「あれ? ぐっさんは?」

 早々に気付いた視聴者も多いかと思うが、"芸人の芸人による芸人のための番組"『リンカーン』(TBS系)のレギュラーメンバーから、ぐっさんこと山口智充の姿が消えているのである。

 3月31日に放送された3時間半スペシャル。

途中まで見たところで、なんとなく違和感に気づく。「あれ? ぐっさんは?」と。

 どんなに目をこらしても、ぐっさんの姿は見当たらない。

 特番とはいえ、たまたま休んだだけかな、と思っていたのだが、コーナーが変わって、番組のオープニング映像を新たに撮りおろすというくだりに。金八先生に扮した松本人志を筆頭に、荒川土手を歩く、『3年B組金八先生』のオープニングのパロディを作成したわけなのだが、ここにもぐっさんが、いない。そして、ぐっさんがいないことに、まったく誰もふれずに、まるで最初からぐっさんなんて人は存在しなかったかのように番組は進む。

 翌4月7日分の通常回の放送でも、この新オープニングで始まり、ぐっさんについてはやはりスルーのまま番組が終わった。自分が知らないだけで、実は「今回で、ぐっさんが番組を卒業するということで」的なくだりがあったのだろうか。と思って、スペシャルの前の回、3月10日放送ぶんの録画を見返してみたが、普通にぐっさんは、いた。

 番組がスタートして3年半。ダウンタウン雨上がり決死隊、さまぁ~ず、キャイーン、そしてぐっさんの9人で、それなりの結束をもってやってきたはずだったんじゃないのか。「ぐっさんビーン」とかメインのコーナーもあったし、フリップ企画での天然すぎる回答やマズい料理を「おいしいですよ」と食べたりとか、「役割」もあったはずなのに。

めちゃイケ』とかなら、たとえ不祥事降板でも、「あれ? 山本さんは?」みたいな、いじりをかならず挟みそうなのに、誰も触れない。

 このあまりの不自然な消されっぷり、<山口智充という人物のいないパラレルワールド>にでも、迷いこんでしまったのか。

 この消えたぐっさんの謎について、TBSの番組担当者を直撃した。すると、「山口さんの、スケジュール上の都合ということになります」と、あっさり理由が判明した。あるテレビ関係者にたずねてみたところ、『リンカーン』のメイン収録日は、土曜日になることが多い。その土曜日の午前中、ぐっさんは、関西地方の情報番組『にじいろジーン』という、生番組の司会を担当しているのである。

「これまでは『にじいろジーン』が終わってすぐに『リンカーン』の現場にかけつけたりしてたみたいなんですけど、ちょっときつくなっちゃったみたいですね」(同番組担当)

 でも、『ジーン』のスタートは08年4月で、これまでどうにかなっていたのに、とつい思ってしまうが。あるバラエティ番組の作家が言う。

「あれだけの顔ぶれを、レギュラーということで毎回そろえなきゃならないのは、時間的にも経費的にもかなりキツいですよね。生々しいけど、そういう経費的な事情もあるかもしれません。いろいろ他の理由もあるとは思いますが、7時台にお金のかからないニュースをやったりとか、TBSは特に経費の節減に力を入れてますしね」

 3月10日の放送でも、「9人のギャラがあまりに高額なため、制作費の底がついた」といっていたが、単なるギャグではなく、そんな台所事情も影響しているのか。それでピンのぐっさんが影響を受けたのだろうか。

「他局でも、番組内では特に何も触れずにこの春からレギュラーの人数が減っている番組がいくつかあります。スカスカ感を出さずにするのに気を配りますよね」(作家)

 このままぐっさんは、何事もなかったかのように、『リンカーン』から消えてしまうのかと思うが、「あくまでスケジュール上の都合で他の皆さんと一緒に出るのが難しいというだけです。コーナー出演などの予定もありますし、番組に全く出なくなるわけではないです」(番組担当者)とのこと。降板ではなく、おぎやはぎバナナマンなどのように"準レギュラー"になっちゃったということでしょうか。
(文=太田サトル/サイゾー公式携帯サイト「サイゾー裏チャンネル」より)



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