長年不仲だった漫才コンビ「おぼん・こぼん」の和解が先日話題になったが、世界にも不仲セレブがいる。住む世界は違えども、職場の人間関係の悩みは誰にでもあるものだ。

今まさに話題のホットな不仲共演俳優から、往年の大女優同士の強烈な確執まで、世界の“おぼん・こぼん”事件簿をご紹介しよう。

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★『ワイルド・スピード』ヴィン・ディーゼル VS ドウェイン・ジョンソン

 今ハリウッドで最もビッグな不仲セレブと言えば、人気カーアクション映画『ワイルド・スピード』シリーズで共演したヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンだろう。

 ヴィン主演・製作の『ワイスピ』シリーズに、ドウェインは第5弾から4作連続で出演。演じるホブスは人気キャラとなり、ジェイソン・ステイサムとダブル主演のスピンオフ『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)も公開された。

 しかし2016年、シリーズ第8弾『ICE BREAK』(2017)の撮影中に、ドウェインがフェイスブックで「あまりにも臆病で、結局何もしようとしない。意気地なしだ」(現在は削除)と、ヴィンを痛烈に批判。2人の不仲が露呈した。

 同作の公開時には和解が報じられたが、収束している気配はなく、以来、厳しく当たったのは役作りのためだったと、ヴィンがもっともらしく明かしたり、それをドウェインが一笑に付したりと、双方チクチクと応戦中だ。つい先日は、今後『ワイスピ』には出演しないと宣言したドウェインに対し、ヴィンがSNSで出演を公開依頼。今後の動向に注目が集まる。

★『SATC』サラ・ジェシカ・パーカー VS キム・キャトラル

 一方、不和の果てに再共演が実現しなかったのが、人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のサラ・ジェシカ・パーカーとキム・キャトラルだ。本作は、NYに暮らす4人の独身女性たちのセックスライフを赤裸々に描き、女性たちから絶大な支持を得た作品。
サラ・ジェシカとキムは、6シーズンに渡って親友を演じてきたが、画面の向こう側では事情が違ったようだ。

 不仲がささやかれ始めたのは、ドラマがファイナルを迎えた2004年。エミー賞で、サラ・ジェシカや他のキャストと離れ、キムが別に座っているのが目撃された。しばらくの間は少なくとも表面上穏やかだったものの、映画版『セックス・アンド・ザ・シティ2』(2010)の撮影中に不仲説が再浮上。それを裏付けるように、映画版第3弾は、キムが出演を拒んだために実現しなかった。

 決定的になったのは、2018年。キムの弟が亡くなった際、サラ・ジェシカからのお悔やみを、「今あなたからの愛やサポートは必要ない。家族でもなければ友達でもないわ」と拒絶。インスタグラムに投稿されたそのメッセージは今もしっかり残されている。

 ファン待望の続編ドラマ『And Just Like That...(原題)』にも、キムは出演しない。ただし、製作陣はキムの復活を望んでおり、同作のシーズン2に出演させるべく、動いているようだ。

★『グレイズ・アナトミー』キャサリン・ハイグル VS ションダ・ライムズ

 こちらも人気ドラマ『グレイズ・アナトミー』で、医師のイジー役でブレイクしたキャサリン・ハイグルと、クリエイターのションダ・ライムズの関係がこじれた。


 2人に緊張が走ったのは、2008年のこと。前年のエミー賞で助演女優賞を獲得したキャサリンが、ノミネートに足る程の演技材料をもらえなかったからと、この年は賞レース参加を辞退した。この高飛車な発言がションダの不興を買ってしまった。

 キャサリンは家族との時間を持つためとして、2010年にドラマを降板したが、この件が遠因とみられている。ションダは後の取材で、手掛ける他のドラマに「ハイグルみたいな事態は何もない」と皮肉を言っていたことも。現在、キャサリンは当時の発言を後悔しているようだ。

★『スター・トレック』ウィリアム・シャトナー VS ジョージ・タケイ

 1966年から始まったオリジナル版『スター・トレック』シリーズで、カーク船長を演じたウィリアム・シャトナーと、ヒカル・スールー役のジョージ・タケイは、半世紀にもわたってバトルを繰り広げている。

 2人の不仲はシリーズ開始当初にさかのぼり、それぞれ自伝でお互いの事を酷く書き合っているので、ネタは尽きない。映画『スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!』(1984)の撮影中に起きたスタジオ火災では、自分が消火に当たったため全焼を免れたとウィリアムが証言するのに対し、宣伝のためにお膳立てされたものだったとジョージが暴露。2008年には、ジョージの結婚式に招待した・されないで、揉めた。

 90歳と84歳になった今も不仲は継続中で、つい先月も、民間宇宙船で宇宙に飛び立ったウィリアムについて、ジョージが「モルモットだな。90歳で宇宙に行けば何が起こるか確認するのは重要だ」とコメント。
これにウィリアムも「ジョージを憎まないでくれ。彼が注目されるのは、俺をディスった時だけなんだ」とツイッターで応戦している。

★『何がジェーンに起ったか?』ベティ・デイヴィス VS ジョーン・クロフォード

 ハリウッド史上でも伝説級の不仲で、結局仲たがいしたままに終わったのが、映画『何がジェーンに起ったか?』(1962)で共演した往年のオスカー女優、ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードだ。2人の確執は、当事者も逸話もまさにレジェンド級。『フュード/確執 ベティvsジョーン』(2017)としてドラマにもなった。

 そのきっかけは、俳優フランチョット・トーンを巡る三角関係だったと言われている。しかしそれ以上に、女優がスタジオ専属で、限られた役しか与えられなかった時代に、演技派のベティとセクシー系ジョーンはお互い煙たい存在だった。話題性を狙うスタジオの煽りもあったようだ。

 数ある逸話の中でも強烈なのが、『何がジェーンに起ったか?』での共演だ。因縁の大女優の初共演作は、事故で半身不随になった女優の姉と、彼女を介護する落ちぶれた元人気子役の妹との、歪みきった関係を描く狂気のスリラー。作品自体が衝撃的なうえ、撮影中2人がヒートアップし、お互いをケガさせる事態に。

 さらに、本作でベティがオスカー候補になると、嫉妬したジョーンは会員に投票しないよう呼び掛けるキャンペーンを行ったという。
さらに、当日出席できない候補者の代わりに賞を受け取ることを立候補。ベティを退け主演女優賞を受賞したアン・バンクロフトの代わりにステージに立ち、満面の笑みで彼女を称えたという。

 2人の因縁は生涯に渡り、ジョーンの訃報を聞いたベティは「亡くなった人を悪く言ったらいけないわ、良いことだけ言わなくちゃ…ジョーン・クロフォードが死んだ。良い事ね」とコメントしたそうだ。

 大女優2人の確執と比べると、他の不和など子どものケンカのようにかわいく見えてくる。おぼん・こぼんの2人のように、和解する日も来るかもしれない。(文・寺井多恵)

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