――メンバーに卒業を伝えたときの様子も教えてください。

関:新加入の三期生と初めて会った直後、一期生さんと二期生が集まっていたタイミングで発表しました。新しいメンバーが増えて、これから「頑張ろう」という感じだったので「ヤバい。言いにくい」と思って…(笑)。みんなから注目される機会もあまりないので緊張してしまって、「5枚目シングルをもって櫻坂46を卒業することになりました。もう少しですが、よろしくお願いします」とサラッと言いました。

――その直後、周りの反応は?

関:メンバーからは「寂しい」という言葉をいっぱいもらいました。純粋にそう思ってくれたのがうれしかったです。

――関さんの発表を聞いて、土生さんは何を思ったのでしょう?

土生:グループを「大好き」と言って入ってきてくれたメンバーですし、有美子と一緒にグループを作ってこられてよかったという気持ちがありました。覚悟のいる決断だったはずですし、残りの一緒にいられる時間を大切にしていかなければとも思いました。


――卒業を見送る側として、同期と後輩の思いに対する違いは?

土生:私の場合はありません。仲間ですし、一緒に過ごしてきた時間は誰であってもかけがえのないものなので。有美子との思い出も残っていて、プライベートでは一緒にご飯を食べて、お話ししたのも覚えています。寂しいけど、有美子らしく卒業後もいろいろなことに挑戦してほしいです。

■関の卒業で空く「お嬢様キャラ」を継いでほしいメンバーは?

――グループではさまざまな経験を重ねてきたと思いますが、関さんの卒業を控えた今だからこそ言える、2人の「1番の思い出」は?

土生:1番かぁ…。『あつまれ どうぶつの森』かな。有美子はゲームが上手なんですよ。どうぶつの森では、洋服やベル(ゲーム内の通貨)をたくさんプレゼントしてくれて、ゲームの中でもお嬢様でした(笑)。お仕事でもプライベートでも優しくて、頻繁に声をかけてくれますし、怒っているところをあんまり見たことないほど性格が穏やかで。メンバーにとって「女神」のような存在なので、本当に救われました。

――関さんにとっての「思い出」はいかがでしょう?

関:加入してすぐに「有美子、猫背になってるよ」と土生さんに言われたことです。学生時代に身長が急に伸びた時期があって、加入当初はそのコンプレックスから、猫背になっていたんですよ。
今も完全には治ってないんですけど…(苦笑)。「治した方がいい」と指摘されたのが初めてだったので、よく覚えています。

――土生さんも覚えています?

土生:覚えています。一緒に過ごす中でパッと有美子を見たとき、肩が前に出ていることに気が付いたんです。「これはいかん!」と思い、肩をグッと後ろに引っ張り「肩が前に出てるよ」と言って。姿勢は自信の表れだから大事だと思っていますし、たくさんの人に見られるお仕事をしているのに、猫背で有美子が縮こまってしまうのはもったいないと思うので伝えました。

関:怒るわけではないですけど、人に指摘するのはエネルギーがいると思うんです。だから、加入間もない私に言ってくださったのはうれしかったです。「先輩ってこういう人のことを言うんだ」と20歳で初めて知りましたし、「土生さんのような女性になりたい」と思いました。

――最後に、もう1問。菅井さん、関さんの卒業でグループの「お嬢様キャラ」枠が空きます。関さんは、誰にキャラを継いでほしいですか?

土生:じゃあ、私が…(笑)。


関:(笑)。実は、同期の武元唯衣が「隠れお嬢様」なんですよ。レギュラー番組(『そこ曲がったら、櫻坂?』)で「15歳の誕生日をドバイで迎えました」と話していたし、昔の話を聞くと「えっ⁉︎」と驚くことが多いんです。お嬢様界のダークホースとして(笑)。どんどん、新しい一面が見つかっていくんじゃないかと思います。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

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