『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』の公開を記念して、金曜ロードショーで『ゴーストバスターズ アフターライフ』が地上波初放送される。同作には、世界で大ヒットを記録&社会現象を巻き起こした1984年公開『ゴーストバスターズ』のオリジナルキャストの面々も登場! 今やお年を召した彼らの今をお届けしよう。



【写真】みんな若かった、、『ゴーストバスターズ』懐かし場面写真&近年のキャストの姿を見比べ

■ビル・マーレイ(ピーター・ベンクマン 役)

 心理学・超心理学の専門家で、隙あらば女性に声を掛けるお調子者。デートに誘った女性がゴーストに乗っ取られても全く動じないタフなハートの持ち主ベングマン。演じたビル・マーレイとレイ役のダン・エイクロイド、イゴン役のハロルド・ライミスは、それぞれ即興コメディ劇団セカンド・シティと『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』で名を馳せたコメディ畑の出身だ。本作でビッグスターの仲間入りを果たしたマーレイは、以来、大作、独立系と、規模の大小を問わずに活躍。ジム・ジャームッシュやソフィア・コッポラ、ウェス・アンダーソンといった作家性の高い監督に重用され、アンダーソン監督の『天才マックスの世界』(1998)ではインディペンデント・スピリット賞助演男優賞を獲得、コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』ではアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

 愛され俳優である一方、ややこしい俳優としても知られ、『チャーリーズ・エンジェル』(2000)ではルーシー・リューとのトラブルが取り沙汰されたほか、2022年には映画の撮影中に不適切な行為が告発され、調査のために撮影が中断、ジーナ・デイヴィスやセス・グリーンらからも過去のクレームが出ている。
それでも、これらの騒動もものともせず、2023年には『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でマーベル作品にも進出。この後もアンダーソン監督の新作ほか数本控えており、ベングマンもびっくりのタフさを見せつけている。

亡くなってからもCG出演! ファンに愛され続けている俳優は?

■ダン・エイクロイド(レイモンド・スタンツ 役)

 ゴーストバスターズのリーダーで、メンバーの中でも一番の実務家で常識派。だけど弱気で、ゴーストを見たらドキドキしてしまう、レイことレイモンド・スタンツを演じたのは、本作のクリエイターで、共同脚本を手掛けたダン・エイクロイド。多彩な才能の持ち主で、1989年の『ドライビング Miss デイジー』ではシリアスな演技を見せ、アカデミー助演男優賞に候補入り。ジョン・ベルーシと結成した音楽バンド「ブルース・ブラザーズ」は『SNL』で人気を博し、アルバムをヒットさせたほかグラミー賞にもノミネート、映画版も成功させている。


 その後は、親友でコラボレーターだったベルーシを亡くしたこともあり、80年代ほどのヒット作には恵まれなくなったものの、『マイ・ガール』(1991)や『スニーカーズ』(1992)、『パール・ハーバー』(2001)、『ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男』(2014)、そして2016年公開の女性版『ゴーストバスターズ』にもマーレイと一緒に出演。近年も、日本ではNetflixで配信の地元カナダのドラマ『ワーキングママ』に出演するなど、まだまだ活躍中だ。スクリーンの外では、ウォッカのブランド「クリスタルヘッド」を立ち上げたほか、音楽ホールやレストランを運営するHouse of Bluesを共同設立するなど、ビジネスマンの顔も持つ。

■ハロルド・ライミスさん(イゴン・スペングラー 役)※2014年逝去

 ゴーストバスターズきっての理論派で、ガジェットも自ら手掛けるイゴン。このクセ強キャラを演じたのは本作の生みの親、エイクロイドと共に脚本を手掛けたハロルド・ライミスさん。マーレイとのコラボで知られ、彼を主役に据えた『ボールズ・ボールズ』で監督デビューを果たし、『恋はデジャ・ブ』(1993)を大ヒットさせたが、同作の撮影中にまさかの決別。
名コンビ復活は叶わないまま、ライミスさんは2014年に69歳で、自己免疫炎症性血管炎の合併症のため逝去した。

 亡くなる直前、マーレイがドーナツの箱を手に彼の自宅を訪問、20年ぶりに和解したと伝えられている。他の監督作に、ロバート・デ・ニーロとビリー・クリスタル主演の『アナライズ・ミー』(1999)や続編『アナライズ・ユー』(2002)、ブレンダン・フレイザー主演の『悪いことしましョ!』(2000)などがある。コメディをけん引した人物の1人とされ、『ゴーストバスターズ アフターライフ』ではCG映像にて登場、今も本シリーズに欠かせない存在としてファンと関係者の心の中で生き続けている。

『エイリアン』『アバター』でもおなじみのベテラン女優は?

■シガニー・ウィーバー(ディナ・バレット 役)

 ゴーストバスターズ最初の顧客にして、ゴーストの被害者、そしてベンクマンが一目ぼれするディナ。演じたのは、『エイリアン』シリーズのエレン・リプリー役や『アバター』のグレイス・オーガスティン博士役で知られシガニー・ウィーバー。
『エイリアン』のイメージを払拭しようとコメディの本作に出演したといい、その甲斐あって、SFからコメディ、ドラマ、スリラー、アニメの声優と出演作は幅広く、役柄も音楽家(本作)に宇宙船の航海士(『エイリアン』)、政治家(『ポリティカル・アニマル』)、狂気の医師(『レディ・ガイ』)、スペイン女王(『1492 コロンブス』)、不倫妻(『アイス・ストーム』)と実にさまざま。

 1986年公開の『エイリアン2』でアカデミー主演女優賞に初の候補入りを果たし、1989年のアカデミー賞では『愛は霧のかなたに』で主演女優賞、『ワーキング・ガール』で助演女優賞と、Wノミネートされている。昨年は、Amazon Primeで主演ドラマ『赤の大地と失われた花』が公開、この後も『アバター』の続編3本ほか、アニャ・テイラー=ジョイとマイルズ・テラー共演の新作の公開が控えるなど、74歳にしてまだまだ役どころを拡大中。

■リック・モラニス(ルイス・タリー 役)

 ディナと同じマンションに住み、彼女に気があるものの、全く相手にされない会計士のルイス。演じたリックは他の男性陣と同じくコメディ畑の出身で、本作の後も『ミクロキッズ』や『バックマン家の人々』(共に1989)、『ジャイアント・ベビー』(1992)、『フリントストーン/モダン石器時代』(1994)などヒット作に出演。しかし人気絶頂のさなかに妻をガンで亡くしたことをうけ、1997年、育児に専念するために俳優業休業を宣言。


 その後は、アニメ映画『ブラザー・ベア』シリーズの声優やコメディアルバムのリリース、ファンコンベンションへの出席など、限られた仕事をしていたが、ついに2020年、ライアン・レイノルズと一緒にミント・モバイルのCMに出演してファンを歓喜させ、『ミクロキッズ』の続編『Shrunk(原題)』出演も発表! 『アフターライフ』に出演はしていないものの、同作は2024年公開予定なので、あのとぼけた彼をまたビッグスクリーンで観る日も近そうだ。

 オリジナルの公開から早40年。それぞれが歩んできた道は違えども、『ゴーストバスターズ』の魅力は色あせないまま! 続編となる『ゴーストバスターズ アフターライフ』、そして『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』は、オリジナル版のアイヴァン・ライトマン監督から息子のジェイソン・ライトマン監督にバトンが渡り、キャストも世代交代を感じさせるが、オリジナルメンバーもしっかりバックアップ。ぜひぜひ続編2本で、オリジナルメンバー3人の今をチェックしてみてほしい。(文:寺井多恵)

 映画『ゴーストバスターズ アフターライフ』は、3月29日21時より『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて放送。