これまで、一癖も二癖もある役柄に果敢に挑み、高い評価を受けてきた女優・森川葵。そんな彼女が、2018年に放送されたドラマ『賭ケグルイ』では、非常に感情の高低差が大きなキャラクター・早乙女芽亜里を演じ、視聴者に強いインパクトを与えた。

あれから3年、『賭ケグルイ』は映画、ドラマと作品が続き人気シリーズに。そして今年、満を持して『賭ケグルイ双(ツイン)』で森川は主演を務めることになった。『賭ケグルイ』という作品との出合いは、彼女にどんなことをもたらしたのだろうか――。

【写真】芽亜里の“決めポーズ”を再現してくれた森川葵 ツインテールがかわいい『賭ケグルイ双(ツイン)』場面写真も

■芽亜里との共通点「褒められると調子に乗ってしまう」

 森川演じる早乙女芽亜里は、ツインテールのビジュアルで、浜辺美波ふんする主人公・蛇喰夢子が転校してくるまでは、かわいらしいルックスと頭の回転の速さでクラスのトップに君臨していた。しかし夢子の登場によりペースを乱され、徐々に内に秘める破天荒さを見せるという、個性的なキャラクターだ。

 そんな芽亜里が夢子と出会う前日譚を描いた連続ドラマ『賭ケグルイ双(ツイン)』。
物語の主人公として作品に戻ってきたが、森川は「これまでの芽亜里は、突き抜けた感じで、自分を中心に世界が回っていると思っているような女の子でしたが、実は周囲の人を大切にできる優しい女の子ということがこのドラマでは分かると思います」と新たな面が見られる作品になっていることを強調する。

 感情の起伏が激しい個性的なキャラクターの芽亜里とも3年の付き合いになる。森川は「芽亜里は褒められると調子に乗ってしまうところがありますが、実は私もそうなんです」と笑うと「逆に怒られるとシュンとなるところも似ているかも」と共通点を述べる。

■英勉監督のムチャ振りで身についた瞬発力

 その意味で、「褒めまくってくれた」という英勉監督の現場で、森川は伸び伸びと芝居ができた。それは主演として臨んだ本作でも同じだと言う。「座長のプレッシャーはまったくなかったです」とあっけらかんと言うと「もちろんこのドラマから新しいメンバーも参加しているので、どうやって『賭ケグルイ』の世界にすんなりなじんでもらえるかは考えましたけれど、そもそも私にはそんな役割は無理だし、とにかく現場が楽しくなれば…という思いだけでした」と撮影を振り返る。


 肩の力を抜いて臨めた現場。そこには英監督の独特の演出もある。本番直前にボソッと思い付いたアイデアを、耳元でささやく。森川も「とにかく英監督のスタイルってほかの現場では経験したことがないことばかり。ムチャ振りではないですが、急に思い付いたことをいろいろやらされるんです(笑)。自然と瞬発力みたいなものは身に付いたかもしれません」と笑う。
■『賭ケグルイ』で得た度胸「もうどんな現場に行っても大丈夫!」

 2018年に連続ドラマが始まった時点では「まさか『賭ケグルイ』という作品がこんなに大きくなるとは思わなかった」と正直な胸の内を明かすと「作品だけではなく、芽亜里というキャラクターも愛していただけました。これまでいろいろな作品で、さまざまなキャラクターを演じてきましたが、私自身にとっても芽亜里はとても重要な出会いでした。作品を重ねるたびに、芽亜里に対する愛情は強くなっています」と語る。さらに森川は「『賭ケグルイ』で芽亜里を演じられるのは『私しかいない』という自信はあります」と言い切る。

 しっかり芽亜里を演じられたことは、森川の女優人生にとっても、非常に大きなターニングポイントになった。「芽亜里ってとにかくワーってなって、はっちゃけるところははっちゃけるのですが、シリアスな部分はとことん深い。
こんなにスイッチの切り替えがはっきりしている役を演じたことがなかったので、どこまでやっていいのか不安だったんです。でも先ほども話しましたが『やり過ぎちゃったかな』と思っても、とにかく英監督が褒めてくれる。『あー私、何やってもいいんだ』って思えました。もうどんな現場に行っても大丈夫!」と度胸という大きな武器を手に入れた。

■“みーたん”浜辺美波が「ご飯一緒に行きたいよ~」

 浜辺や、鈴井涼太役の高杉真宙との関係性も、この3年間で変化があった。ドラマのファーストシーズンが始まったときは「3人で話すことは、ほぼなかった」と距離があったことを明かすと「でも最近また撮影で一緒になったときは、コロナ禍で行けませんでしたが、みーたん(浜辺)が『ご飯一緒に行きたいよ~』って言い出したんです」と裏話を披露。


 「最初のころだったら絶対そんなこと言わなかったので、『随分近くなれた』ってうれしくなりました」と語る森川。近くなった関係性は芝居にも出ているようで「相手に任せることもできるし、こちらから仕掛けてもしっかり受け止めてくれる。すごく安心感があるので、以前よりも良い芝居ができていると思います」と自信をのぞかせる。

 「もう少し若ければ、もっと長く芽亜里という役を続けられるのかもしれないですけれどね」とやや自嘲気味に笑っていた森川だが、まだまだツインテールの早乙女芽亜里を見たいと思っているファンはたくさんいるだろう。(写真:曽我美芽)

 ドラマ『賭ケグルイ双(ツイン)』は、Amazon Prime Videoにて3月26日より毎週金曜に2話ずつ独占配信中。