アイドル好きで、紙芝居屋で、画伯でホームレスという謎の男・おに山田が、ゴールデン街で「現代エロ画展」なるアヤシイ展覧会を開催しているという。

 情報量がいろいろと多すぎてワケがわからないが、どうにも気になってしまう人だ。



 ちょいとブログを読んでみたら(ホームレスなのに、ブログやってるんだ!)ハロプロ愛が爆発しまくった結果、少々キチガイ感がにじみ出ちゃっている文章が書き殴られていたし……。

 本格的にヤバイ人だったらイヤだけど、思い切って「現代エロ画展」最終日に会いに行ったところ、予想外に人当たりはいい。……でも、ある意味では、予想以上にヤバイ人だったよ!

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■どっちの意味でも、子どもが好き!

――おに山田さん。そもそも、いったい何者なんだ!? という感じなんですが、肩書としては……?

山田 ハロプロをもっと盛り上げるため、ライブ会場の前で紙芝居をやっているおじさんです。……売名目的でもありますけど。ハロプロも売れて自分も有名になって、一挙両得じゃないですか。


――はあ……。ハロプロでいうと、どのあたりが好きなんですか?

山田 今はJuice=Juiceとか、カントリー・ガールズですね。℃-uteとかモーニング娘。'16に関しては、だいぶ冷めてきました。やっぱり、メンバーが年を取ってくると、どうしても興味が薄れてくるというのはありますね。

――ああー……。
何歳くらいがストライクゾーンなんですか?

山田 14歳が一番好きな年齢です! 18~19歳までは、ギリ大丈夫ですけど。

――そこでギリギリかー。ちなみに、山田さんは何歳なんですか?

山田 43歳になりました。ハロプロ研修生43期生です! ……こういうことを言うから、ハロヲタの人たちに嫌われるんですけど。

――絵は、いつ頃から描いているんですか?

山田 絵はずっと描いてましたね。ボク、絵本を描きたくて、1999年に奈良から東京に出てきて持ち込みをしていたんですけど、まったく相手にされなくて……。


――こんな感じの絵柄で!?

山田 そうですね。タッチは、あんまり変わってないです。だから、持ち込みしても嫌がられ、「向いてないんじゃない?」とか言われ続けて……。ごくたま~に、気に入ってくれる編集者さんもいるんですど、その人が企画会議にかけてくれても全然ダメで。

――絵本というよりは、いわゆる「ガロ」「アックス」系の漫画のほうが向いていると思いますけど、絵本にこだわりが?

山田 その頃は「絵本しかない!」って、思い込んでましたね。「ダメだ」とか言われると、悔しいじゃないですか。
それで、しつこく行ってたというか……やめ時を失いましたね。

――何か好きな絵本に影響を受けたとか?

山田 絵本は好きですけど、特にこの作者っていうのはないですね。やっぱり子どもが好きなんで……どっちの意味でも。

――どっちの意味でも!

山田 子どもと、すごく話が合うんですよ……14歳くらいまでの子と。絵本を描けば、子どもを相手にできるというのがいいなって。

――今までの話を聞いていると、自分の子どもは絶対に相手をさせたくないですね。


山田 そうそう、そこがジレンマでした。そういう意味もあるけど、そういう意味じゃない部分もあるから難しいんですよね。男女かかわらず、子どもは好きなんですけどね……。でも、絵本を描いて子どもに読ませても、全然ウケなくて。

――このテイストじゃあ、なかなか子どもの心に響かなそうですよね。

■最終的には、ハロプロと同じ舞台に立ちたい

――絵本から紙芝居に行ったきっかけは?

山田 絵本をいくら描いても出版してもらえないんで。
だったら、紙芝居も似たようなもんじゃないですか。子どもの前ですぐにやれるし。それで紙芝居を作って、道や公園でやり始めたんですけど、なぜかすぐに止められちゃうんですよ。

――うーん……まあ、止めますよね。

山田 仕方ないので、当時住んでいたところの商店街に頼みに行ったら「下北沢一番街商店街」のガレージのところが空いているっていうんで、しばらくそこでやらせてもらっていました。そうしたら結構、子ども連れの親子が見てくれるようになって……。だったら大人も楽しめる紙芝居にしようと思って、下ネタの紙芝居を始めたんですけど。

――なんでそこで下ネタに行っちゃうの!?

山田 それなら大人も楽しめるから、子連れじゃない人や、若い人たちが見てくれるじゃないですか。

――でも、子連れはいなくなりますよね?

山田 まあ、いなくなりましたね。でも、幸いに、商店街の人たちは面白がってくれたんですよね。それで調子に乗っちゃって、「ここじゃなくても、やれるんじゃないか?」と考えて、ハロプロのライブの開場前に、紙芝居をやるようになったんです。みんなヒマしてますからね。

――ああ、ここで「売名」という気持ちが出てくるわけですね。

山田 ボクも有名になるし、ハロプロも売れるしで、最高じゃないかと思ったんですけどね。結果、どっちもパッとしてないですけど。ある意味、有名ヲタにはなれましたけどね。……嫌われてますけど。

――ハロプロヲタの人たちは、どんな反応だったんですか?

山田 最初にやった時はものすごく怖がられて、Twitterでエゴサしたら「会場前にキチガイがいた!」とか書かれていましたね。そのうち、キチガイではないということをわかってもらえて、みんな集まってくれるようになり……。まあ、集まってくる人たちもキチガイじみてましたけど。

――それが、どうして嫌われてしまったんですか?

山田 ちょっと有名になったと思って、調子に乗っちゃったんですよね。Twitterに運営に対しての不平不満を書いたり。決定的だったのは、宮本佳林ちゃん(Juice=Juice)のスクール水着の写真がプリントされたTシャツを作って、握手会に参加したことが……。

――なんでそんなことを!?

山田 本人に見せたら、面白がってくれるかと思って。そしたら、佳林ちゃんは大丈夫だったんですけど、隣にいた高木紗友希さんに「気持ち悪くない?」とか言われて、握手を拒否されちゃって。それを狼(ハロプロ@2ちゃんねる掲示板)に書かれちゃったんです。思いの外「なんてことをするんだ!」みたいなことになってしまいましたね。

――そういうTシャツを見せて、アイドルから認知されたいという気持ちもあったんですか?

山田 それはないんですよ、本当に。紙芝居で有名になって、最終的にはハロプロと同じ舞台に立ちたいと思っているんで、それまでにファンとして認知されてもうれしくないです。Tシャツに関しては、本当に遊び心で「こんなのを作ったんだよ」という気持ちだったんですけど、それをきっかけにヲタクたちから嫌われてしまいましたね。

■これからは、アプガの現場で頑張ります!?

――さて、今回の「現代エロ画展」という展覧会は、どうしてやることになったんですか?

山田 今年5月に「現代アイドル画展」というのをやって、その時はみんなが絵をバンバン買ってくれたので、“これはいけるぞ”という感じがあったんですね。

――結構、いい収入になった?

山田 はい、ちゃんと熊本地震にも募金しましたし。ただ、今回の「現代エロ画展」のほうは……今日が最終日なんですけど、今のところ赤字ですね。というか、一日で巻き返せるとも思いませんし。

――「現代アイドル画展」では、そのアイドルのファンたちが買ってくれたというのも、あるんじゃないですか?

山田 そうですね。「あの子を描いています」とは明確には言ってないんですけど、まあ、それらしくは描いているので、ファンの方が買ってくれていましたね。それに、ハロプロのライブで知り合ったヲタの人たちが、わりと来てくれたんですよ。でも今回は、ハロプロ関係の知り合いは、まだ1人だけですね……。

――やっぱり、スクール水着Tシャツ事件が尾を引いて……?

山田 それはないと思いたいですけど……それかもしれませんね。あとは、研修生のヲタの人たちとTwitterでケンカしたりもあったんで、それもあるかも。

――山田さん、もうTwitterやめたほうがいいですよ! 最近は、ハロプロ現場で紙芝居はやってるんですか?

山田 やってるんですけど、冷たくはなってますよね、反応が。誰も集まってこないし、Twitterで話題にもならないし。

――それだけ、根が深い問題だったんですね。ほかの現場にくら替えしたりとかは考えてないんですか?

山田 うん、だから最近アップアップガールズ(仮)に行ってます。アプガの前ではまだ紙芝居はやってないんですけど、そのうちやるつもりです。

――じゃあ、アプガの現場で、温かく迎えてもらえたらいいですね。

山田 だといいんですけど……すぐもめちゃうんで……。

――紙芝居自体の評判はよかったんですから、たぶん紙芝居以外の部分がすごく悪いんだと思いますよ。

山田 ……性格かな? だとしたら、最悪ですね。

――まあ、今後はアプガの現場で頑張っていこうと。

山田 別にハロプロでもやりますけどね。

――ファンに嫌われても、ハロプロ愛は揺るがない?

山田 なんか、腹が立つじゃないですか! 負けた感じになるのがイヤなんで。あっちは気にしてもないと思いますけど。

■まずは、住むところを探さないと……

――じゃあ最後に、ハロプロと同じ舞台に立つために、計画しているこれからのビジョンを教えてもらいたいんですけど。

山田 やることはいっぱいありますよ。まず、今ホームレスですからね。会社の事務所の一角に住み着いているんで、住むところを探すところから始めないと。

――長い道のりだな~……。

山田 何かすごい賞を獲ったら、一気に行けるかなとも思ってるんですけどね。賞を獲って、権威を手に入れたいです!

――権威を手に入れて、自分を嫌ったヲタたちを見下したいとか?

山田 そうですね。いいですね、それ!

――それで調子に乗って転落する姿が目に浮かびますよ!

(取材・文・イラスト=北村ヂン)