坂口健太郎と杏がダブル主演を務める、フジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』の第1話が7月11日に放送された。
舞台は「公正取引委員会」とマニアックながら、テーマとして「弱者の戦い」を掲げており、視聴者の共感を得られやすい物語となりそうだ。
第1話の視聴率は世帯11.8%、個人6.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と月9らしい好スタート。実直だが失敗しがちな新人職員と、変わり者の天才肌という凸凹コンビは「お約束」とも思える組み合わせだが、題材が変わっているだけに視聴者にとっては“見やすさ”につながるポイントでもある。
ストーリーは、刑事だった白熊楓(杏)が犯人を取り逃がし、それが原因で公正取引委員会・第六審査(通称「ダイロク」)に異動になるところからはじまる。異動初日から早速、上司の桃園千代子(小池栄子)に連れられ、入札談合の疑いがある大手建設会社に立入検査へ。
カルテルの中心人物だと見られる、「ホテル天沢」オーナーの天沢雲海(山本耕史)は一筋縄ではいかない難敵。白熊の正義感が災いして調査がばれてしまう。雲海はダイロクに乗り込み、何を調査しに来たのかと探りに来る。
検察の緑川瑛子検事(大西礼芳)にホテル天沢が行っていると見られる下請けいじめの実態の調査を求められた小勝負と白熊は、ウエディング用の花を納入している「フラワーショップ石田」に向かう。フラワーショップ石田の帳簿を見ただけで記憶していた小勝負は、この帳簿を武器にホテル天沢の立ち入り検査に向かうが、雲海は拒否。拒否すると独占禁止法に基づく罰則があるにもかかわらず、実際には一度も適用されたことがないと小馬鹿にされる始末。
雲海が小勝負らの前に再び現れ、パソコンを返却するよう迫る。だが、「川に落ちているものを拾っただけ」「川に捨てた時点でこのパソコンは所有者のないものとなり、拾った人のものになる」と言い訳をし、はねつけるのだった。
第1話の見どころは、白熊と小勝負の凸凹な空気感と、公正取引委員会の一般的なイメージに反した”弱小”っぷり。警察から来た白熊は、あまりの落差に何度もため息をつく。実力派の俳優も多く揃え、テンポよく進んだ第1話について、視聴者からは、「みんな芝居巧者だから安心して見られる、新しい形の捕り物帖」「初回としては上出来じゃない?」と高評価の声が多かった。
白熊は、原作では警察からの左遷ではなく、警察学校を中退して勉強し直し入局したという設定だ。そのため原作ファンから「この設定は重要で変えてはいけないと思うが……」という声も上がるが、公正取引委員会をよく知らない視聴者に、警察との違いを示すことで今作のメインテーマである「たとえ弱くても戦う」を理解してもらうための設定変更だったのだろう。また、原作には登場しない国土交通省の事務次官・藤堂清正(小日向文世)の存在も気になるところだ。
白熊の過去など、原作と違う部分も散見された第1話だが、今のところ違和感なく楽しめる内容となっている。白熊を演じる杏は、公式サイトのインタビューで「まるっきり違う環境で仕事を始めるという白熊の気持ちは、多くの方々に寄り添っていただけて、応援していただけるのではないかなと思います」と答えており、ミステリーだけでなく、転職に近い経験をする主人公の成長ストーリーも楽しめる作品となりそうだ。
「小日向さんの悪役って怖いんですよね。
■番組情報
月9ドラマ『競争の番人』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:坂口健太郎、杏、小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎、小日向文世、黒羽麻璃央、大西礼芳、石川萌香、寺島しのぶ ほか
原作:新川帆立『競争の番人』(講談社)
脚本:丑尾健太郎、神田優、穴吹一朗、蓼内健太
音楽:やまだ豊
主題歌:idom「GLOW」
プロデュース:野田悠介
演出:相沢秀幸、森脇智延
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyosonobannin/index.html