2日に行なわれた漫才日本一決定戦『M‐1グランプリ2018』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を制したのは、26歳のボケ担当のせいやと25歳のツッコミ担当の粗品からなる20代のコンビ霜降り明星だ。2人は共に小学生、高校生という10代の頃から人前で漫才を披露していたという。


【写真】『M‐1グランプリ2018』激闘の様子

 エントリー既定が結成15年以内の本大会。後藤淳平福徳秀介からなるお笑いコンビジャルジャルは、今年がラストチャンス。最終決戦まで進出し、優勝にあと一歩のところまで迫ったが、3位という結果で自身のM‐1での戦いに幕を下ろした。さらに昨年の準優勝で、今年も優勝候補筆頭に挙げられていた水田信二川西賢志郎からなるお笑いコンビ和牛は、最終決戦で審査員7人から3票を獲得し、あと1票入れば優勝というところまで迫ったが、3年連続準優勝という結果に。

 ほかにも、よしもと芸人以外で唯一の決勝進出を果たし、完全アウェイの中で輝きを放ったトム・ブラウン(布川ひろき・みちお)、同日行われた敗者復活戦からはい上がった兄弟漫才師・ミキ(昴生・亜生)が4位に食い込むなど、笑いと涙、感動と奇跡がふんだんに詰まっていた今大会。そんななか、最後に歓喜を浴びたのは、審査員のナイツ塙宣之から「よしもとの宝」と絶賛され、同じく審査員のダウンタウン松本人志に「(優勝)トロフィーのシルエットが2人のまんま」と言わしめた20代の2人だった。

 よしもと芸人は、NSC(吉本運営のタレント養成所)卒業からプロに転向する者が大半だが霜降り明星はNSC卒ではない。お笑いの会場で出会い、2013年にコンビを組んだ異端児だ。

 せいやは、幼少期からの漫才好きで、小学6年生のときに同級生の当時の相方とNHKで漫才を初披露している。この番組で司会を務めていた陣内智則から、「おまえら、ビッキーズ(木部信彦と須知裕雅からなるお笑いコンビ。2007年解散)よりオモロイで」と声をかけられたほど、腕は確かだった。 対する粗品は、高校生のときにアマチュア芸人として始動。
「高校生お笑いNo.1」を決めるイベント「ハイスクールマンザイ2009」で決勝戦に進出し、才能を開花させた。その後、関西の名門・同志社大学を中退してまで芸の道にまい進する。

 ピン芸人日本一決定戦『R‐1ぐらんぷり』では、6度も準決勝戦まで進んでおり、今年の大会でようやく決勝戦の舞台に立てた。その夢舞台に、敗者復活ステージから勝ちあがってきたのは、なんと相方のせいや。2人は優勝こそ逃したが、大会史上初となるコンビそろってファイナリストという快挙を成し遂げた(同じグループから2人の決勝進出者が出るのは、2004年大会に5人組お笑いユニットのザ・プラン9からヤナギブソン浅越ゴエが進出して以来14年ぶり)。その年の終わりを第14代M‐1王者という偉業で締めくくり、霜降り明星はデビュー6年目にして跳躍のときを迎えた。

 なお、せいやは今春、女性ピン芸人・ゆりやんレトリィバァから本気の求愛を受けている。ゆりあんといえば、今月10日に開催される『女芸人No.1決定戦 THE W』ファイナリストで、昨年大会の初代女王。せいやには、交際1ヵ月となる外科医の本命彼女がいるため、この先もゆりあんと男女の関係に発展する可能性は今のところゼロだが、クイーンの男を見る目は本物だったようだ。

 そんなせいやは現在、芸人5人でルームシェア中。リビングルームのおよそ1畳が彼のスペースで、支払う家賃は1万円とのこと。在学していた近畿大学の奨学金400万円を返済中だ。
粗品も同じく借金を抱える身。今回の優勝賞金で、一括返済の夢が現実のものとなった。

 今年、R‐1決勝の舞台にそろって立ったことで話題をさらい、M‐1では約4000組の漫才師の頂点に立った2人。平成最後のミラクルボーイ・霜降り明星が2019年の漫才界を席巻する。(文:伊藤雅奈子)
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