7月11日、NHKが職員のインサイダー取引に関する再発防止策を発表した。事の発端は、今年1月に発覚したNHK職員の株取引だ。
報道局記者、地方放送局の記者、ディレクターの3人が、株取引に身を投じて小金を稼いでいたというのである。報道目的で得た企業買収ニュースを元に株取引をしていたというのだから、タチが悪い。職員3人は今年4月に懲戒免職とされたものの、この事態をNHKは重視。全職員を対象に調査を行ったり、第三者委員会を設置して審議するなど対応に大わらわだ。

 7月11日に発表されたNHKの内部資料は、NHK職員が専用のサイトからダウンロードする仕組みになっており、誓約書(PDFファイル)は7月末までに提出するよう通達されている。

 全12条にわたる「インサイダー取引防止規定」では、契約職員も含めたNHKの全職員にインサイダー取引を禁止することを規定。

さらに、職務上知りえた重要情報を第三者に漏洩してはならないとしている。やむを得ず株式などの有価証券を売りさばかなければならない場合は、上司にあらかじめ報告しなければならない。

 さらに駄目押しで、会長通達(PDFファイル)も発表。

《職員による不正な株取引は,ジャーナリズムの根幹を揺るがす一大事であることを,全役職員が改めて深く認識しなければなりません。》
《本来,株式等の取引は,社会一般に認められた経済的行為ですが,より高い行動規範が求められる公共放送に携わる者として,全役職員が自らに制約を課し,視聴者に対して,不正行為防止に向けた固い決意を示していきたいと考えています。》

 とハッパをかけている。

あるNHK関係者は、これらの文書を見て慨嘆する。

「こんなことを今さら大上段に通達しなければいけないというのは、つくづく情けない話ですよね。ジャーナリストが取材でおいしい情報を知ったからといって、その情報を株取引に活用するなど言語道断。しかも、儲けた金が10万円から数10万程度だったというのですからケチくさい話です。この誓約書を見ていると、万引き少年が捕まった中学校で全生徒に『私は絶対に万引きをしません』という署名を集めているかのようで、ガクッときますよ」

 NHKの視聴者コールセンターに電話をかけてみたところ、窓口の女性は困惑気味。「『インサイダー取引をしません』という誓約書を全職員に強制するなど、なんだか情けない話ですよね。

そんなこと、言わずもがなで当たり前の話じゃないですかね」と水を向けてみたところ、「そうだとは思いますけれども、ご意見は、そのように申し伝えておきます」と本音をポロリと漏らしていた。
(荒井香織)

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