いまやドラマのジャンルとして“鉄板”ともいえる不動の地位を確立しているのが“グルメドラマ”。本稿では、見ていると思わずお腹がすいてくる、話題のグルメドラマを集めてみた。



【写真】食欲をそそる食べっぷり! グルメドラマに登場する俳優たち

すぐにまねできる! 家庭料理が続々登場

■『今夜すきやきだよ』

 現在放送中なのは、蓮佛美沙子トリンドル玲奈がダブル主演を務めるドラマ『今夜すきやきだよ』(テレビ東京系/毎週金曜24時12分)。仕事はできるが家事全般が苦手な恋愛体質のあいこを蓮佛が、仕事はスランプ気味だが、家事全般が好きで得意で、他人に恋愛感情を抱かないアロマンティックのともこをトリンドルが演じる。

 本作では、あいこが住まいを提供し、ともこが料理を作ることを交換条件に共同生活をスタートさせる。

 ともこが静かながらも生き生きと料理を作る姿と、彼女の手料理のおいしさを抜群のリアクションで表現するあいこの姿が尊く、とり天やいぶりがっこ入りのあじのなめろうなど、ひと手間加えた料理を頬張る様子は、金曜深夜の空腹を刺激する。

■『舞妓さんちのまかないさん』

 今年1月から配信されているのが、Netflixオリジナルシリーズとなるドラマ『舞妓さんちのまかないさん』。本作は小山愛子の同名コミックを、映画監督の是枝裕和が実写化した少女たちの成長物語。


 京都・祇園の花街を舞台に、舞妓さんたちが共同生活を営む屋形(やかた)の“まかないさん(=ごはんを作る仕事)”として、キヨ(森七菜)が、カレーをはじめ、親子丼やクリームシチュー、天ぷら、パンプディング、豚汁など、素朴ながらもおいしそうな料理を振る舞う。

 ちなみに、是枝と2018年の『万引き家族』でタッグを組み、6月公開予定の『怪物』にも参加している撮影監督の近藤龍人が、キヨの調理過程や出来上がった料理を活写。見るものの食欲を刺激する。

“チェンメシ”や“給食”など魅惑のグルメが満載

■『お耳に合いましたら。』

 2021年7月期に、乃木坂46元メンバーの伊藤万理華を主演に迎えて放送されたドラマ『お耳に合いましたら。』(テレビ東京系)は、音楽ストリーミングサービス「Spotify」と連動した異色のグルメドラマ。
主人公・高村美園(伊藤)が、あるきっかけからポッドキャスト番組を始め、パーソナリティーとして成長していく。

 劇中で美園が配信するポッドキャスト番組のテーマは、「どこの街にもある、決して特別ではない、でも欲さずにはいられない」魅惑のチェーン店グルメ、通称“チェンメシ”。第1話の「松屋」にはじまり、第2話では「餃子の王将」、その後も「富士そば」や「くら寿司」、「ジョナサン」、「ドミノ・ピザ」といった実在の飲食店の人気メニューが登場。

 美園の豪快な食べっぷりを見ていると、ついつい店に出かけて同じメニューを注文したくなるのも見どころだ。

■『ひねくれ女のボッチ飯』

 また、同時期に地上波放送された飯豊まりえ主演作『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京系)は、生粋のひねくれ女子・川本つぐみ(飯豊)が“ボッチ飯”の素晴らしさに触れながら巻き起こす、痛快グルメコメディ。

 コロナ禍以降、すっかりおなじみとなった“おひとり様グルメ”にスポットを当て、つぐみが大衆食堂や渋い居酒屋、焼肉屋でおいしい料理を満喫する。
第1話の町中華では、揚げたてのトンカツがトッピングされたカレーライスと餃子に舌鼓。続く第2話では、大衆食堂でしょうが焼肉定食、第3話の居酒屋では、炙りレバーとハイボールで一献。さらにタイ料理、焼肉、江戸前寿司、コース料理といったように、回を重ねるごとに“おひとり様”のハードルが上がっていくのもおもしろい。

 人情味あふれる店で、どこかノスタルジーを感じさせる料理を存分に味わい尽くす、つぐみの見事な食べっぷりからも目が離せない。

■『おいしい給食』

 2019年にスタートし、劇場版が2作品製作されるほどの人気シリーズへと発展したのが、市原隼人主演の異端のグルメドラマ『おいしい給食』(TOKYO MXほか)。“学校給食”がテーマの本作は、給食への並々ならぬこだわりを持つ教師・甘利田幸男(市原)を主人公に、同じく給食マニアの生徒・神野ゴウ(佐藤大志)と、果たしてどちらが給食を“よりおいしく”食べられるかを競う姿をハイテンションに描いている。


 作中には、物語の舞台が1980年代に設定されているため、当時中学生だったアラフィフ世代が共感できる、“給食あるある”が満載で、鯨の竜田揚げといったかつての給食の人気メニューやソフトめん、揚げパンなど懐かしいメニューが次々と登場。

 一際エモーショナルに給食に食らいつく主人公・幸男の姿を見ていると、学校で給食を食べていた“あの日”の甘酸っぱい記憶もよみがえってくる、そんな異色作だ。