Paravi配信ページより

 綾野剛主演のTBS系日曜劇場『オールドルーキー』の最終話が、9月4日に放送された。元サッカー日本代表の新町亮太郎(綾野剛)がスポーツマネージメント会社・ビクトリーで「第2の人生」を模索する本ドラマ

前回、社長の高柳雅史(反町隆史)にクビを宣告されるというまさかのエンディングを迎えたが、最終回はまさに大団円と言えるハッピーエンドとなった。

塔子と城のサポート、矢崎の“アシスト”で決めた伊垣の海外移籍

 ストーリーの主軸は、日本代表にも選ばれているFC東京のJリーガー・伊垣尚人(神尾楓珠)の海外移籍だ。伊垣に頼られる形で新町が代理人を務める予定だったが、新町がクビになったことで、伊垣の代理人は、ビクトリーが用意したキャリア15年以上のベテラン・光岡浩明(勝村政信)が務めることに。しかし、スペイン1部リーグの名門が興味を示していると光岡は話していたものの、次に顔を合わせた際は、移籍枠をアルゼンチンの選手に取られてしまったと言う。さらに光岡は「伊垣尚人レベルの選手は世界にゴロゴロいます」「日本人のフォワードが海外で活躍するのは難しいんですよ」と弁解し、こうした態度に伊垣は、光岡とはやっていけない、ビクトリーも辞めると宣言する。

 伊垣が新町のもとに向かうと見た高柳は、「彼に代理人は無理だ」と断言。しかし、この発言に深沢塔子(芳根京子)と城拓也(中川大志)は反発し、「新町さんはちゃんとスポーツマネージメントの仕事ができていたんです。

アスリートに信頼されていたんです」「新町さんをつぶすようなことはやめてください」と訴える。これに「私のやり方が気に入らないと言うなら会社を辞めてもらっても構わない」と高柳は言い放ち、塔子と城はその場で辞めることを決意。伊垣と共にビクトリーを去る。

 ビクトリー退社時にもうスポーツマネージメントには関わらないと約束していた新町は、配達の仕事をやっていたが、そこに塔子が現れる。一緒に伊垣の海外移籍を実現させようと声をかけられた新町は、高柳のもとを訪ね、伊垣の代理人だけやらせてほしい、終われば今度こそ身を引くと頭を下げる。「スポーツマネージメントの仕事はビクトリーでやりたかった」と言う新町に、「勝手にしろ」と返す高柳。

そこから新町たちは、城の部屋を仮オフィスに、伊垣の海外移籍を実現させるために動き出す。

 伊垣の希望どおりのオファーが得られない中、新町と塔子が第1話で担当した、ドイツリーグで活躍する日本人選手・矢崎十志也(横浜流星)から電話が入る。新町を慕う矢崎は、自分が所属するチーム・ラインハルトで選手獲得の決定権を持つGMに、日本にいいフォワードがいると推薦し、このGMが次の日本代表戦を視察することになったことを伝える。伊垣が自分を売り込む最大のチャンスがやってきた。矢崎がもたらした一筋の光を失わぬよう、新町は代表戦でのアドバイスを伊垣に伝授する。「代表戦は自分をアピールする場所じゃない」「勝つためにどこまでチームに貢献できるか、それが一番大事」と伝えたその言葉は、これまで新町がビクトリーで奔走してきた取り組み方そのものだった。

常に自分のことは後回しで、担当するアスリートのためを思って走ってきた新町が贈る言葉には説得力が溢れていた。

 当日、伊垣は結果を出そうと焦るあまり、本来のプレーができずにいたが、そんな伊垣の姿を見かね、新町が伊垣に渾身の檄を飛ばす。「伊垣! 思い出せ! 思い出せ! 自分を見失うな! 自分を、取り戻せー!!」 この言葉で落ち着きを取り戻した伊垣は同点ゴールを挙げると、終了間際には試合を決定づけるチーム3点目となる得点を決め、結果2ゴールという、フォワードとしては素晴らしいアピールをすることができた。このプレーを終始観ていたラインハルトのGMは、伊垣に直接「ラインハルトに来てほしい。ドイツで待ってます」と告げ、伊垣の念願であった海外移籍が実現したのだった。

 喜びも束の間、まさかの展開が訪れる。

高柳が現れ、「新町君、大事な話がある」と新町を無人のピッチに連れ出す。ラインハルトのGMと長年の友人だったという高柳は、自分も伊垣を心から推薦したことを明かしながら、「正直、君がここまでやれるとは思わなかった。だけど、これでもうおしまいだ。君はスポーツマネージメントには関われない」と、“約束”を果たすよう迫る。しかしここで腐らないのが、新町という男。「はい。
ありがとうございました、社長」と晴れ晴れとした表情でうなずき、スポーツマネージメントの仕事に熱中できたこと、担当してきたアスリートやビクトリーの仲間、支えてくれた家族に感謝しかないとのこと、そしてビクトリーに雇ってもらえたことに感謝を述べ、「本当に、本当にありがとうございました!」と満面の笑みで高柳にお礼を伝えるのだ。 

 ピッチを後にしようとする新町を呼び止めた高柳は、2つの選択肢を提示する。「1つは、この業界を去る。もう1つは……ビクトリーに戻ってスポーツマネージメントを続ける。もちろん、深沢君も城君も一緒だ」。驚く新町に、高柳は続けて「まさかこの年になって自分の流儀を変えることになるとは思わなかった。

いや、変えたんじゃない。取り戻したと言っていい。『すべてのアスリートにリスペクトを』。ビクトリーをつくった時、会社の理念にしたこの言葉は、私が心から思っていたことだ。アスリートの夢を叶えることこそがスポーツマネージメントの醍醐味。君が私に、改めて教えてくれた」と熱く語りかける。打算的でビジネス思考だった高柳が、ついに初心を取り戻したのだ。「どうする、新町君?」と問われた新町は、溢れる涙をこらえきれず、「ビクトリーに……ビクトリーに戻りたいです! またみんなと一緒に……仕事がしたいです!」と喜びを爆発させたのだった。

新町を応援し、新町に励まされたドラマ

 一度はスポーツマネージメントの仕事を諦めようとした新町だったが、塔子と城のサポート、そして伊垣の熱意を受けて踏みとどまり、さらに第1話で新町が関わり、新町にスポーツマネージメントのおもしろさを最初に伝えた矢崎十志也の“アシスト”によって、見事に“最後のゴール”を決めてみせた。そして数々のアスリートの心を動かしてきた新町の純粋さと情熱は、ついに高柳の心にも届き、アスリートファーストの精神を取り戻させた。心を入れ替えた高柳もまた、“オールドルーキー”の立場になったとも言えるかもしれない。

 最後の「ビクトリーに戻りたいです!」「また……みんなと仕事がしたいです!」という新町のセリフに、スポーツ漫画の傑作『SLAM DUNK』8巻(集英社)の三井寿の名シーン「安西先生…!! バスケがしたいです……」を思い出した人も多かったようだ。綾野剛の感情を爆発させる演技も素晴らしかった。だからこそ、新町は自分から辞めると言い出したわけではなく、高柳が一方的にクビにしたというのに、高柳が“ビクトリーに戻ることを許してやろう”という立場から物を言っているのが少々引っかかったのだが……。

 いずれにせよ、チームワーク、アスリートからの信頼と、新町が全10話を通して築いてきたものが、スポーツマネージメントという新町のセカンドキャリアをさらに続けさせることにも導いた。最終回らしい最終回だったと言えるだろう。「誰かを応援するって、こんな幸せなんだなって」と新町は言っていたが、『オールドルーキー』は、新しい世界で泣いて笑って奮闘する新町亮太郎という男を視聴者が応援するドラマであり、またそんな新町のひたむきな姿に視聴者が励まされる作品だったのだ。

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日刊サイゾー2022.07.10

■番組情報
日曜劇場『オールドルーキー
TBS系毎週日曜21時~
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗英、増田貴久生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実榮倉奈々、反町隆史 ほか
脚本:福田靖
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
協力:Jリーグ、公益財団法人 日本サッカー協会
サッカー監修:大久保嘉人
料理監修:Mizuki
編成:東仲恵吾、高橋秀光
プロデュース:関川友理、松本明子
演出:石井康晴
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/