若手女優の中でも屈指の演技派として定評のある高畑充希。4月期のドラマ『unknown』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)では、週刊誌のエース記者として昼夜逆転の生活を送る張り込みの鬼にして、その正体は吸血鬼の闇原こころ役で、ダブル主演の田中圭と共に本格ラブ・サスペンスに挑む。

取材現場に現れた瞬間から真っ赤な衣装で目を奪った高畑に単独インタビュー。31歳になり充実期を迎えた高畑の“unknown”な知られざる内側に迫った。

【写真】真っ赤なスタイリングが魅力的!高畑充希全身ショット

◆初共演・田中圭と臨むドラマのテーマは「隣にいる人をどう愛するか」

 共に引っ張りだこの人気俳優である高畑充希と田中圭。これまでに共演経験があって不思議でないが、意外にも今回が初タッグとなる。高畑の扮するこころは、田中演じる熱き交番警察官の朝田虎松と出会って次第に惹かれ合い、やがて結婚する。いきなりの夫婦役に、高畑は「恋愛関係を演じるには、初めての方のほうが気持ちが楽です」と即答。
「何度も共演したり、よく知っている人より、最初からその関係性でいられたほうがいい。たとえば去年兄弟役をやって、次に『今回はがっつり夫婦を』となると、なんだか逆に照れてしまいそうです」と、言われてみれば納得の理由を添えた。

 ちなみに、本作は今なお支持され続ける名作となった、『おっさんずラブ』の制作陣が再集結することも話題を集めるオリジナル作品となるが、高畑も『おっさんずラブ』は放送時に見ており、今回、改めて見直したとか。「あの優柔不断なキャラクターを愛すべき存在にする圭さんって、改めてすごいと思いました。ちょっとだらしなくすらあるんですけど、でも憎めない。ご本人の魅力も大きいんだと思いました」と称賛する。


 そんな田中と想い合う夫婦を演じるわけだが、まずもって高畑の役は“吸血鬼”。あらすじを見るに、物語はしょっぱなから、連続殺人事件へと発展する凄惨な殺人事件が発生し、さらに地域で慕われている交番警察官の田中の役も“実は誰にも言えない重い秘密を抱えている”という。そしてすべて出来上がっているという脚本は、考察ブームを巻き起こすに違いない内容に仕上がっているそうで、町田啓太、小手伸也、ファーストサマーウイカ、木野花、麻生久美子、吉田鋼太郎etc.と、芸達者で濃すぎるキャスト陣も加わり、情報量が多すぎて、どんな色合いの作品なのか、こちらにはまだ検討がつかない。

 高畑にヒントを尋ねると、「最終的には、“隣にいる人をどう愛するか”みたいな話かなと」とのこと。「多様性とか、いろいろ時代的な言い方はあるかもしれませんが、今、隣にいる人をどうやって幸せにして、自分も幸せでいるのか。文化が違ったり人種が違ったり、今回は吸血鬼という要素がありますが、結果的には、そういうお話なのかな、と思っています」と、人と人とを結ぶ“愛”についての物語だと口にした。


◆どれだけ感情的になっても、人格を否定する言葉は言わない

 では高畑自身が、恋愛に限らず、人と関係を築いていく上で大切だと思っていることは、何だろう。「そうですね」―わずかに間を空けたのち、高畑は「どれだけ近くても、人格を否定する言葉だけは言わないように気をつけています」と断言。「たとえば、『今されたこれが嫌だったな』といったことは伝えます。でもその人が言われて一番傷つく言葉は絶対に使わない。近しい人であればあるほど、ムカつくことだって多いですよね、どうしても。同時に、近くなれば、その人が何を言われたら一番傷つくかも分かるようになる。
それだけは絶対に使いたくないな、と思います」。

 それは、傷を知っているからこその言葉だ。

 「自分は言われたことがあります。それって、そのワードだけが何年も残っちゃうんです。前後のこととか全部忘れても、その言葉だけが残っちゃう。だから、どれだけ感情的になっても、そこは超えないように。
親しい人には特に。そう思います」と、静かに、しかししっかりと思いを語った。

◆もうちょっと自分に興味を持って、能動的な自分に出会っていきたい

 人との付き合い方にも強いポリシーを持つ高畑だが、キャリアを重ね、年齢も30代に入ったことで、自分自身を客観的に見つめられる時間も出てきているのではないだろうか。

 そう尋ねると高畑は自分を「ほかの人より、自分自身への興味が薄いかもしれません」と分析する。「だから、これからはもうちょっと自分に興味を持ったほうがいいのかなって。人に見ていただくお仕事ですし、もちろん気を付けている面もありますが、仕事や作品には強い興味があるんですけど、それは自分自身への興味とは違って…。
作品に熱中していると、自分のことは二の次、三の次になってしまうんです。どうでもいいやって」と告白。そして「それってあんまりいいことじゃないのかも」と思うようになったという。

 「このままだとあっという間に人生が過ぎていくぞと思ったんです。自分のことは好きなんですよ。でも仕事でゾーンに入ってしまうと、どうしても自分を労わるとか、かわいがってあげるといったことが抜け落ちてしまいがちで。だけど体力だけでいける年齢でもなくなってきたので、これからは自分のことももっと大切にしようと思います」。

 そのうえで「もっと能動的で行きたい」とも。

 「10代の頃は、もっと能動的だった気がします。それが、役に自分を持って行ってもらう感じが多くなっていた。もしくは、人がムーブメントを作ってくれるのを待っているところがあった。でも、役や周りの人じゃなくて、自分を主体として動いていきたい。今回のドラマ『unknown』もパワフルな方ばかりですし(笑)、私も、これからまた、能動的な自分に出会っていけたらと」。そうして前を向く高畑なら、これからも逡巡しながら、魅力ある女優として、“unknown”な面を次々と見せていってくれるに違いない。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)

 ドラマ『unknown』は、テレビ朝日系にて4月18日より毎週火曜21時放送。