M-1グランプリ 公式サイト

 10日に『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の公式YouTubeで公開された『M-1ラジオ~○○のチカラ~』にマヂカルラブリー・野田クリスタルとランジャタイ・国崎和也が出演。「衣装のチカラ」というテーマで『M-1』出場者たちの衣装について語る一幕があった。

 資料を眺めながら、さっそくザ・パンチに食いついた2人。

「こんなかっこうで……」と揃って爆笑しながら「これは最下位だよ、ダメだよパンチさん」(野田)、「ペンダントしてますよ」(国崎)などと盛り上がった。

 また、それぞれの衣装についてのエピソードも披露された。

「もともとタンクトップにジーパンという衣装で挑んでまして、その後、ピースの又吉(直樹)さんに、スーツ着たら? と言われて、(15年に復活した)M-1に挑んだんですよ。そしたら決勝に行けず、赤Tの(メイプル超合金カズレーザーが決勝に行くっていう事件が起きたんですよね」(野田)

「動きやすい衣装にしちゃってるんですよね。Tシャツのネタと長袖のネタでだいぶ所作の見え方が変わるとか。このネタTシャツのほうが伝わるとか、Tシャツじゃないとできないネタもある。Tシャツのほうがダボッとしてないから、スッと伝わるというか。あと、靴も派手な色すぎると、上(半身)を見なくなるというか」(国崎)

 ハチャメチャにやっているように見えて、実は衣装による伝わり方の違いまで意識しており、それをなんのてらいもなく明かす国崎の口ぶりは、なんとも新鮮だった。

 ここでは、過去の『M-1』決勝戦における全出場者の衣装を振り返ってみる。

■2001年

中川家=スーツ×スーツ
フットボールアワー=スーツ×スーツ
チュートリアル=スーツ×スーツ
アメリカザリガニ=スーツ×スーツ
おぎやはぎ=スーツ×スーツ
キングコング=スーツ×シャツ&サスペンダー
麒麟=スーツ×スーツ
ますだおかだ=ジャケット×ジャケット
DonDokoDon=スーツ&ハット×スーツ
ハリガネロック=皮ジャケット×スーツ

第1回はスーツ率が高く、キングコング・梶原雄太も可愛げを意識しながらも正装といえる衣装。DonDokoDon・山口智充とハリガネロック・ユウキロックも、それぞれのキャラクターを出しながら、やはり正装だった。第1回だけあって、奇をてらうようなコンビは見当たらない。

■2002年

ハリガネロック=皮ジャケット×スーツ
ますだおかだ=ジャケット×ジャケット
ダイノジ=つなぎ&ハット×ジャケット
テツandトモ=ジャージ&ギター×ジャージ
フットボールアワー=ジャケット×ジャケット
笑い飯=皮ジャケット×スーツ
おぎやはぎ=スーツ×スーツ
アメリカザリガニ=スーツ×スーツ
スピードワゴン=ジャケット×ジャケット

3番手のダイノジ・大地洋輔が『M-1』初の崩し衣装。オレンジ色のド派手なつなぎにハットという独特のファッションでインパクトを狙った。

そしてその直後、4番手のテツandトモは現在にもつながる赤と青のジャージ姿。「なんでだろう♪」を披露したが、審査員の立川談志に「おまえらここへ出てくるやつじゃないよ、もういいよ」「ホメてんだぜ、わかってるよな」と凄まれ、MCの西川きよしが途方に暮れるという事件を起こしている。

■2003年

千鳥=黒シャツ×スーツ
麒麟=スーツ×スーツ
スピードワゴン=ジャケット×皮ジャケット
笑い飯=皮ジャケット×スーツ
2丁拳銃=スーツ×スーツ
アメリカザリガニ=スーツ×スーツ
フットボールアワー=ジャケット×ジャケット
りあるきっず=スーツ×スーツ
アンタッチャブル=スーツ×セーター

この年、初めて私服で登場したのが千鳥・大悟。ヤンキー柄の入った黒シャツで客席をにらみつけながら登場したが、ちゃんとスベっていた。人でも殺すんかという顔をしている。

敗者復活から上がってきたアンタッチャブル・柴田英嗣も私服に近いセーター姿。こちらは違和感なく馴染んでいた。

■2004年

千鳥=柄シャツ×スーツ
タカアンドトシ=トレーナー×スーツ
東京ダイナマイト=スーツ&レイ×スーツ&レイ
トータルテンボス=スーツ×スーツ
南海キャンディーズ=ジャケット&スカーフ×白ブラウス&スカーフ
POISON GIRL BAND=スカジャン×カーディガン
笑い飯=ジャケット×スーツ
アンタッチャブル=白シャツ×ジャケット
麒麟=スーツ×スーツ

この年はヤンキーの千鳥・大悟に始まり、タカアンドトシが「汚い」と大不評だったトレーナー、東京ダイナマイトが紅白のド派手なレイを下げて「刀持ってきたぞー!」と登場すれば、南海キャンディーズがスカーフを基調としたトータルコーデで決めてくる、POISON GIRL BAND・阿部智則がスカジャンを羽織ってくるなど、バラエティに富んだ衣装が見られた大会だった。

前年、セーター姿だった柴田がスーツを着込み、優勝をさらっている。

■2005年

笑い飯=ジャケット×スーツ
アジアン=パーカー&ショートパンツ×ドレススーツ
南海キャンディーズ=ジャケット&スカーフ×白ブラウス&スカーフ
チュートリアル=スーツ×ジャケット
ブラックマヨネーズ=ジャケット×スーツ
品川庄司=ジャケット&Tシャツ×ジャケット&Tシャツ
タイムマシーン3号=ジャケット×半袖白シャツ&短パン
麒麟=スーツ×スーツ
千鳥=スカジャン×ジャケット

初の女性コンビ、アジアンが登場。馬場園梓はいかにもラフなパーカー、隅田美保は華やかなピンクのジャケットにパンツ姿でコントラストを演出した。

南海キャンディーズは前回同様のコーデ。タイムマシーン3号・関太が短パン姿でデブキャラを前面に押し出している。大悟はあいかわらずおっかない。

■2006年

POISON GIRL BAND=白Tシャツ×セーター
フットボールアワー=ジャケット×スーツ
ザ・プラン9=スーツ×5人
麒麟=スーツ×スーツ
トータルテンボス=スーツ×スーツ
チュートリアル=スーツ×ジャケット
変ホ長調=シャツ×セーター
笑い飯=ジャケット×スーツ
ライセンス=ジャケット×スーツ

初登場ではスカジャンだったポイズン・阿部がシンプルな白Tシャツに。ザ・プラン9の5人揃った純白のスーツ姿が映えた。

初のアマチュア出場者となった変ホ長調は、完全に普段着という服装だが、おそらくはアマチュア感を意識したセルフプロデュースだろう。17年後となる先日の『THE W』(日本テレビ系)でも、ほぼ同じ衣装に身を包んでいた。

■2007年

笑い飯=ジャケット×スーツ
POISON GIRL BAND=白Tシャツ×セーター
ザブングル=スーツ×スーツ
千鳥=スーツ×スーツ
トータルテンボス=スーツ×スーツ
キングコング=スーツ×スーツ
ハリセンボン=セーター×カーディガン
ダイアン=ジャケット×スーツ
サンドウィッチマン=スーツ×ジャケット

ポイズンは前年と同じく白T&黒セーター。千鳥・大悟がいよいよネクタイを締めてきた。

7年ぶりの出場となったキングコングは2人そろってスーツ姿。前回出場した際は芸歴2年目の可愛げをアピールしたが、『はねるのトびら』(フジテレビ系)でゴールデンのド真ん中MCを経験し、テレビスターとしての凱旋となった。この年は、オシャレ大人の正統派漫才師風で決めている。

ハリセンボンは普段着に近い衣装に、近藤春菜が首にリボンを巻いて華やかさを演出していた。サンドウィッチマンはスーツとジャケットだが、2人とも反社にしか見えない。

■2008年

ダイアン=ジャケット×スーツ
笑い飯=ジャケット×スーツ
モンスターエンジン=スーツ×ジャケット
ナイツ=スーツ×スーツ
U字工事=スーツ×シャツ&ネクタイ
ザ・パンチ=変なシャツ&スカーフ×スーツ
NON STYLE=白シャツ×ジャケット&胸開きカットソー
キングコング=スーツ×スーツ
オードリー=スーツ×春日

決まり衣装の漫才師といえば、U字工事がこの年の『M-1』で全国デビュー。15年前になるが、現在でも衣装も顔立ちもまったく変わっていない。全国ネットでの露出が多いわけではないが、益子卓郎によれば、この日から「大きな連休は一度もない」という。これもまた、ひとつの『M-1』ドリームの形である。

そしてウワサのザ・パンチ。現在でも『M-1』史上もっともスベっていたコンビとして語り継がれているが、パンチ浜崎の衣装は奇矯のひとこと。妙な紫のシャツに、胸元に変なブローチ。さらに変なスカーフを首からかけている。漫才は、言うほどスベっていない。

オードリー・春日俊彰のデビューも、この日だった。あの日もピンクベストの春日だったし、今もずっと春日である。

■2009年

ナイツ=スーツ×スーツ
南海キャンディーズ=ジャケット&スカーフ×白ブラウス&スカーフ
東京ダイナマイト=スーツ×スーツ
ハリセンボン=ジャケット×ジャケット
笑い飯=スーツ×スーツ
ハライチ=ジャケット×アラスカセーター
モンスターエンジン=スーツ×スーツ
パンクブーブー=スーツ×スーツ
NON STYLE=白シャツ×ジャケット&胸開きカットソー

この年は、前回出場時とイメージをガラリと変えたコンビが目立った。東京ダイナマイトは一転、スーツ姿で登場。だが、出囃子中にセンターマイクに向かってしゃべりながら歩いてくるというツカミでインパクトを残した。このテクニックは今年の予選で、ラブリースマイリーベイビーにオマージュされている。

ハリセンボンは、前回出場時のラフな衣装から、今回は揃いのスーツを仕立ててきている。単にスーツを着ておけばなんとかなる男性と比べ、やはり女性コンビには衣装の悩みが付き物だろう。

この年、ハライチがデビュー。澤部佑のアラスカセーターが意味がわからなくて面白かった。

■2010年

カナリア=ジャケット×スーツ
ジャルジャル=黒Tシャツ×黒Tシャツ
スリムクラブ=スーツ×スーツ
銀シャリ=青スーツ×青スーツ
ナイツ=スーツ×スーツ
笑い飯=ジャケット×スーツ
ハライチ=スーツ×スーツ
ピース=スーツ×スーツ
パンクブーブー=スーツ×スーツ

澤部もスーツを購入したようで、この年はスーツ勢が大半を占めた。決まり衣装の銀シャリがデビューし、その後もトレードマークとなっている青スーツを披露した。今回の『M-1ラジオ』で野田は「この人たちって昔ながらの古典的な漫才やる人たちだなって印象あるじゃん。でもネタ見ると、めっちゃ新しいし、いろんなネタやってんだよ。ネタと衣装が合ってないんだよ」と指摘していた。

そんな中、ジャルジャルも『M-1』デビューを迎えた。こちらはシンプルな黒Tシャツで揃え、世界観を演出している。

(文=新越谷ノリヲ/後編に続く

 

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