吉本芸人を中心とした闇営業騒動は一向に沈静化の気配を見せない。

 吉本興業はここに来て、雨上がり決死隊宮迫博之が100万円、ロンドンブーツ1号2号田村亮が50万円など、反社会的勢力のパーティーで闇営業を行い、現在謹慎中の所属芸人らが受け取った報酬額を公表するとともに、手7人について8月中の復帰を検討していることを明らかにした。



 吉本興業ホールディングスの大崎洋会長が複数の大手メディアのインタビュー取材に応じるなど“火消し”に躍起になっているが、いまだ世間の風当たりは強いのが実情だ。民放テレビ局の情報番組スタッフはこう明かす。

「ウチの局もバラエティーを中心に数多くの番組に吉本さんの芸人を起用していますが、最近はタレント個人というよりも『吉本芸人を番組に使うな!』といった趣旨の視聴者からのクレームの電話も局に入るようになり頭を悩ませています。芸人による反社勢力との“闇営業”そのものもそうですが、それ以上に今回の騒動に対する吉本さんの対応への根深い不信感を感じます」

 実際、ネット上の掲示板などでは所属芸人を闇営業へと走らせる同社の薄給ぶりに対する批判の声も数多く挙がっているわけだが、別の芸能事務所のマネジャーはその根底にあるスクールビジネスの危うさを指摘する。 

「現在、テレビ番組などで活躍している吉本芸人の多くは、1期生の『ダウンタウン』を筆頭に、吉本興業直轄の芸能スクール『NSC(=吉本総合芸能学院)』の出身です。そもそも、吉本興業は約6,000人の芸人を抱えていると言われるけど、そうした尋常ならざるタレント数を擁している背景には『NSC』の存在がある」

 そのうえで、こう続ける。


「スクールビジネス自体は他の芸能事務所も手掛けていますが、『NSC』に関しては、ほかの芸能プロ同様、高額な授業料をとる一方、“芸能人になりやすい”というのがウリで、実際に卒業生の大半は『よしもとクリエイティブ・エージェンシー』と事実上の専属となる。とはいえ、テレビや劇場などプロの芸人たちの活躍の場となる“パイ”は限られているわけで、いわゆる芸能人として食べていけるのはほんの一握り。卒業生の多くは生活困窮者で、本業だけでは到底生活できない状況に追い込まれるわけです。一部の売れっ子を除く、大半の吉本芸人が薄給に苦しんでいる裏には、スクールビジネスありきで、預かりタレントの数を無軌道に増やし続けてきた会社の銭ゲバ体質があるといっても過言ではないでしょう」

 最近では教育事業への本格参入も取り沙汰されている同社だが、曲がりなりにも「教育」を語るのであれば、新規事業参入の前にまずは自社のスクールビジネスの元“生徒”たちが大半を占める6,000人の専属タレントたちに対し、自活の道を示す方が先決なのかもしれない。