寒さもようやくやわらぎ、新生活が始まった人も多いこの時期。テレビ界でも、注目のドラマが続々とスタートしている。

今期は、オリジナル作品が豊作の予感。石原さとみの連ドラ復帰作となる“20年の時をかけた”サスペンスに、バカリズムと篠原涼子がバディを組むコメディ、そして“ラストイヤー”な3姉妹をめぐるヒューマンラブストーリーなど、今まで見たことがない作品に期待せずにはいられない。本記事では、クランクイン!が選んだ期待の春ドラマ3作品を紹介する。

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■石原さとみ×亀梨和也 ミステリアスなサスペンスラブストーリー『Destiny』

 まず紹介したいのは、石原さとみ3年ぶりの連ドラ復帰作となる4月9日スタートのドラマ『Destiny』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)。『Dr.コトー診療所』(フジテレビ)の脚本を手がけた吉田紀子が紡ぐオリジナルサスペンスラブストーリーで、石原は初の検事役に挑む。

 主人公は横浜地方検察庁中央支部の検事・西村奏(石原)。
中学生の時、検事の父を亡くしたことをきっかけに、母の故郷・長野県に移り住み、そのまま地元大学の法学部に進学。そして、そこで出会った4人の仲間と共に、司法試験に向け苦楽を共にする一方、恋に、けんかに、友情に…と、キャンパスがある長野の雄大な自然に包まれながら、生まれて初めての「青春」を満喫し、その絆を深めていた。しかし、司法試験資格のためのロースクール入試を間近に控えたある日、事件は起こる。ある人物の死―。それが彼らの運命を大きく狂わせていった。

 それから12年の月日が流れ、舞台は長野から横浜へ―。
35歳、念願の検事になって6年。そんな奏の前に、「あの」事件以来、消息不明だった同級生・野木真樹(亀梨和也)が現れ、再び“過去”と向き合うことに…。封印したはずだった青春時代の「光と影」。あらがえない運命の中でも自分の意志を貫いて突き進む奏の姿を描く、20年の時をかけたサスペンスラブストーリーが幕を開ける。

 事前に公開されているビジュアルは、石原と亀梨が美しくもミステリアスな雰囲気を携えたショットに。「時をへて、愛は、歪む」というキャッチコピーも添えられ、早くも内容が気になってしまう。
また主人公の大学時代の仲間には、宮澤エマ、矢本悠馬、田中みな実がキャスティング。亀梨と田中は交際中との報道もあり、2人のドラマ共演にも大きな注目が集まっている。

■篠原涼子×バカリズム 犯人役ゲストにも注目のミステリーコメディ―『イップス』

 続いて紹介するのは、篠原涼子とバカリズムがダブル主演する4月12日スタートのドラマ『イップス』(フジテレビ系/毎週金曜21時)。イップスとは、心の葛藤により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼし、「できていたことができなくなってしまう」心理的症状のことを指す。

 完全オリジナルストーリーとなる本作は『古畑任三郎』(フジテレビ系)などをほうふつとさせる倒叙式の構成となっており、多彩な顔ぶれとなる犯人役で毎話ゲストが登場する予定だ。今作でバディを組む篠原とバカリズムは、映画『ウェディング・ハイ』(2022年)で脚本家と主演としてクレジット共演していたが、出演者同士としての共演は初。


 本作は、“書けなくなった”ミステリー作家・黒羽ミコ(篠原)と、“解けなくなった”警視庁捜査一課刑事・森野徹(バカリズム)の絶不調コンビが事件を解決していくミステリーコメディー。

 デビューからベストセラーを連発して人気作家の仲間入りを果たしたミコだったが、現在はワイドショーのコメンテーター業を本業並みにこなす日々。一方の森野はあることをきっかけに検挙率が右肩下がりになり、事件が解けなくなっていた。2人は、過去の経験やプレッシャーによって普段できていたことが急にできなくなってしまうイップスを抱えていたのだ。

 そんな絶不調な2人が偶然出会い、殺人事件に遭遇することであれよあれよとバディを組むことに。ミコは「小説のネタが拾える」「生の死体見るの初めて」と事件に興味津々。
対する森野は捜査に身が入らない中でも、刑事としての鋭い洞察力を見せミコと共に真相に近づいていく。2人の捜査から犯人の目星はつき、容疑者本人に問い詰めようとするが森野のイップスが発動してしまって…。

 第1話では、トリンドル玲奈が犯人役でゲスト出演することが発表されている。魔法ステッキがトレードマークで“熱波界の魔法少女”をうたう熱波師・電撃ウィッチ麻尋。ショーのような派手な演出を得意としており、タオルで熱風を送る「熱風ライディーン」が特技、というトリッキーな役柄。そんな彼女が犯してしまう“罪”を、イップスを抱える2人がどう追い詰めるのか注目だ。


■19歳、29歳、39歳――「大台」前のラストイヤーな3姉妹描く『9ボーダー』

 最後に紹介するのは、川口春奈が主演するドラマ『9(ナイン)ボーダー』。TBS系にて4月より毎週金曜22時放送だ。本作は、19歳、29歳、39歳と、いわゆる「大台」を迎える前のラストイヤー=「9ボーダー」真っただ中の3姉妹が、父の突然の失踪を機に一つ屋根の下に集結。「LOVE」「LIFE」「LIMIT」の“3L”をテーマに、モヤモヤや焦りを抱え幸せになりたいともがきながら人生を前向きに進んでいく姿を、完全オリジナルで描くヒューマンラブストーリー。

 川口が演じるのは、自身と同じ29歳の主人公・大庭七苗。3姉妹の次女である七苗は大庭家一のしっかり者で、母がいないこともあり幼い頃から家を切り盛りしてきた。勤めている飲食業のトータルプロデュース会社では仕事ぶりを評価され、最年少で副部長に抜てきされるが、自分が仕事に一生懸命だった間に元彼や友人たちはちゃっかり結婚や出産をしていて心がかき乱される。

 いつも明るく猪突(ちょとつ)猛進な大庭家の39歳の長女・成澤六月を演じるのは木南晴夏。六月は直感や思いつきで行動しがちな大庭家随一の“とんでも娘”。大学卒業以来気の向くままに世界を渡り歩いていたが、海外で出会ったフリーカメラマンと結婚するため突如帰国し、家計を支えるべく公認会計士に転身。しかし現在は夫の浮気が原因で4年もの間別居生活を送っている。

 畑芽育が演じるのは、大庭家の19歳の三女・大庭八海。年の離れた末っ子ゆえ、家族の愛情を一身に浴びて育つも、どこか低体温の八海。夢も特になく、今は浪人生という名目で実家に居座っている。目標を持って人生を歩む同級生たちを見て焦りを募らせる中、気持ちを紛らわすために始めたマッチングアプリで出会いできた彼氏から交際0日婚を申し込まれる。

 各世代からリアルな演技に定評のある女優3人が集結する『9ボーダー』。“年齢”に焦点を当てた本作だが、誰しも「大台」を前に多かれ少なかれ焦りや不安を感じるもの。現在19歳・29歳・39歳の視聴者にはもちろん、「もうすぐ」な人も「乗り越えた」人にも“刺さる”こと間違いなしではないだろうか。

 ドラマ『Destiny』はテレビ朝日系にて4月9日より毎週火曜21時放送。『イップス』はフジテレビ系にて4月12日より毎週金曜21時放送。『9ボーダー』はTBS系にて4月19日より毎週金曜22時放送。