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葵が芸能活動を始めたのは小学5年生の時。「テレビに出たい」と思ってオーディション用の写真を撮りに原宿へ行ったときに、現所属事務所にスカウトされた。
2013年には『陽だまりの彼女』で映画初出演。ヒロイン・上野樹里の中学生時代を演じた。撮影中に不安がっていたところ、主演の松本潤から「自分はデビューの日にスケスケの衣装だったけど頑張った。君も絶対大丈夫」と励まされて救われた、というエピソードを舞台挨拶で披露、会場を爆笑の渦に。このコメントは多くのメディアで紹介された。
女優活動の一方、2012年からはアイドルグループ「乙女新党」のメンバーとしても活躍。2014年に卒業してからは本格的に女優として活動し、2016年には『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~』で初の本格的な連続ドラマ出演、『女優堕ち』で初のドラマ主演、『ホラーの天使』で映画初主演、『舞え!KAGURA姫』でドラマ初単独主演など飛躍の年となった。
もともと制服姿の役が似合う瑞々しい存在感が魅力だったが、昨年頃から役柄の幅を広げ演技力に磨きをかけている。『女優堕ち』では、少女時代から大人になり売れっ子女優に成長した姿まで年齢幅を器用に演じた。
昨年末には「失敗することもあるかもしれないけど、恐れずにどんどん変化していきたいなと思います」と意志の強い瞳で語っていた。今年公開の映画『サバイバルファミリー』ではギャル役で、サバイバル生活を通してどんどん汚れていく様も体当たりで演じた。 ここまできわめて順調な女優活動に見える葵。今回の朝ドラも2378名の中からヒロインに選ばれたが、約7年の芸能活動の中でオーディションに落ち続ける時期も経験した。「オーディションって難しい。想像だにしなかった時に受かるかこともあるし、ほんとに何が正解なのかわからないですね」とかつては語っていた。
現在18歳。その素顔は今どきの10代とは一味違う個性を持っている。まず宝塚歌劇の大ファン。かなりマニアックで、一人で劇場に足を運ぶことも多いという。知識も相当なもので、取材の合間に宝塚トークが始まると止まらなくなる。また、お茶など和のテイストのアイテムや昭和的な街並が好きという。
外見的に幼く見られがちだが、理知的で大人っぽく、インタビューなどで話す内容も理路整然としている。昨年末の地盤ネットのCMの発表会見では大人びた会話と振る舞いで、共演の神保悟志、エド・はるみを感心させた。インタビューや会見で話す分には緊張しないようだが、前述の舞台挨拶のような大きな舞台に立って大勢の観客を相手にしゃべるときは緊張すると以前語っていた。
だが、先月の『サバイバルファミリー』の舞台挨拶では、主演の小日向文世、深津絵里ら錚々たるキャストが並ぶ中で、「映画のキャンペーンを通して喋りが上手くなった」と矢口史靖監督からの指名で、キャストを代表して締めの挨拶をした葵。「すべてがなくなった時に見えてくる、本当に大切なものがみなさんに伝わったらと思います」と、しっかりとしたコメントで締めくくった。「大勢の人の前で話すのは緊張します」と話していた少女の姿はそこにはなかった。
この春高校を卒業し、4月からは慶應義塾大学総合政策学部への入学が決まっている。いきなり朝ドラの長期撮影と学業の両立で苦労することになりそうだが、その意志の強さとクレバーさで乗り越えることだろう。(文:田中裕幸)