7日からの金曜ロードショー(後9時)は毎夏恒例の”ジブリ祭り”。第1弾の7日は「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)がノーカットで放送される。

 物語の主人公は、古い屋敷の床下に住み、生活に必要なものを人間から”借りて”暮らしている小人一家の少女・アリエッティ。好奇心旺盛な彼女は、「床上の世界」を冒険していたある日、住んでいる屋敷に病気療養のためにやって来た少年・翔に姿を見られてしまう。

 小人たちにとって、絶対の掟(おきて)である「人間に見られてはいけない」を破ってしまったアリエッティ。だが、翔との間にはやがて、不思議な絆が生まれていく。一方で、掟を破ってしまったことでアリエッティ一家には徐々に変化が起こり始める…。

 メガホンを託されたのは、当時ジブリ作品史上最年少の36歳だった米林昌宏監督。ファンにはおなじみだが、「麻呂」のニックネームで呼ばれている。「千と千尋の神隠し」のカオナシを見た宮﨑駿監督が「そっくり」と声を上げたという話があると同時に、「ジブリでいちばんうまいアニメーター」とも呼ばれていた。

 そのニックネームからも分かるように、見た目や話し方はおっとりした感じではあるが、周囲に流されることの無い、強い意志の持ち主でもある。2作目の監督作となった「思い出のマーニー」(14年)は、ジブリ映画としては宮﨑監督と高畑勲監督の「両巨頭」が関与していない初の作品となったが、当時米林監督は「宮﨑監督のカラーが出ない作品を作ることを最大のテーマとしていた」と言い切っていた。

 監督デビュー作の本作でも、片鱗をのぞかせている。それが端的に表れていると記者が感じるのが、アリエッティがドレッサーの前で髪をとかすシーンだ。

公開当時のインタビューでは、「どうしても入れたかった(シーン)」と告白。「色気とかを出せるんじゃないかと思ったんですよね。宮﨑さんは、絶対にこんなシーンを作らないと思うし」と話していたのが印象的だったが、少女から女性に”変身”していく時期のアリエッティを描くのに必要不可欠なシーンになったと考えている。

 声優を務めたのは、アリエッティがジブリ作品どころか声優に初挑戦だった志田未来。逆に翔の方は、”常連”の神木隆之介。短編も含めれば、ジブリ作品は5度目の登場だった。神木はスタッフが「隆くん」と呼んでいるほどのお気に入りの存在で、鈴木敏夫プロデューサーによると、スタッフは神木のカレンダーの写真を見て翔の絵を描いていたという。まさに当て書きならぬ「当て描き」だった。

 2人は共に「天才子役」と呼ばれ、若い頃から活躍していたが、実は同学年。本作が公開される4年前の06年に単発ドラマが放送された後、翌07年に連ドラ化された日テレ系「探偵学園Q」で主人公とヒロインを務めている。息ぴったりの名演技を楽しんでもらいたい。(高柳 哲人)

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