中国アニメーション映画『傘少女 精霊たちの物語』日本語吹き替え版公開記念舞台あいさつが20日に開催され、主人公の傘に宿る精霊・チンダイ役の石見舞菜香、小剪子(コバサミ)役の上絛千尋が登壇した。

【写真】石見舞菜香&上絛千尋 イベントの様子

 映画上映後、割れんばかりの拍手の中、ステージに登場した二人。

まだ映画の余韻に浸っている様子の観客を見渡した石見が「皆さんは今、本編をご覧になった直後ということで。本当に絵が美しい作品だなと思われたと思うんですが、この大スクリーンで映画を堪能された皆さんと一緒に作品のお話を共有できるのを楽しみにしております」とあいさつ。

 そして上條も「今日はとても緊張していて。楽しみにもしていたんですが、今日はしっかりと作品の魅力を語れるようにがんばりたいと思います」と続けた。本作で石見が担当するのは、青唐傘に宿る付喪の精霊チンダイ。この役のオファーについて「普段、吹き替えのお仕事をさせていただく機会がそこまで多くないんですが、チンダイは主人公ということで、非常に責任重大だなとドキドキしたのを覚えております」と振り返ると、「でも資料をいただいて、映像や台本を見た時も、とにかく驚くほどに美しい映像と、それと音がすごく綺麗で。そういうところにも一気に引き込まれたので、本番はがんばろうと気合が入りました」と明かした。

 一方の上條も「わたしもとにかくうれしい! という気持ちが一番で。アニメーションの映画で、これほどまでに出番やセリフをいただくのは初めての経験でした。だから身の引き締まる思いでした」と語ると、「あとはやはり共演するキャストの皆さんが本当にすごい方々ばかりなので。がんばらなきゃなと思い、いい作品を仕上げなければと本番まですごくドキドキしながら練習を重ねていました」と振り返った。そんな上條に対して石見が「実はアフレコの時は、一緒に録ることができなかったんで、今日、こうしてイベントのステージに一緒に立っていられることが本当にうれしいです」と微笑みかけると、上條も「わたしもうれしいです」と笑顔を見せた。


 本作の卓越したビジュアルと色彩感覚は、ふたりを大いに魅了したようだ。石見が「先ほどから言っていますが、本当にきれいなアニメーションがすごいなと思いましたし、色使いが本当にきれいで、私の好みでした。しかも映画という長い尺なのに、ずっと美しいまま、というのも本当にすごいこと。あとは小道具も本当にキラキラしていてオシャレ。そういうのを見ているのも楽しいなと思いました」と語ると、上條も「はじめて映像を観た時は、普通に映画を楽しんでしまって。本当に細やかに表現されている絵がものすごくきれいでした」と作品の持つ映像の求心力について語った。

 本作のモチーフとなったのは、“モノ”に宿る「精霊」たちだ。彼らを演じる上で、二人はどのようなアプローチをとったのだろうか。平和を象徴する青唐傘の精霊・チンダイについて石見は「チンダイちゃんは平和の象徴ということで、心根は優しい子だと思うんですけど、精霊というのは、ご主人様の望みが彼らの使命。つまり自分の意志で動くというよりは、その使命のために動く、ということもあって。なかなか自分で動くことが難しいキャラクターだと思うので。だからこそ自分の色を出すというよりは、どこか精霊さんならではの不思議な存在感を大切にしました。
そしてはかなげな中にも、自分の芯の強さというのがにじみ出てくるように、原音の息遣いを感じ取りながら表現させていただきました」と述懐。

 さらにチンダイの魅力について、「精霊にとって一番大切なのはご主人からの使命ですし、その使命を全うできないと自分が消えてしまうおそれがある中で、それでも大切な人のために一度引くことができる。そうやって相手を優先できる優しさがあるのは、すごく魅力的なキャラクターだなと思います。それと普段は真面目な子なんですが、ちょこちょこ見せる表情が綻ぶ瞬間は、観ていてすごく可愛いなと思いましたね」と愛着を滲ませた。

 一方、手のひらサイズの小さな精霊・コバサミを演じた上條は「コバサミちゃんは、小さいながらも、すごくエネルギッシュ。喜怒哀楽がハッキリしていて、怒る時は怒るし、泣く時は思い切り泣くということを素直に演じようと思いました。あとはチンダイとモーヤンの旅に勝手についていっちゃうような子なんですが、そこでふたりをしっかりとサポートできるように、その場をパッと明るくさせるようなキャラクターを意識して演じました」と続けた。

 そんな本作のアフレコについて石見は、共に収録を行った先輩声優梶裕貴への絶大な信頼を示した。「アフレコは梶さんと二人だったんですけど、とにかく梶さんの頼もしさがすごくて。わたしはドキドキしながら現場に入ったんですけど、そんなわたしをお芝居で引っ張ってくださるような、そんな安心感がある環境で収録することができました」と述懐。

 さらに普段、無音状態で行われることの多いアニメのアフレコ現場と違い、すでに原音のセリフや効果音などが入った音響を聞きながらの収録となったことに、「わたしはけっこう効果音が好きで。途中でかんざしを直す時の音が入っているんですけど、その音がめちゃくちゃ好きで。
わたしは普段から心地いい音が鳴る動画を聴いて寝たりするくらいの『音フェチ』なので。そういうのは収録の時から楽しんでいましたね」と述懐。とにかくそのかんざしを修復するシーンの音に魅せられたとのことで、「実はあのシーンの動画データをいただいて、お家で30分間、延々とリピート再生してしまったくらい大好きで。名場面がたくさんあるこの映画の中でも、私の脳裏に焼き付いているのはこのシーンでした」と力説するひと幕もあった。

 一方の上條は、石見や梶が演じるクライマックスの収録を見学していたという。「ちょうどロビーにもその映像が流れていたので、見させていただいたんですが、本当にすごいと思って。とにかくラストシーンがすごくせつなく、はかなく、泣けるシーンだったので。そこからグッと思いが高まって。自分もがんばろうと思いました」という。

 とにかくせつなく泣けるというラストシーンについて熱く語ったふたり。そんな中、ふと思い立ったように「皆さんはどこが一番印象に残ったんですか?」と観客に逆質問。その流れから急きょ観客の感想を聞くコーナーが設けられることとなった。


 すると観客の一人が手を挙げて、クライマックスにおけるモーヤンの“せつない選択”について、涙ながらにせつせつと訴えかけた。この熱のこもった感想に石見も「本当にそうですよね……」と深くうなずくと、「だって約束したじゃん! って気持ちになりますよね。分かります、本当に分かります……」とかみ締めるようにコメントした。

 続いて指名された二人目の観客は、感極まった声で熱弁を振るう。「自分も最後、泣きそうになりました……というか、完全に泣きました。それとエンドロール後のメッセージで、『例え日があたらなくても、自らが輝けばいい』という言葉がすごく印象的で。作品もそうなんですけど、キャラクターも魅力的な映画。今年一番の映画になりました!」そんな最大級の賛辞を直接受け取った石見と上條は慨深げな表情を浮かべ、観客に感謝の思いを寄せていた。

 映画『傘少女 精霊たちの物語』日本語吹き替え版は公開中。

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