【写真】実は自身とは「共通点が少ない役」 福地桃子演じる夕見子
夕見子の反響について福地は「6月8日に行われた北大祭に参加させていただいたのですが、1000人近くの方が集まってくださり、温かいまなざしで迎えてくれました。(夕見子は劇中、北海道大学に合格したという設定なので)北大の先輩という立場で行かせてもらったのですが、多くの人が作品を応援してくださっていると実感できた時間でした」。
その際「次はいつ出るんですか?」という声をたくさん聞いたという福地。第14週(7月1日~7月6日)から再登場し、第16週(7月15~20日)では、恋人と共に東京に駆け落ち。なつたちを引っ掻き回す役割を担う。福地は「台本を読んで、夕見子らしい登場シーンだなとしっくりきました」と夕見子ファンにはうれしい発言をすると「東京編に新しい波を起こせるような存在になれたらいいなと思っています」と意気込みを語った。
劇中夕見子は、思ったことをすぐに発言し、自らの道を突き進む強いキャラクターだ。その影響で福地自身も気の強い女の子だと思われるそうだが、実際は「共通点が少ない役」だという。最初に台本を読んだときは「皆さんの中でもそう感じていた方も少なくないのかなと思いますが、家族に対してデリカシーがないような発言をする夕見子の気持ちを理解するのに悩んだ時期もありました」と胸の内を明かす。
しかし、クランクインして柴田家のシーンが続き、家族に囲まれた時間を過ごしているうちに、夕見子という視点でとらえられるようになったという。「自然体で身を任せて演じてみよう」と切り替えたことで気持ちが楽になった。
前述したように、第16週で恋人と駆け落ちして夕見子は東京にやってくる。福地は「夕見子らしく引っ掻き回しますよ」といたずらっぽい笑いを浮かべると「良い意味でも悪い意味でも夕見子は真っすぐな女の子なので、自分が突拍子もない行動をとっている自覚がないんだと思います」と本質に迫る。夕見子というキャラクターを通して「思い切って発言し、行動する勇気の大切さを感じてもらえれば」と語っていた。 福地にとって連続テレビ小説は3度目のオーディションで勝ち取った役柄だ。「初めてオーディションを受けたとき、スタッフの皆さんと直接お話をさせていただきました。そのとき、作り手の緊張感を肌で感じさせてもらったことが印象的でした。そのことがきっかけで、連続テレビ小説はひとつの目標になりました。時間がかかってもいいからいつか携わりたいと思うようになりました」。
やっとの思いでつかんだ『なつぞら』。
「こんなに長い期間、同じ作品で同じ役を演じることができるのは貴重な経験」と語った福地。それだけに、できるだけ多くのことを吸収できるように、すべてを開放しようと心がけている。しかし「自分の力不足を常に感じます」とまだまだこれからであることを強調すると「いまは入り口に立ったという気持ち。この経験を無駄にしてはいけないという使命感もあります」と前を向く。「撮影が終わったとき、何か新しいものが生まれてくれればいいな」と未来に思いを馳せる姿に、夕見子のような頼もしさを感じた。(取材・文:磯部正和)